Food Community
May 31, 2026 / CULTURE
話題の新店舗を巡り、新境地開拓を楽しむことも一つだけど、食を知り尽くす飲食店オーナー・スタッフが本気でおすすめする、ホットな店を訪ねるのも間違いないはず。とっておきの店を教えてもらい編集部Mizumoが巡る、フーディストによる数珠繋ぎ「Food Community」。 第三回目は「local du club」のオーナー久保寺さんとシェフの庵地さんのレコメンドしてくれた、欧風創作料理の「Lunette」。周年イベントを「local du club」で開催したり、お互い店を閉めたあとに行き来するほどの仲の良さだという。食事はもちろん、店主の個性が光る店だと聞きつけて心を弾ませいざ入店🥮🍷
PHOTO&MOVIE_Ataro Dojun
EDIT&TEXT_Mizumo Uehara(PERK)

前回と同じく西新宿のエリアに位置する「Lunette」。入り口が奥まっているため一見見つけづらいものの、店先に陳列しているワインボトルが目印になる。ガラス扉の奥に噂の店主、井上さんが満面の笑みで出迎えてくれて、一瞬にして緊張が解けました。店内は木を基調とするアットホームな雰囲気で、至るところにキャラクターモチーフの雑貨があったりと、初めて来た場所なのに「おかえり」と言われているかのような安堵感。メニューには提供までの大体の時間も記載されていて、丁寧さが伝わります。


Order, 1
おつまみと冷菜 盛り合わせ¥1,500(1人前)
オレンジワイン Famille Hebinger「MUMA 2024」¥1,300





着席するや否や「今日はどんな気分?」と聞かれ、早めの初夏を感じてしまうほどの蒸し暑さだったので、フレッシュですっきりしていてグビグビ飲めるワインをオーダー。何種類か出していただいたなかでも、井上さんのワインベスト3に入るという「MUMA 2024」をいただきました。「アルザス産のワインで、収穫される時期よりも2週間ほど早摘みしたマスカットを100%使っているから、繊細でさっぱりしてるけどマスカットティーみたいな感じ。腰に手をあててグビグビ飲めちゃいます」。透き通るオレンジ色がきれいで、フルーティな口当たりが今の気分にまさにマッチしていました。確かにグビグビ飲めてしまうので、ある意味危険なワイン! 紅茶のような感覚でこんなにも軽快にスルッと飲めるワインは初めてでした。ワインに感動している最中、カウンター内ではせっせと前菜を調理中。いつでも新鮮で、できたてを食べてもらいたいから、なるべくオーダーが入ってから料理を始めるとのこと。手際よく盛り付ける前菜たちを隙間から見ていましたが、待ちきれず思わず覗き込んでしまいました。
初めてのお客さんは99%頼むという前菜の盛り合わせは、旬の食材によってメニューの変動があるものの、「Lunette」ではずっと人気のメニュー。どれからいただくか迷っていたところベストな順番まで教えてくれ、食に対する熱意が感じられて嬉しい。まず、静岡県産のサーモンと国産オレンジのカルパッチョは、バーナーで脂身をさっと炙っているので香ばしさが感じられ、デコポンのジューシーさも合わさって抜群。レモングラスでタイ風に仕上げているのが新鮮でクセになる。ブルーチーズのポテトサラダは、キメの細いマッシュポテトでもったりと濃厚な味わい。常連さんもこのポテサラのファンが多いそう。自家製のパテは、独特の臭みはなく肉肉しく弾力があるうえに、シャキシャキの蓮根とつぶつぶ(もはやプチプチ)のマスタードが合わさって食感が楽しい。つぶ貝のアチャールは、生きたつぶ貝を茹でるところから調理していて、噛むほどに甘みが広がり、和えたスパイスオイルが絶品でした。五感を揺さぶる最高のひと皿、この至福をぜひ体験してほしいです。

Order, 2
国産鹿肉のポモドーロ¥2,400
スパイス入りフォンダンショコラ¥800
赤ワイン Moon wine「Rouge Sur Blanc 2021」¥1,450


メインの料理はポモドーロをチョイス。ボロネーゼまでいかない、さっぱりとした酸みのあるトマトソースに、脂分が少ないごろっとした鹿肉が入っているシンプルなスパゲッティ。ソースが2mmの太麺によく絡んでいて、パスタの“噛んで食べる感覚”が好きという井上さんのこだわりに共感です。2杯目のワインは、酸が立ち過ぎない丁度いい塩梅の赤ワインをいただきました。奥行きのある果実みが、心地よく食事と合わさり最高のペアリングです。締めにスイーツもいただくことに! 実は「Lunette」をリサーチしていた時、元パティシエ出身だと知り必ずスイーツまで堪能したいとあらかじめ決めていました。おすすめのフォンダンショコラは焼き上がるのに15分程かかるのですが、この待ち時間がかえって期待へと変わっていくのを身を持って実感。念願のフォンダンショコラは、甘過ぎない生地にトロッとした熱々のチョコが絶品です。温めたものではなく、できたてをいただけるのもおいしいポイント。3種類のスパイスが入っていて、このスパイスはスパイシーさを出すというよりかは、チョコをよりおいしく引き立たせるための役割とのこと。奥が深く圧巻です。




「おいしい料理って、キラキラしているんですよね」と話す井上さん。独立前に働いていたイタリアンレストランで、トップシェフが間違えて作ったボンゴレビアンコを賄いで出された時、今まで見たことないくらいキラキラと輝いていたのだそう。それを機に自分がキラキラしていると感じる料理は、十中八九おいしいものばかりでその感情が忘れられず、常に料理を提供する時はその記憶を意識しているとのこと。感情に真っ直ぐで、当時のときめきや衝撃を今でも大切に保ち続けている真摯な姿が、料理や接客に表れていると感じた。訪れてから数日経った今、すでに恋しくなるほどに素敵な時間で、「Lunette」は幸福で満たされるまさにキラキラとした空間でした。


Mizumo’s little voice💭
突っ込まずにはいられないシュールな猫のイラストのグラス。人の家に来た感覚になってほしいから、食器類は揃えずに気分でバラバラのデザインを購入しているそう。ここにも「Lunette」の色が垣間見えた瞬間でした🐈⬛

Information
Lunette
東京都新宿区西新宿4-10-19 西新宿コーポビアネーズ 1F
TEL_070-9075-7098
19:00~23:00
土日 18:00~23:00
@lunette_tokyo