INDEPENDENT GIRL
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Iko Natsukawa
High and Seek
Director,Buyer

May 14, 2020 / CULTURE

お気に入りのものたちが
溢れているおかげで、
家で過ごすのが楽しくて。

自分の価値観や気分を大切にしながらものを選び、日々を過ごす。そんな新生『PERK』がテーマに掲げる“INDEPENDENT GIRL”を象徴する6人の女性たちの、自宅での過ごし方を特集。3人目は、抜群のセンスとバイタリティを持つ[ハイ アンド シーク]のディレクター兼バイヤー、夏川イコさんです。

――まずは、外出自粛要請以降のおうちでの過ごし方についてお聞かせください。

実はそれほど普段と違いはないんですよね。インドア派なので、家では本を読んだりオンライン漫画を読んだり、映画を観たりして過ごしています。ただ、以前より家にいる時間が長くなった分、部屋が散らかっていると気になるので、掃除は自然とはかどるようになりましたね。ショップは不定休での営業のため、自粛前も毎日お店に行っていたわけではなくて。海外などに買い付けに行く時もお店を閉めちゃっていたし、わりと家で過ごすことに慣れています。あと、去年の年末から春頃まではオーダー会ばかりやっていたので、まだ仕事に影響が出ているとかはあまり感じていないのですが、インポートのデリバリーには遅れが出ています。例えば、今日胸元に付けているロブスターの爪型ブローチなどを扱っている「ラルカ ブズラ」はスペインのブランドなのですが、現地がコロナで大変なので配送を待つことになりました。

――そうなんですね。今お話しいただいた漫画や映画は、どういった作品を観ているんですか?

漫画は最近、何を読んだかなぁ……。ギャンブル系、ホラー系、少女漫画に、BLも読みます。絵が好きだったりするとワーっと一気に読んじゃいますね。大好きなんですよ、漫画。最近はものが増えてきりがないので、単行本を買うのを控えていて、iPadで漫画アプリを読んだりしています。ちょっと前に一気読みしたのは『シュトヘル』。あと、中村光さんの『ブラックナイトパレード』も面白いし。それから、『ちはやふる』、『あさひなぐ』、『ダイナー』、無料漫画アプリのサイコミで読んだ、オタクっぽい男の子がめっちゃ強いっていうストーリーの『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』も良かった。どんなジャンルも読むので、タイトルがパッと出てこないですね。映画に関しては、最近DVDプレーヤーを繋ぎ直したので、家にあるDVDを観直していて。この前観たのは、ロシア映画の『NIGHT WATCH』と『DAY WATCH』のDVDセット。無駄に世界観が広くて、そうかと思えば急に話が終息するんですよ。ヴァンパイアとかいろんな異種が溢れている世界で……、あ、大ヒットアクションSF超大作ってパッケージに書いてあります(笑)。でも『NIGHT WATCH』で広げた話が『DAY WATCH』で訳がわからない話になって……、まあそれはそれで面白いなと。あとは『花様年華』のコスプレをしたいなとか、『NOVO』は5分くらいしか記憶がもたない人の話でラブストーリーなんですけど、これも服がおしゃれ。やっぱり映画を観る時はファッションをチェックしますね。あとは曲、映像が美しいかとか、ロシアのカルトっぽい作品も好きです。『フェティッシュ』はストーリーが好き。殺人現場マニアの女の子の話なんですけど、テンポが良くて。

――音楽はいかがでしょうか。

普段そんなに聴かなかったんですけど、最近AirPods Proを急に欲しくなって買ったんです。掃除の時にいいですよね。エレクトロとか聴きます。でも漫画や映画と同じように音楽も何でも聴きます(笑)。強いて言うならハッピーな音楽が好きかな。いいと思ったものはすぐ購入して、シャッフルさせながら聴いています。

――漫画も映画も音楽も楽しまれているんですね。おうちではどんな服装で過ごされていますか?

メキシコに住んでいた頃からそうなんですけど、パジャマで一日過ごしていると気が引き締まらないんですよね。ベッドに入る服と部屋の中で過ごす服を替えたいというのもあって。部屋着は過去に外出着として買った一軍を部屋着にすることが多いです。ボトムは「リーバイス」率が高め。今日もヴィンテージTシャツに「リーバイス」のデニム、ベルトはスペインの雑貨屋で買ったものです。あとはブランドだと着古した「メゾン マルジェラ」、「ドリス ヴァン ノッテン」とか。パジャマは身体を締め付けたくないから基本メンズサイズを選んでいます。ラインがストンとしているのもいいですね。レディースのものだと脇からウエストにかけてシェイプしていたり、窮屈なものが多かったりで……。あとこだわりで言えば、ウエストは自分で締めたいからゴムはなし、絶対に紐じゃないと嫌です。紐がついていれば、ゴムを切っちゃうくらい。締め付けの痕がつくのも気になるんですよね。冬はフランネル生地、春夏はコットン、柄はストライプが好きです。「ブルックスブラザーズ」や「L.L.ビーン」のものを気分で着ています。

――並々ならぬこだわりがありますね! それでは次に、おうちのインテリアについてお聞きしたいです。

とにかく好きなものだけをとことん集めているので、ヴィンテージから新品まで、ごちゃまぜに置いています。だけど、なぜか統一感は出ているはず(笑)。お気に入りのものたちが家中に溢れているおかげで、家にいるのが楽しくて。朝起きた時に、壁に飾った絵を眺めて「あの絵いいなぁ」とか思ったり。あとは台湾土産の動物のオブジェや外では被ったことがないけど、装飾のキレイなボリビアの先住民の帽子。海外の喧嘩祭用のベルトに、イギリス人デザイナーの「エレナ ドーソン」のショールームにお邪魔した時にもらった木の枝、トルコのセマーグッズ、ロシアのサワークリームの蓋まで(笑)。壁に掛けた帽子とハートネックレスを眺めていると、楽しかったメキシコの思い出が蘇りますね。毎日好きなものを眺めて癒されています。

――さまざまなジャンルのものをコレクションされていますが、アートではどのようなものを集めていますか?

クラフト感のあるフォークアートやアウトサイダーアートが好きで、旅先でピンときたものは即購入しています。とにかくヘタウマ系には目がないです。メキシコのオアハカという街の中心街の柱の陰で、ひっそりと作品を広げているおじさんが作っている木彫りの民芸品アレブリヘは、彼に出会えたら必ず買っていました。作風が現代アートっぽくて、ワニやイグアナ、ウサギ、イマジナリーアニマルも。自分で名前を書くことができない方なのか、作家名はわかりません。ほかの人は普通に動物をモチーフにしたアレブリヘを作るんですけど、このおじさんだけは、こんな動物、普通にはいないっていうオリジナリティが素敵なんです。あと、『ドラゴンボール』の孫悟空っぽい絵付けのものを露店で見つけて(笑)。ピッコロや天津飯、餃子などセットで買っちゃいました。胸の漢字が微妙に書けていない愛らしさもツボで。日本では、もう閉店してしまったんですけど、荒川遊園地前駅の[河内屋糸店]の店主が作っていた変温肉食獣や地球外生命体の骨もお気に入りで、部屋の一角に骨コーナーを作って飾っています。

――あと、ご自身でインテリアプロダクツブランド立ち上げられていますよね。

2018年にハンドメイドと日本製にこだわったインテリアブランド「モッド.ライフハードウェア」を立ち上げました。愛知県の老舗金属加工メーカーのナガサキ工業で作ってもらっています。本棚の横に置けるハンガーラックが欲しかったことがきっかけです。なかなかいいサイズがないのと、パイプ部分が空洞なのって安定が悪いなと思っていたので、それだったらと自分好みのものを作ることにしました。ちゃんと自立して、武骨でいてミニマルなデザイン。細めのフォルムで配置換えも楽なんです。アイウェアスタンド、マガジンラック、ラダーラックなどバリエーションを増やしているところです。アイデアは実生活を通して得ることがほとんどですね。自分自身が欲しいものを作ってもらうことが多くて、S字フックも丸いのが嫌いなので、シャープなフォルムにするとか。変なこだわりが強いんですよ。外出自粛中の今は、バッグを収納するラックを作りたいなとかじっくり考えたりしています。きっかけもそうでしたけど、自分で作ってしまったほうが早かったりするので、例えばキッチンの小さい棚とかスパイスラックとかを自分でD.I.Y.もしたり、気に入った布があればカーテンとかも自分で縫ったりします。とはいえ、少々面倒くささもありますけど(笑)。

――外出自粛の時間を使っていろいろ構想中とのことですが、おうちで仕事をされる際のコツみたいなものはありますか?

ポストイットにやるべきことを書いてPCに貼っていきます。そうしないとすぐ忘れちゃうのと、仕事が積み重なっていくのが苦手で。さっさと片付けてしまいたいタイプなので、貼ったものをどんどん処理していきます。作業の時間は細かく区切らないですね。完全な夜型です、メール対応も夜にテキストを打っておいて、時間設定で朝に送信するとか。逆に朝は苦手。何時間寝ても昼から動きたいです。

――夜型なのですね。今の時期の運動不足やストレス解消法、リフレッシュ方法はどうされていますか。

ラジオ体操をやっています。PC作業が多いので、肩回りを動かせるのがいいですね。運動はあまり好きじゃないんですけど、体操すると運動した気になります(笑)。それ以外だと歩くことかな。お店で作業がある時は、電車に乗らずに30分から1時間かけて歩いて行きます。密にならないようにというものもありますし、いい運動になりますよね。

――おうちでのボディケアもお伺いしたいのですが、スキンケアやヘアケアなどでしていることは?

それが特別なことはやっていないですよね。肌が弱くて化粧品で肌が荒れてしまうので、ファンデーションも塗っていないです。今はマスクをしているからあまり化粧をしないですしね。リップも塗ったり塗らなかったりで、目元や眉毛だけメイクしています。ただ、冬には加湿器を朝から晩までつけています。一緒にハッカオイルやアロマを焚くことも。身体には乾燥対策に「ニベア」。安くてたっぷり塗れるものを使っています。メイクはあまりしないのですが、香りは気分を変えられるものとして大事だと思っていて、香水とヘアクリームは種類を揃えています。「ブリー」のチュベローズ・デュ・メキシクは甘い香りが好きで、主に冬につけています。アルゼンチンの「フエギア」のラゴ・デル・デシエルトは水のような香りで、夏はリフレッシュできますよ。髪には「ジョンマスターオーガニック」のR&Aヘアミルク Nとヘアワックス。これも香りが好きで、艶も出せるので髪をまとめる時に。「レオノール グレユ」のユイル レオノール グレユは香りでチョイスしたもの。あとは「ウテナ」のゆず油無添加ヘアオイル。これは薬局でも購入できます。

――バスタイムのアイテムについても教えてください。

シャンプーはLAで買った「シーウィードバス」のシャンプーを使っています。シャンプーはいつも滞在先で買うことが多くて、これはオーガニックで泡立ちも良かったので気に入ってリピートしています。タオルはインドの手紡ぎ手織りの布のカディタオル。ボソボソしたタッチが可愛くて、なおかつ乾きやすいんですよ。パイル地のタオルは冬に使うにはいいんですけど、これは熱い国ならではの素材というか、夏とか素早く乾かしたい時におすすめです。お風呂上りに頭に巻きやすいところもいいんですよ。鎌倉にある[チャハット]というお店のネットショップで好みのデザインと出合えたらその都度買っています。

――ネットショッピングもされるんですね。最近オンライン購入したものはありますか?

探すのが好きなタイプなので、お店は決めずによくネットサーフィンしながら買い物を楽しんでいます。最近買ったのは、ザクザクとした食感で瑞々しい大根おろしができる星野工業の鬼おろし器。最近は自炊する機会も増えているので、調理道具も充実させたいなと。実は昨日も新しいフライパンを買ったし、鍋も買い替えたいなと思っています。あと、内堀醸造の美濃三年黒酢もAmazonで買いました。柔らかい風味なので、コンソメスープに入れてみたり、タレとして使ったりしています。もともと外食よりも家で食べるのが好きなのと、外出自粛で家にいる時間が多くなったので、料理には時間をかけるようになった気がします。つい最近はストウブ鍋でカオマンガイを作りました。お肉の下処理をちゃんとしないと臭みが出るのかなとか考えながら、時間をかけてちょっとだけ手の込んだものを作っています。

――あと事前アンケートによると、コーヒーにもこだわってらっしゃるみたいで。

目黒や代々木上原にある[SWITCH COFFEE TOKYO]のコーヒーはどれも美味しいですよ。毎月月初におすすめのシングルオリジンコーヒーが届くサブスクリプションを使っています。私は豆のまま購入して、毎回淹れるときに挽いて飲んでいます。時間がある時にはトルコで買ったミルで手挽きもするのですが、無精者なので「カリタ」の電動ミルを愛用中。そしてドリップするのもやはり面倒なので、フレンチプレスで淹れています。浅煎りのシングルオリジンが好きなので、出先で美味しそうな豆があると購入したり。マグカップもたくさん持っていて、ベルリンの壁、博物館のオリジナル、「シュプリーム」のボックスロゴの元ネタでも知られるバーバラ・クルーガー、ニコラス・ケイジのものも(笑)。服だけでなく、食器もなんだかんだコレクションしています。

――マグカッこれだけ揃えているとその日の気分で変えられていいですね。

そうなんですよ。気分で変えるものに関してはベッドメイキングも。布好きなのでたくさんのデュベットカバーとリネンの枕カバーを持っていて、インテリアの雰囲気を気軽に変えられるので楽しんでいます。リネンは汗をかいた時も吸収力があって蒸れないので、気持ちよく寝ることができますよ。

――それでは最後の質問になりますが、今の事態が収束して外出できるようになったら、何をしたいですか?

街へ買い物に出かけたいですね。ショッピングセンター、古着屋さんと、お店に行くこと自体が好きなので、いろいろ見たり買ったりしたいです。仕事の話で言えば、日本のクライアントさんとはテレビ会議などでやり取りはできていますけど、素材とかを直接見に行きたいですし、直接会って話したほうが早いという気持ちもあります。あとは、早めに海外へ買い付けに行けるようになればありがたいですね。それまで辛抱です!

PROFILE

Iko Natsukawa

夏川イコ
(High and Seekディレクター、バイヤー)
表参道のヴィンテージマンションにあるセレクトショップ[High and Seek]のディレクター、バイヤー。ショップには自身が本当に欲しいと思うアイテムや、丁寧なものづくりを感じられるデザイナーズが揃う。ファッションへの深い愛と、唯一無二のセンスが支持を集める。
Instagram_@ikonatsukawa
http://highandseek.blogspot.com
https://www.modlifehardware.com

後日リモートインタビューの動画もアップするので、お見逃しなく! こちらでもお知らせします!

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