May 21, 2024 / CULTURE

西洋占星術師の淡の間による
PERK的12星座コラム

古代ローマの詩人·マニリウスは、著作『占星術または天の聖なる学(Astronomica )』の中で、人間の事象や地上の出来事を占星術的世界観と結びつけました。彼が解いた星の世界のように、この世のさまざまな出来事や生活、文化(Culture)を占星術的世界観と結びつけてみること。日常に溢れる占星術的象徴を示すカケラを拾ってみたり、単独化された一つのピースとしての「星座占い」ではなく、「星の影響はすべて自分の中にある」と体験してみること。そんな風に、たまには占いだけではない「星」の入口があってもいいのでは? 「私は〇〇座だから」という一方向だけの狭いキャラ付けにとどまるだけではもったいない。「私の中にもこの星座の世界が存在しているのかな?」という広い視点で感じてもらえたら嬉しいです。この連載が一周する頃には、「ASTRONOMICULTURE」を通して内なる多面的な星座の世界のグラデーションやレイヤーを感じることができますように。今月は双子座のおはなし。

TEXT_Aynoma
ILLUSTRATION&TITLE DESIGN_YUUKI
EDIT_Yoshio Horikawa, Maria Ito(PERK)

双子座の季節
双子座の生き方
双子座の精神性
双子座の信念
双子座の時期に生まれた人たち
次なる旅への誘い

双子座の季節
 新緑の季節が過ぎて夏至を迎える前、季節を繋いでいく変わり目の時期。五月病とも言われる鬱屈としたムードを吹き晴らすような爽やかな季節……と言いたいところですが、年々多湿化していく日本の夏を前に心の湿度も上がっていきそうですね。梅雨入りを控えた5月から6月は身体も心も少々憂鬱な気持ちになる人も多いかもしれませんが、今月のテーマ「双子座」の季節でもあります。双子座は「風」のエレメントを担う星座です。風とは、目に見えないけれど確かにそこに存在する「気」のことでもあり、伝播していくバイブス、繋がり、そして行き交う情報のこと。季節の変わり目を吹き抜けていく爽やかな風。停滞していたムードを晴らしていく気の流れを作るように、閉じこもっていた部屋の空気を入れ替えつつ外へ飛び出していきましょう。2024年5月26日には発展と拡大作用や然るべき評価をもたらす天体·木星が、約12年ぶりに双子座のエリアへと移動することで社会を含め個人の生き方に関わる人生全体の『気』の入れ替えが進むような転換期を迎えます。その影響は個人のみならず社会全体に作用し、一つの物事(拠点·働き方·肩書きなど)に捉われない柔軟性や、自分にかけた見えない呪いを解いてより軽やかに進んでいく動きが生まれそう。なかでも太陽星座が双子座の人(5月20日前後~6月20日前後に生まれた皆さん)、世代的には1964~65年、1976~77年、1983~89年、2000年に生まれたすべての星座の皆さんにとっては人生の換気的な出来事があったり、自分を閉じ込めていたような鎖から解き放たれるようなひらめきがあるかもしれません。

双子座の生き方
 太陽系の天体で言えば、知性·通信·伝達を司る水星の神の領域が双子座のテーマに紐づけられています。水星の神·ヘルメスは神々同士の連携、神と人との連携、冥界と地上界との連携など、互いを結びつけて関わりを生み出す伝達(メッセンジャー)の役割や商人、旅人の象徴、そのほかにもその高い知性を使った頭の回転の早さから口のうまい詐欺師の元型とも言われています(必ずしも双子座の人=詐欺師ということではありませんよ!)。人間の肉体で言えば呼吸を担う肺や、伝達を担う神経系統、腕や肩など上半身で2つある部位など、あらゆる流れや動きに関わるパーツが該当します。新鮮な流れは、肉体にも精神にも良い新陳代謝をもたらします。
 点と点を結ぶことで生まれる新しい流れや繋がり、交通、移動、通信に関わるすべてのことは水星もとい双子座が管轄する「風」の作用が担う領域です。知性という道具を使って生み出されるコミュニケーションは自分以外の他者(世界)との交わりをもたらし、新しい流れを作ります。ゆえに双子座、もしくは出生のホロスコープチャートに水星の作用や影響が強く現れる人は、自分以外の他者(世界)との交わりによって生まれる事象や知覚に関わってくる仕事や、高い知性を要する仕事、言葉や秩序を使う仕事(システムの構築やマスコミ、IT関係、出版関係など)、情報の伝達や移動を要すること、世の中全体に新しい風や新鮮なひらめきをもたらす役割などを担います。また「双子」というのは二面性の象徴でもあるため、一方向にはとどまらない才能やマルチタスクに対する適性、2拠点生活という選択肢が現れることも。

双子座の精神性
 言葉や思考は秩序を生み出す魔法。「知性」という道具を使ってどこまでも世界を広げてみたい。ヘルメスの足についた羽のように遠くの世界へ自分を運んでみたい。可能な限り知性という道具を使いこなしてみたい。自己と他者(世界)との交わりのなかで生まれる動き、その流れのなかでこそ双子座の魂は輝きます。また、移動が重要なキーワードでもあり、流れを行き来することで生まれるクリエイションや人との関わりのなかで生じるひらめきを大切にします。古くから移動と学び·商業的発展は共にあるもの。それが元来の商売の仕組みであり、その動きのなかで生じる金銭のやりとりのために先人たちは工夫を凝らしてきました。商いとは“飽きない”という語源から来ているもので、双子座の性質に紐づけられた水星の神が商業の神でもあることから現れた影響とも言えそうです。一方ではその頭の回転の早さゆえに興味関心の対象が移りやすく、飽きっぽいという印象を持たれることもあります。しかし本人(双子座的要素)にとっては、短い人生の中で可能な限りたくさんの物事を吸収したいという思いが溢れているからこそ。そのため、一つの方法や道に捉われずに多数の選択肢を許したり、溢れる才能の表す先を縛ることなくいくつかの表現方法を持つなど、自分の人生を飽きさせない工夫を凝らして生き方を絞らないことや自らフットワークを軽くする姿勢が重要です。

双子座の信念
 人生の風向き、その流動性を閉じ込めることのないように、軽やかな風のように生きてほしい。どうかあなたの自由でみずみずしい感性や新鮮なひらめき、あらゆる物事へ好奇心を示す姿勢を大切にしてください。そして自分のコンディションが重たく感じる時は、まずは浅くなっていた呼吸を整え、心の換気や物理的なフットワークを活発にできるよう意識してみてください。また、年齢を重ねても新鮮な感性や衰えない肉体を備えることから身軽で線の細い軽やかな印象を持たれることもあります。「若いね」と言われるのが見た目のみならず、感覚的にも世の動きを先に読む力があるためか雰囲気や佇まいにも表れているかもしれませんが、空気を読みすぎて気疲れをしたり落ち着きのなさが目立たないよう注意をしたいところ。

双子座の時期に生まれた人たち
 アンジェリーナ·ジョリー、ジョニー·デップ、ナタリー·ポートマン、メアリー=ケイト&アシュリー·オルセン姉妹、新垣結衣、川端康成、太宰治、二宮和也、広瀬すず、ファーストサマーウイカなど。自らの才能を惜しまず軽やかに表現していく多面体の輝きを持ち、齢を重ねても衰えることのない新鮮な魅力が溢れている人。自分の内なる世界を「言葉」という秩序で表現できる人。「旬の顔」のようなタレント性を持つ人。時に歯に衣着せぬ発言が注目を浴びることもある、あらゆる意味での新しい「風」の流れを生み出す人たち。

次なる旅への誘い
 魂の乗りものとも言える肉体に内包された私たちの魂は、成長を求めてあらゆる経験を重ねます。次なる旅は蟹座の領域へ。心の中にあるプライベートな領域、自分が求める安心、外と内とを結ぶ心の城の築き方などを考えてみます。夏至までの約ひと月、心と身体のメンテナンスを心がけながら穏やかに過ごせますように。

※引用  
佐治晴夫著 『からだは星からできている』、マルクス・マニリウス著『占星術または天の聖なる学(Astronomica )』

PROFILE

淡の間(あわいのま)
西洋占星術や西洋神秘学、タロットカード、ヨーロッパ発祥の自然療法などを学び、オリジナルのカウンセリングや講座などを展開しながら地球を修行中。占いのほか、コンセプト監修や文章も執筆。「GINZA」のWEBサイト、 「kufura」などに連載を持つ。
@aynoma.jp

PROFILE

YUUKI
“セルフラブ”をテーマにイラスト、作詞、クリエイティブディレクション、壁画アートなど幅広く手がけるアートクリエイター。カルチャーイベント「Art Culture Street」を主催(ex-CHAI)。
@_whoisyuuki_
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@ymym.tokyo
@artculturestreet