INDEPENDENT GIRL
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Musician
May 20, 2020 / CULTURE
早く外出したいけれど、
家の中も面白いと気づけたので
それは今回の収穫でした。
自分の価値観や気分を大切にしながらものを選び、日々を過ごす。そんな新生『PERK』がテーマに掲げる“INDEPENDENT GIRL”を象徴する6人に、ステイホームについてZoomインタビューを実施。5人目はスリーピースロックバンド「羊文学」のギターボーカル、塩塚モエカさんの登場です!
――早速ですが、以前と比べておうちでの過ごし方に変化はありますか?
ライブがなくなってしまったりしたので、家で過ごす時間は長くなりましたね。もともと家で曲をつくることも多かったのですが、外出や移動の時間が減った分、本を読んだりNetflixを観たり、たまに息抜きで近所を散歩したりしています。今年の春まで大学に通っていたのですが、今までは朝家を出て学校からそのままバンド練習、21時か22時くらいに練習を終えるまでは家には帰って来ないのが日常で、音楽活動に占める時間が長かったです。
――そうなんですね。最近読んだ本や観たNetflixの作品で、特に印象に残っているものはありますか?
本は村上春樹さんの『辺境・近境』です。ライブの時にお客さんからいただいて、ずっと読めていなかったのでこれを機に読んでみようかと。村上さんご自身の紀行なんですけど、今は旅ができる状況ではないので、こんなところに行ってみたいなと思いを馳せながら読みました。あ! あと、宮崎夏次系さんという漫画家さんが好きで、ほぼすべての作品を集めています。なかでもデビュー当初に出された『変身のニュース』が好き。「昼休み」というトイレットペーパーに遺書を描き続ける男の話など短編集なんですが、宮崎さんの不思議な世界観で描かれるお話はどれもおすすめです。1冊は友達にあげてしまったので、これは自分用に2冊目。Netflixに関しては友達がストーリーズに投稿していたのがきっかけで、『アンオーソドックス』を観ました。ユダヤ教のコミュニティから抜け出して音楽大学を受験する女の子の話を描いた作品で、すごく面白かったですね。
――あと、事前アンケートに「外出が多いとなかなかできない実験をしている」とあったのですが、これはどういうことですか!?
音楽の実験ですね(笑)。ドラマのBGMをつくる仕事をいただいた時に宅録の機材を買ったんですが、それが置きっぱなしの状態になっていたんです。いろいろ試しながら曲をつくったり、ピアノを家で弾いてみたり、同じく眠ったままの状態だった笛を吹いてみたり、そんな実験をしています(笑)。宅録の曲はこれまであまりやってこなかったし、バンドでやれるかどうかはまだわからないですが、これを機に勉強しています!
――おうちでの作業が増えたと思いますが、仕事がはかどるコツのようなものはありますか?
これは以前にミュージシャンの君島大空に教えてもらったんですけど、今日やりたいことを紙に書き出して、やり終えたらどんどんチェックをつけていくんです。その方法が一番上手く時間を使えると、最近わかりました。それに、今までは朝に曲を書くことが多かったのですが、宅録だと夜のほうがはかどることにも気付いたんです。だから朝に発声練習をして、夜に宅録するとか。ご飯の時間などでスケジュールを区切りながらメリハリをつけています。時間がたっぷりあるとあれもこれもとなるんですけど、それもだんだんと枯渇してくるので、適度にインプットしたり、流行りのZoom飲みをしたりしています(笑)。
――Zoom飲みも。何人くらいでされているんですか?
マックスで14人くらいです。楽しいですけど目が疲れますね(笑)。普段も仕事でPCを使って、休憩中もPCのモニターを眺めていると本当に目が疲れるので、ほどほどにと思っています。目の疲れを和らげるために、最近はラジオを聴いていますね。もともとはテレビっ子でしたが、最近は耳だけでいいやと。おすすめの番組はTBSラジオの『アフター6ジャンクション』。RHYMESTERの宇多丸さんがパーソナリティをされていて、一度出演させていただいたこともあるんですけど、この機会に改めて聴いてみたらめっちゃ面白くて。いろいろ勉強になるなと思いながら楽しんでいます。
――なるほど。普段、音楽ではどんなジャンルやアーティストを聴くことが多いのですか?
何でも聴くんですけど、最近は高木正勝さんの曲をよく聴いています。高木さんはアニメ映画の『おおかみこどもの雨と雪』で音楽と主題歌を手がけられていた音楽家で、今は京都府と兵庫県の県境の山奥に住まれていて、『かがやき』というアルバムでは、地元の人に自分の曲を歌ってもらったり、子供たちの合唱がアルバムに入っていたり……。部屋でゆっくり聴いていると、どこか旅している気持ちになれるんです。あと、このアルバムは絵本のようなつくりになっていて、すごく素敵なんです。手に取りたくなりますよね。七尾旅人さんの『Stray Dogs』というアルバムもそういうデザインになっていて、こちらもハマって聴いています。
――音楽と絵本、世界観がさらに広がりますね。次の質問に移りますが、おうちではどんな服装で過ごされていますか?
部屋着は外出する時とほぼ同じ服を着ています。もともと普段着がかちっとした感じではなく、リラックスできるものを選んでいるので、家でも違和感なく過ごせるというか。特にワンピースをよく着ています。家にいるからといってずっとパジャマだと、一日のやる気が出ないので、朝起きたら着替えるようにしています。ちなみに寝る時はTシャツが多いですが、パジャマは「無印良品」です。
――お部屋はどんな雰囲気ですか?
実家で暮らしていた時は周りにいっぱい自然がある環境だったんですけど、最近都心のほうに引っ越しをして緑が少なくなったので、部屋ではリラックスできるようにナチュラルなものや温かい色のものを集めています。外出自粛になってからは実家で過ごしているんですが、こっちは今まであったものばかりなので、本、楽器、洋服など、とにかくモノが多くて大きなおもちゃ箱みたいな部屋です(笑)。ブランドブックの切り抜きや海外土産のポストカード、好きなダンサーの公演のチラシ、DM、美術館で買ったポストカードなど、壁にいろいろ貼っていますね。
――おうち時間での運動不足の解消法は何かありますか?
ラジオ体操とGAGAというコンテンポラリーダンスのメソッドをやっています。ラジオ体操は、以前担当をしていただいていた美容師さんが、ご夫婦で毎朝Instagramに投稿されているのを観て私も始めました。お二人がスタンプカードをストーリーズにあげていて、それがスクショして使えるようになっているので、それを貯めるために毎朝8時半から始めて、第2体操までしっかりやっています。GAGAというのは、イスラエルにバットシェバ舞踊団というダンスカンパニーの人たちがいて、そこの人たちが行っている身体に対する感覚を磨くためのメソッドみたいもの。ダンサー用もあるんですが、私は一般の人用のレッスンをZoomで受けています。オンラインで現地の先生が手本を見せてくれるので面白いですよ。GAGAを知ったきっかけは知人の照明さんから教えてもらって。調べたら都内のダンススタジオでもやっているみたい。去年、『ミスター・ガガ 心と身体を解き放つダンス』という映画がNetflixで放送されていたらしくて、すごく観たいんですよね。上達具合はどうだろう……。GAGAは鏡を見ない分、自分がどういう動きをしているかわからないんですよね。運動とは無縁だったんですけど、何となく身体が軽くなった気がしています。
――スキンケア方法など肌のケアについても教えてください。
化粧水は「マークスアンドウェブ」のフランキンセンスシリーズのモイスチャーハーバルウォーター、クリームはモデルの安藤百花ちゃんに薦めてもらった「アンブリオリス」のモイスチャークリームを使っています。ネイルは「uka」の1番を時々塗ってますね。あとこの前、「M·A·C」のメイクアップアーティストの人たちが「ユースキン」の緑の蓋のクリームを使っていたんですけど……。
――緑の蓋といえば、しその葉エキス配合のクリームのものですか?
そうです! しっとり具合がちょうど良くて、しかも「M·A·C」の人たちが使っているから、いいのかなみたいな(笑)。スキンケアに関しては、刺激が少なさそうなものを選んでいます。あとは香りも重要ですね。まだ探し中です。そう言えば、以前に韓国にライブに行った時に買った「クレアス」の化粧水もすごく良かったですよ。どのブランドもそうですが、肌が弱いので馴染ませる際には、あまりこすらないようにしています。顔全体を軽く押さえる感じで、ただのっけるみたいな。あと、化粧水は二回塗るのがいいと聞いたので実践しています。結構ざっくりです(笑)。ヘアや全身に使えるオイルも使っていて、「ローランド」グロッシー・ネクターと「ダヴィネス」のオーセンティック オイルなど。「イソップ」のレスレクション ハンドバームも好きです。香り系では、「トバリ」のSPRING SNOWと、祐天寺にあるセレクトショップ[セイン]のオリジナルブレンドルームフレグランスがお気に入りです。
――バスタイムはいかがでしょうか?
お風呂はシャワーだけで済ますことも多かったんですが、今はゆっくりお湯に浸かろうと思って、本を持って入って読んだりしています。それでも30分くらいですかね。肌が痒くなりやすいので、バスオイルもバスソルトも入れない派です。あとシャンプーは誕生日にメンバーからもらった「スリー」のスキャルプ&ヘア リファイニング シャンプー Rを使っています。めっちゃいい香りがするし、髪がふわふわになります。トリートメントは、美容院でトリートメントした時にいただいた「デミ コスメティクス」のコンポジオEQ マスクA。クレンジングは「ロゼット」の無添加米ぬか洗顔フォームをかれこれ5年くらい愛用しています。
――リフレッシュ方法については何かありますか?
夜に空を眺めることです。実家は夜も人通りが少なく、カーテンを全部開けるようにしています。今ちょうど季節の変わり目なので、窓を開けると風の匂いが日によって違ったりして。なんかいい匂いだなとか、そろそろ雨が降りそうだなとか。PCなど近いところばかりを見ているので、疲れたら外を見て目を癒しています。
――夜の話の流れで、睡眠のこだわりも教えてください。
「セガトイズ」のホームスターライトという、小さい家庭用プラネタリウムを天井に映して寝ています。星は15分で自動的に切れるので、寝落ちしても問題ありません(笑)。寝る直前まで曲をつくっているとアドレナリンが出ているのでなかなか寝付けないのですが、星を眺めていると自然と眠くなりますね。motherというバンドをやっている山内彰馬くんが、川のせせらぎを聞きながら寝ていると言っていたので、それも今度試してみようかなと思っています。でもそのお気に入りのプラネタリウム、引っ越し先に持って行っているから実家にはなくて。今はちょっと前に屋久島で買ってきた、島のいい香りがするルームスプレーをシュッとしてリラックスしながら寝ています。
――あと、おうちで白湯をよく飲まれているとか。
はい。部屋の中でも靴下を履いているくらい冷え性なので、お湯ばかり飲んでいます。喉の調子が悪い時に潤すためにもいいですよ。お湯以外では、[カルディコーヒーファーム]で売っている「セレッシャル」のスリーピータイムというカモミールティーがすごく好きで。最近は保温のボトルに淹れて、飲みながら作業しています。あと、いい電気ケトルが欲しいなと思っていて、「ラッセルホブス」のシルバーのケトルが可愛いので買いたいなと考えています。
――ショッピングについてもお聞きしたいのですが、最近宅配で届いたものはありますか?
バンドのヘアメイクを担当してくださっているkikaさんから、大学の卒業祝いとしてリキッドソープが届きました。[ブルペン]という幡ヶ谷にあるインテリアショップの商品なんですけど、すごくいい香りなんです! kikaさんは2018年に『若者たちへ』というアルバムを出した時からずっとお願いしていて、公私共に仲良くしてくれてお姉ちゃんのような存在。すごくパフェに詳しくて(笑)、この間も自由が丘の[カフェ リゼッタ]というお店に連れて行ってくれたんですけど、めっちゃ美味しかったです。あ、買い物の話でしたね(笑)。ネットショッピングはあまりしないですけど、祐天寺にある古着屋の[スティーフ]がすごく好きで、3日に一度くらいオンラインショップをのぞいています(笑)。
――あと、今は実家に戻られているとのことですが、家族との過ごし方はいかがでしょうか?
そうですね。これまでは外食が多かったんですけど、自粛中ということもあって家で食べることが増えました。実家の近所に農園が2つくらいあって、タケノコとか旬の野菜がロッカーに入って売っているんです。私はあまり料理をしないんですけど、お母さんが作ってくれるので。前まではそもそも家にいる時間が少なかったけど、食事もそうですし、今は家族との時間が充実しています。
――ちなみに、実家でペットは飼われていますか?
ペットはいないですね。ずっと猫派だったんですけど、この間YouTubeでやったおうち音楽のイベントで七尾旅人さんのそばでワンちゃんが弾き語りを聴いていて、七尾さんもワンちゃんに語りかけながらギターを弾いてたんです。それを観てめっちゃいいなと思いました。私も大きめのふわふわとした犬を飼いたい(笑)。
――そうなんですね(笑)。それでは最後に、自由に外出できるようになったら真っ先にしたいことを教えてください。
バンドの練習がしたいです(笑)。あと、美術館にも行きたい。以前はよく行っていたのですが、美術館にいると小旅行をした気分になれるので好きです。ライブもしたいし、他の方のライブも観たいです。早く外出したい! でも、家の中にも面白いことがいっぱいあると気づけたので、それは今回の収穫でした。
PROFILE
Moeka Shiotsuka
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