My culture_MUSIC

Oct 27, 2020 / CULTURE

クリエイティブな感性を生かして
我が道を突き進むDIYアーティスト

『Miss Anthropocene』Grimes

映画や音楽、本にアートといったカルチャーを、『PERK』が注目するINDEPENDENT GIRLがリコメンド。今回はイラストレーターやグラフィックデザイナーとしての顔を持ちながら、音楽ユニットのOoveenとしても活動するeryさんに、カナダ出身の女性アーティストの魅力を伺った。

EDIT&TEXT_Yuka Muguruma(PERK)

PROFILE

ery

1993年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、広告デザインの会社を経てフリーランスのイラストレーター、グラフィックデザイナーに。昨年、ガールズエレクトロユニットOoveenを結成。ラジオのパーソナリティなども務める。
Instagram_@erikatoike
     _@ooveen_music

eryさんが音楽活動を始めるまで

 アートと音楽という異なる2つのフィールドで、自分らしく輝いているeryさん。人気イラストレーターとして知られる彼女に、音楽活動を始めたキッカケを教えてもらった。
「もともと音楽が好きで、幼い頃からピアノを習ったり、高校時代は友人とバンドを組んだりしていました。プロのミュージシャンになりたくて、大学受験で音大を受けるか悩んだのですが、結局イラストやデザインというもうひとつの得意分野を生かして美大に進み、グラフィックデザイナーとして就職しました。だけど、大好きな音楽を思うように続けられなかったことがずっと心残りで。昨年、友人のSNSを通して知り合ったMakikoちゃんを誘って、エレクトロユニットのOoveenをスタートしました」

オリジナリティ溢れる女性アーティスト

 現在は同じイラストレーターとしても活躍しているMakikoさんと共に、曲作りからCDジャケットのデザイン、さらにはMVの制作まで、すべて自分たちで行っているという。クリエイティビティ溢れるeryさんに、彼女が敬愛するカナダ出身の女性アーティストGrimesを紹介してもらった。
「初めて知ったのは大学生の頃。たまたま入ったCDショップで、個性的なジャケットに惹かれて興味を持ちました。彼女の生み出すエレクトロポップなサウンドはもちろんだけど、私は独特な“DIY感”がすごく好き。Grimesは作曲だけじゃなく、CDジャケットのデザインからライブの演出まで、ほとんど自身で手がけているんです。すでに世界的に注目される存在なのに、そのスタイルを貫いているのはすごいことで。正直、大物アーティストのMVが素敵だったり、世界観がかっこよかったりするのは、あくまでプロのクリエイティブ集団が作ったもので当然だと思うから。だけど彼女は大衆受けや見え方を一切気にせず、あるがままに音楽とアートワークを楽しんでいる。そのマニアックなスタイルから、目が離せないんです」

『Visions』Grimes

ジャパンカルチャーにインスパイアされた作品たち

「私は『Visions』というアルバムが特に好き。このジャケットのイラストは、彼女自身が描いたものだそう。ゴシック調のイラストと日本語のタイポグラフィーが融合した、シュールなデザインが面白いんです。彼女は日本のアニメカルチャーにも影響を受けていて。最新アルバム『Miss Anthropocene』には、日本のアニメやゲームをオマージュしたMVを制作した作品があるんです。例えば『My Name Is Dark』のリリック・ビデオでは、セーラームーンのフィルターをまとっていたり、『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターが背後に登場したり。収録曲自体はすごくアングラなものばかりだから、よっぽど好きじゃないと理解しにくいと思いますが……(笑)。だけどそれができるのは、どれほど自由に表現しても付いてきてくれる絶対的なファンがいるから。それってすごいことだし、羨ましいなと思います」

自分の感性を信じて“好き”を続けたい

「デザインと音楽、どちらもやっていると、好きなことを好きと言い続けることの難しさをひしひし感じます。やっぱり周りに認められないと不安になりますし、実際音楽活動を始めたことで、Instagramのフォロワーが少し減ったんです。だけど、思うように音楽ができなかった頃のフラストレーションを考えると、好きなことが全部できている今は心が健康な気がする(笑)。自分の“好き”をとことん貫いて、それに付いてきてくれる人が増えていくのが一番の理想ですね。以前『Ooveenの曲ってすごく絵的だよね』と言われたことがあって。その時『絵と音楽を両方続けていけば、音楽を絵的に作ったり、絵を音楽的に作ったりできるようになる』という美大の予備校の先生の言葉を思い出しました。確かに私はコラージュをするような感覚で音楽を作っていて、デザインで培ったセンスが生かされているのかなと思います。今はデザインの仕事で稼いだお金を音楽の資金にしているから、もっとOoveenの活動を形にしていけたら嬉しいな。いつかエレクトロミュージックの聖地と言われるドイツでライブをしてみたいですね」

“High&Low” by ery

— High —

その時にしかできない経験

旅行やライブなど、一度切りの経験にはお金を惜しみません。大学時代のサンフランシスコへの語学留学では貯金をほぼ使ってしまって、その後の卒業制作をつくるお金がなくて大変でした……。

— Low —

自分らしいファッション

ファッションは大好きですが、ほとんど古着か祖母の服を着ているので10,000円を超える買い物は滅多にありません。身の回りにあるものを、いかに自分らしくスタイリングするか考えるのが好きです。

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