The Favorites Forever

#02 吉田恵理子/「6」ディレクター

Apr 25, 2024 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

芯はあるけど肩肘張らない
アメリカで目にした理想の女性像

 そもそもスウェットに惹かれたのは、アメリカのストリートで目にした魅力的な女性たちがきっかけだったそう。コメディ映画『ワーキング·ガール』で描かれていたような今で言うバリキャリ的な強さを伴うイメージが、時代のシンボルでもあった80年代。そこから吉田さんが「UA」に入社し、海外出張に行き始めた頃には、それまでとはまた違った新しい女性像が確立されていた。
「駆け出しだった90年代後半くらいに、アメリカに行くようになったんですね。そうしたら、芯はあるんだけど80年代のようなプロテクトされたようなファッションではなくて、スウェットにスニーカーといったリラックスした着こなしを楽しんでいる素敵な人たちがたくさんいたんですよ。今では珍しくないですけど、当時の日本にはほとんどいなかった。私もこういうかっこいい大人になりたいと憧れましたし、カジュアルでいて社会性があるファッションを広めたいという気持ちも芽生えました。休みの日に限らず、これから先もスウェットのようなカジュアルな服を主役にしたスタイリングを考えて、それを楽しめる自分でありたい。もう永遠の課題というか、昔も今もずっと追い求めている感じです」

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古着好きを虜にする東京ブランドの一着
2021年秋冬シーズンにデビューした〈アプレッセ〉のハーフジップスウェット。「去年、展示会にお邪魔した際に購入しました。襟をきれいに立てて着られるようになっていたり、半裏起毛だったり、ヴィンテージを研究されているだけあって、もの作りの視点が面白いですね。古着が好きな私も、これは欲しいと思った新品のスウェット」

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手染めならではのダイナミックな色柄
ハンドドローイングを活かしたオリジナルのテキスタイルで知られる〈NOMA t.d.〉のもの。「去年、〈ナイキ〉と〈ステューシー〉とトリプルコラボレーションしたスニーカーがローンチされたんですけど、それと同じタイミングで作られた非売品のスウェットをいただきました。ハンドダイによる、彼女たちらしい大胆で力強い柄が気に入っています」

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アノニマスだけど個性的な手描きの絵柄
こちらの古着も、手描きプリントによってフラッグのような絵柄がデザインされている。VOTEスウェットと同じく20年近く前に手に入れて以来、定期的に袖を通しているそう。「わかりやすいキャラクターモノよりも、こういった作り手のパーソナリティが表れているアイテムに惹かれますね。ちょっとだけ染み込んでいるペイントのタッチも可愛いです」

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カットオフしてラフに着るのが吉田さん流
スウェットと言えばの〈チャンピオン〉が1980年代に製造していた、通称“トリコタグ”と呼ばれる一着。シャツの上にレイヤードしたり、〈アプレッセ〉のハーフジップスウェットに重ね着したり、モダンなスタイリングを楽しんでいる。「もともとは半袖だったんですけど、ラフに着たいという気持ちが勝って最近ノースリーブにカットオフしました(笑)」

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