The Favorites Forever

#02 吉田恵理子/「6」ディレクター

Apr 25, 2024 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

スタイルのある女性が、昔も今もこれからも手放せないフォーエバーなアイテム。そんなものにこそ、トレンドに流されない彼女たちのアイデンティティが表れているはず。連載第2回目は、「6」のディレクター吉田恵理子さんに「素になれる等身大のような服」というスウェットを紹介してもらった。

PHOTO_Yu Inohara
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa (PERK)

PROFILE

Eriko Yoshida

吉田恵理子/「ユナイテッドアローズ」の販売やバイヤーなどを経験したのち「ビューティ&ユース」の立ち上げに携わり、2013年に現職の「6(ロク)」をスタート。大の古着フリークで、定期的に行きつけのヴィンテージショップに足を運ぶ。映画、音楽、カメラに加え、新しい趣味として今年こそはドラムを始めたいそう。
@rokueriko
@6______roku

年齢と共に捉え方は変われども
ずっと身近にある存在

 “SPORTS” “MILITARY” “ETHNIC” “MARINE” “WORK” “SCHOOL”の6つのエレメントをベースに、違いのわかる大人女性のためのカジュアルスタイルを提案する「6」。そんなショップのディレクターを務めるだけあって、これまで星の数ほどの服に袖を通し、マイスタイルを楽しんでこられたことは容易に想像できるけれど、今回吉田さんが用意してくれたのはヴィンテージを中心としたスウェットたち。
「日々のスタイルにずっと組み込まれていますね。長らく古着を買い続けてきて、クローゼットがパンパンでもスウェットだけは絶対に手放せなくて。10代の頃は渋カジブーム全盛期で、アメリカのカルチャーを着るようなイメージでカレッジモノから入りました。そこから「UA原宿本店」で働いていた20代に〈マルタン マルジェラ〉などのデザイナーズクローズと出合ったんですけど、どうもリアリティに欠けるというか、なかなか自分のものにできないみたいなところがあったんです。そこでモードの服を上手く中和してくれて、自分自身を表現できる服としてスウェットをよく組み合わせていました。30代は子育てしていたこともあって、ヘビーデューティな道具として考えていて。そういうふうに歳を重ねるごとにスウェットの捉え方は変わってきたものの、ずっと身近な存在であることには変わりないですね」
 現在はこれまでに知り得た深くて広い情報と、今の気分が落とし込まれたスタイリングの感覚、その両方のバランスを取りながらスウェットに向き合いたいという。

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彼の地のカルチャーが色濃く表れた選挙用スウェット
メイン写真でジャケットの中に前後逆さまに着た半袖スウェットは、20年ほど前に高円寺の古着屋で購入。「アメリカで選挙の投票を促すために作られた服で、その当時バンダナなどVOTEアイテムをいろいろ集めていて。昔買ったものは小さいサイズが多いけど、また最近気分なので着ていますね。前と後ろを反対に着るなど、スタイリングを考えるのも好き」

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「6」のアティチュードをコミカルに表現
昨年11月、キャットストリートから青山に移転オープンした際に販売された「6」のオリジナル。スヌーピーのアーカイブの中から、吉田さんが考える女性像を表したメッセージを選びバックにプリント。フロントには“RED LIP”の文字が。「『6』を立ち上げた当時は赤いリップをつけている人があまりいなくて、ブランドとしてのアティチュードを重ねました」

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ジョン·レノン好き垂涎の一着
バンドTシャツは数あれど、なかなか見つからないというミュージシャンモノ。こちらは〈フルーツオブザルーム〉のボディにジョン·レノンのユルめのイラストをプリント。「ビートルズやローリング·ストーンズくらいしかないなか、たまたま見つけて。そんなに古い年代のものではないんですけど、蛍光色のプリントが落ちてきた感じが可愛い」

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メモリアルジャケット感覚で楽しむ
袖が切り離されそうなほどのハードなダメージが見られる古着のスウェット。「以前、LAに古着の買い付けに行っていた際に、卒業式でみんなが絵やメッセージを描くメモリアルジャケットが気になっていて。こういう手描き特有の雰囲気が好きで、これもうっすらと人の顔やマークが入っています。無地っぽく着られることもあり、合わせやすくて好きな一枚」