My culture_MUSIC
Feb 28, 2021 / CULTURE
ハワイの民謡をアレンジした
癒しをもたらす特別なナンバー
映画や音楽、本にアートといったカルチャーを、『PERK』が注目するINDEPENDENT GIRLがリコメンド。今回は豪徳寺の古着店[アイデント]のオーナーを務める井手寛恵さんに、自身にとってのヒーリングソングだという安藤裕子の「アロハオエ」について伺った。
EDIT&TEXT_Yuka Muguruma(PERK)
PROFILE
HIROE ITE
安藤裕子を知ったきっかけ
「私にとって大切なヒーリングミュージックです」と彼女が紹介してくれたのは、女優兼シンガーソングライターの安藤裕子がハワイの民謡をアレンジした一曲。まずは好きになったきっかけを尋ねた。
「幼稚園の頃から仲のいい友人が安藤さんの大ファンで、いろいろと曲を薦めてもらううちに私も好きになりました。自分を偽ることなく、その時に感じた等身大の気持ちを表現しながら曲作りをする彼女の姿勢に惹かれます。決してファンタジックな音楽が好きなわけではないけれど、どこか曖昧で幻想的な世界観は、彼女にしか表現し得ないものなのかなと。噛めば噛むほどに味が出るというか、繰り返し聴いているうちに、独創的なメロディとリリックが癖になってくるんです。学生時代から15年以上聴いている、お気に入りのアーティストです」
彼女にとっての音楽と、この曲の魅力
彼女がピックアップした「アロハオエ」は、映画「四十九日のレシピ」の主題歌として知られ、伝統的なハワイの民謡からインスピレーションを得て制作されている。井手さんの音楽との関わり方、そしてこの曲の魅力を聞いた。
「実は私の生活と音楽は、そこまで密接なものではなくて。むしろたくさんの音楽の中から曲を選んで聴くことは、私にとってかなりのエネルギーを必要とする行為なんです。もともと思考を巡らせてしまうタイプで、あれこれ考えすぎてオーバーヒートしてしまうこともしばしば。そこに音楽が入ってくると少し疲れてしまうんです。積極的に音楽を聴けるかどうかが、自分のコンディションを図るバロメーターにもなっています。だけどホットな状態の時に唯一聴くことができるのが、安藤裕子さんの『アロハオエ』。これは2013年リリースのアルバム『グッド・バイ』に収録されたカップリング曲で、世界中で親しまれているハワイの民謡を安藤さんがウクレレによる弾き語りでアレンジしたもの。ゆったりとしたメロディに安藤さんの透き通るような声が重なって、パンクしそうな頭の中を落ち着かせてくれるんです。愛する人との別れを惜しむ切なさを綴った原曲のニュアンスを壊さないよう、彼女自身の言葉で紡いだ歌詞も素敵。忙しくて煮詰まってしまった時やどうしても眠れない時に聴いて、気分を安らげています。この曲を流すとパンパンになった思考がふと和らいで、ありのままの自分を穏やかに受け入れられる。私の毎日にすっとなじんで癒しを与えてくれる、特別なヒーリングソングです」
感性を大切に、愛されるお店作りを
「今と昔の安藤さんの作品を聴き比べると、曲調や歌詞が少し変化していて。それでもなお、私の生活に溶け込んでくれるような音楽が多いなと。歌詞を細かく分析するタイプではないですが、物事を自分なりに解釈したうえで、繊細な心の機微を言葉で表現してくれる彼女のアイデンティティが好き。思わず口ずさんでしまう心地よさを感じます。私は幼い頃から知的好奇心を満たす遊びのようにファッションを捉えて、目の前にある服をどうやって着こなすか、自分なりの感性でゲームのように楽しんできました。[アイデント]でも、お客さんにただ可愛い服を選んでもらうのではなく、その方ありきのコーディネートを提案していけたらと思っています。そして、もっと自由にファッションを楽しんでほしい。私も安藤さんのように自分の感性に共感してくれるようなファンを増やして、長く愛されるお店作りをしていけたらいいですね」
“High&Low” by HIROE ITE
— High —
本郷[一会]での贅沢な食事
— Low —
豪徳寺[浜口水産]の練り天
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