Feb 18, 2025 / HOROSCOPE
西洋占星術師の淡の間による
PERK的12星座コラム


古代ローマの詩人・マニリウスは、著作『アストロノミカ』の中で、人間の事象や地上の出来事を占星術的世界観と結びつけました。彼が解いた星の世界のように、この世のさまざまな出来事や生活、文化(Culture)を占星術的世界観と結びつけてみること。日常に溢れる占星術的象徴を示すカケラを拾ってみたり、単独化された一つのピースとしての「星座占い」ではなく、「星の影響はすべて自分の中にある」と体験してみること。そんな風に、たまには占いだけではない「星」の入口があってもいいのでは? 「私は〇〇座だから」という一方向だけの狭いキャラ付けにとどまるだけではもったいない。「私の中にもこの星座の世界が存在しているのかな?」という広い視点で感じてもらえたら嬉しいです。この連載が一周する頃には、「ASTRONOMICULTURE」を通して内なる多面的な星座の世界のグラデーションやレイヤーを感じることができますように。今月は最終回、うお座のおはなし。
TEXT_Aynoma
ILLUSTRATION&TITLE DESIGN_YUUKI
EDIT_Yoshio Horikawa, Maria Ito(PERK)

うお座の季節
うお座の精神性
うお座の生き方
うお座の信念
うお座の時期に生まれた人たち
うお座の季節
立春を過ぎてからというもの、心なしか五感に訴えかけてくる次の季節の訪れ。これまで続いてきた12星座の旅路はこれが最後の世界。やぎ座、みずがめ座、うお座と続くこの3星座の順には、宇宙的神秘の世界観が秘められていると言われています。やぎ座は前世と今世を結んでいく業の世界、みずがめ座は宇宙意識の共鳴を表す領域。そして今回、最終回となるうお座の世界は、すべてを内包して“終わり”と“始まり”を結んでいく。大いなる生命の源泉へと還っていく愛の世界です。

うお座の精神性
うお座の性質をひと言で言えば、「結び」の役割と言えるでしょう。うお座のシンボルマークである「♓️」は、2匹の魚の尾を結んでいるという様子が描かれています。関連する神話は諸説あり、金星の女神・アフロディーテとその息子エロスが、怪物テュポンから逃れるためにお互いをリボンで紐付け離れられないようにした神話が有名ではありますが、詩人マニリウスは著作である『アストロノミカ』のなかで、「アフロディーテとエロスを乗せた魚」と記述しています。いずれにせよ、1匹ではなく2匹の魚が結ばれていることが重要なのですが、これに二面性や結びの性質が投影されているからです。星座の性質における二面性に関しては、過去のコラムでふたご座やいて座についての記述でも触れてきましたが、うお座でいうところの二面性、もとい結びの性質とは、季節が冬の終わりから春へと向けた変わり目をつないでいくことや、古い年度と新しい年度が切り替わっていく様子などの季節的な傾向、そして終わりと始まり、死と生命、物質と非物質、現象と事象といった非対称に対立する両者との間や、これまでとこれからを綿々と“結んでいく”生命のサイクルがそのまま投影されている世界観と考えることができるのです。
うお座の生き方
うお座にとっての生きる力、行動力の源泉は愛そのものです。うお座の人々が見ているもの、感じること。その濁りのない瞳や感覚を通していったい何を思うのか、感じるのか。そのフィルターには、どんなものが映し出されているのかを体験してみたい。基本姿勢は「YES(許容)」。どんな嫌なことや憎むべきことでも、その裏にある弱さを見て愛おしさを感じる才能があります。ゆえに、何ものも否定せず、生きるもの、自分と関わるものすべてを慈しみ受け入れようとします。自分とまったく関係のないことでも共鳴・共感作用の大きさから、あらゆるものを見て目が潤んでしまうことは日常茶飯事。常にうるうるしています。理性を持って目に涙を浮かべることはなくとも、心が大洪水になっていることでしょう。しかし、抱えきれないことまで受け入れようとしてキャパオーバーになることもしばしば。まるでバスタブの水が溢れるように、心のキャパシティが大荒れになってしまうことでしょう。何事にも愛を持って接したいので「優しい人」になりがち、またそう思われがちですが、実際のところは「断れない、嫌われたくない」という姿勢が目立つために少々優柔不断な面が目立つことも。本当はやりたくないことも「NO」と言えず、心のバスタブが溢れる寸前まで我慢していっぱいいっぱいになってしまうことも多いのでは? だって決められない、断れない、全部受け入れたい。今見ている美しいものすべて心の中に留めておいたり、愛すべき人たちを皆受け入れられたりしたらいいのに。けれども、そんなことできるわけなく、自分の見ている世界を愛おしいまま「かたち」にしたいと願い始める。そのような経緯で、うお座生まれの人たちの中からはアーティストや表現活動を行う人や奉仕活動を行う人が出てきます。再度伝えますが、うお座にとっての行動力の源泉は愛そのもの。だから、その愛を自分だけでなく多くの人たちと一緒に共感したり、共有できたりしたらこんなに幸せなことはないでしょう。

うお座の信念
私は今、ここに生きています。あなたもまた生きています。そしてこの文章を読んでいます。今日という日を生きながら、さまざまな経験をしたことでしょう。何を食べ、何を感じ、何を思いましたか? 「生きる」という行為のなかに生まれる数々の事象には、たくさんの無意識なものと自覚的なものに関わる体験が連続して現れます。
美しいこと、おいしいこと、かぐわしいこと。こういった肉体感覚を通して感じられる、あらゆる事象や経験を形にして残しておくことはできません。また嬉しい、楽しい、悲しい、辛いなど、あらゆる「感情」も「形」として目には見えないものです。
「生きる」という行為のなかに含まれる、あらゆる体験を肉体の感覚を通して感じること。それには「見えるもの(肉体)」と「見えないもの(精神)」が同時に内在しています。肉体や物質は目に見えるけれど、感情や感覚そのものは目に見えません。この2つの世界を結んでいる見えない繋ぎ目によって、私たちは生かされているのだと言えるでしょう。そして、この「結び」の概念こそがうお座の世界なのです。
目に見える世界、つまりは肉体的な生命の源流を果てしなく辿っていけば「海」に行き着きます。また、見えない世界のことを「魂的な領域」とするならば、それもまた果てしない「海」のように広がる潜在的世界のことを示します。つまり、うお座的世界とは何かと何かの狭間を結んでいく光のような愛であり、生命の源流のこと。果てしなく広がる愛、そして大いなる海のような生命の源流的世界とも言えます。
私たちは大いなる海こと宇宙、そして子宮から生まれ、12星座を通してあらゆる体験を積み、あらゆる感情のすべてを許し、内包しながらまた命の海へと還っていくのです。
うお座の時期に生まれた人たち
今上天皇陛下、岡本太郎、ルドルフ・シュタイナー、サンドロ・ボッティチェッリ、アルベルト・アインシュタイン、スティーブ・ジョブズ、水木しげる、米津玄師、haru.、あいみょん、桜井和寿、菊池風磨(timelesz)。
※引用
佐治晴夫著 『からだは星からできている』、マルクス・マニリウス著『アストロノミカ(Astronomica)』

PROFILE
淡の間(あわいのま)
西洋占星術や西洋神秘学、タロットカード、ヨーロッパ発祥の自然療法などを学び、オリジナルのカウンセリングや講座などを展開しながら地球を修行中。占いのほか、コンセプト監修や文章も執筆。「GINZA」のWEBサイト、「kufura」などに連載を持つ。2025年版のオリジナルダイアリーが公式サイト、または全国の取り扱い店舗にて絶賛発売中。
@aynoma.jp

PROFILE
YUUKI
“セルフラブ”をテーマにイラスト、作詞、クリエイティブディレクション、壁画アートなど幅広く手がけるアートクリエイター。2月22日(土)から3月2日(日)まで、神宮前の「MAT gallery」にてソロエキシビション『世界はうつくしい / The world is beautiful』が開催される。
@_whoisyuuki_
@yuuki_artwork
@ymym.tokyo
@artculturestreet