Summer Seen Through Nails

Aug 13, 2026 / BEAUTY

数週間、肌の一部のように共に過ごすネイルは「ふと目に入る指先がかわいいだけで、少し気分が上向く」、そんな小さな高揚感を日常に忍ばせてくれる。自分のために選び、自分自身をときめかせること、それもまた、ファッションが持つ誘惑の一つ。

技術だけでは完成しない、感性と人との距離感がものをいう仕事だからこそ、ネイリストの数だけ表現があり、その人自身の美意識やスタイルが表れる。この夏、PERKが掲げるテーマは“Handsome Temptation”。6名のネイリストがそれぞれの感性で解釈した、“ハンサムで誘惑的”を指先に閉じ込めてもらった。6人6様の美学が広がる、小さな世界を覗いてみよう。

PHOTO_Riho_Harashima
EDIT&TEXT_Mizumo Uehara(PERK)

Creative by KARIN「HIGDÉN」トップネイルデザイナー

「凛とした強さや余裕のある美しさをテーマに、派手な装飾で目を引くのではなく、質感や余白を意識しながら、“なぜか気になってしまう”、そんな静かな存在感を表現しました。経験を重ねるなかで、“足すこと”よりも“引くこと”によって、その人自身の魅力や個性がかえって際立つことに気づき、余白の美しさを意識するようになりました。デザインだけでなく、物事の捉え方や人との向き合い方にも通じているように思います。すべてを盛り込むのではなく、軸や本質を見極めながら必要なものだけを残していく。そうして削ぎ落としていくことで、自分にとって“本当に大切なもの”を選び取れるようになったと感じています。“自分の感性をアートして表現すること”と“お客様の日常に寄り添うデザインを形にすること”、その両方を叶えられることがこの仕事ならではの醍醐味だと思います」

Creative by Kyoko Tomizawa「DISCO」「DISCO root」ネイリスト

「“Handsome Temptation”というテーマから、自立した芯のある女性をイメージしました。そのなかに、トレンドのレースや繊細な輝きのあるパーツを取り入れることで、強さだけでなく、ふとした瞬間に見える女性らしさや上品さを表現しました。“経験を重ねることで生まれる深み”という面で、物事の見方や価値観は人それぞれ違うということを日々実感するようになりました。以前よりも自分の考えだけで判断するのではなく、相手の考え方や価値観を尊重することを大切にしています。私はまだネイリストとしての経験は浅いですが、お客様の想いや理想をネイルという形で表現し、完成した作品を見て喜んでいただけた瞬間に、一番やりがいと幸せを感じます。ネイルを通して、お客様に前向きな気持ちになっていただけることが、この仕事の大きな魅力だと思っています」

Creative by Natsuki「nutt」ネイリスト

「凛とした美しさの中に、思わず惹き込まれるような儚さを表現しました。繊細な花をあえて少しぼかすことで、曖昧さが生む奥行きや余韻を演出しました。すべてを見せない美しさが、上品でミステリアスな魅力につながるよう意識してデザインしたのもポイントです。歳を重ねるにつれて、考え方がよりシンプルになったと感じます。友人関係や物事の捉え方、足を運ぶ場所、身につけるものなど、以前は選択肢を増やすことに意識が向いていましたが、今は“自分にとって本当に心地よいもの”を自然と選ぶようになりました。ネイルも同様に、デザインはひとりで完成させるものではなく、お客様と一緒に作り上げるものだと思います。カウンセリングや何気ない会話のなかから“その方の心地の良い、かわいい”を見つけ、形にしていく過程がなにより楽しいです。技術やデザインを評価していただくことも嬉しいですが、お客様と一緒に“かわいい”を共有できる瞬間こそ、ネイリストという職業に手応えを感じます」

Creative by Yuri Nakashima「丹」ネイリスト

「余裕や知性を感じる“大人の魅力”を表現したく、深みのあるカシスカラーをベースに、シャープなラインや立体感のあるパーツを組み合わせることで、凛とした強さと女性らしい色気が共存するデザインに仕上げています。過度な装飾ではなく、細部のバランスで品格が浮き出るように配置しました。時を重ねるうちに“自分に本当に似合うもの”を選ぶ大切さを知り、技術やデザインも、引き算の美しさや余白の価値を意識するようになりました。その変化が、今の作品づくりにも自然と反映されていると思います。同じオーダー内容でも、表現方法は人によって全く異なります。お客様一人ひとりの想いや雰囲気を汲み取り、その方らしいデザインとして私なりに解釈し落とし込む。デザインを通してその方の魅力や個性をより引き立たせることができた瞬間に、この仕事ならではのやりがいを実感します」

Creative by Sakura「senn.」ネイリスト

「飾りを纏うのは、隠しているようで魅せたい部分があるからだと考え、何かを秘める様にモチーフを添えました。透明の雫で透かして見ると、少しずつ奥ゆかしさがほどけていく。そんな“人の素直な部分”をイメージしました。大人になるにつれ、好きと苦手が明確になったと実感しています。例えば片手で数えられるくらいだった嫌いな食べものが、以前より増えてきたり、わがままな部分がいろんな場面で実直に表れてきたと感じます。誰かに教わったことを大事にするのも、時には少し手放してみるのも、自分らしさの一つだと思い自分の気持ちに素直に生きる大切さを覚えました。ネイリストとして、デザインを気に入っていただくことは大前提ですが、そのうえで私が本当に痺れるのは、その先に“次”が生まれることです。再び足を運んでくださり、ネイルの感想を聞かせてもらったり、前回の会話の続きを話してくださったり。ネイルをきっかけに、その人との時間が少しずつ積み重なっていくことに、この仕事の醍醐味を感じます。『また喜んでもらいたい』その純粋な気持ちがネイリストとしての原動力となり、新しいデザインを生み出す発想へと繋がっています」

Creative by Koba Horie〈si〉オーナー

「“ハンサムな誘惑”と聞いた時にまず浮かんだ色が、ポップな原色ではなく、深みある色 × 白のイメージでした。“ハンサム”には深みと艶感を併せ持つビートルイエローのミラーを、“誘惑”には不規則なカーブを光沢感のあるホログラムで表現し、白のカーブラインはグラデーションによりぼかされる様を配置しました。今まで感覚と感情で行動する事が多く、これまでの30年間は思うままに行動してきました。20代はアパレルから歯科助手、ジュニアネイリストから独立と、自分らしく生活する為の選択をしてきたので、様々な境遇に置かれていくうちに、嫌な事、好きな事が明確に知れたと思います。ひとつの場所に長く身を置くことで育まれるものもある一方で、これまでの行動や経験を通して得た感情や感覚も、自分の中に確かに残っている。それらの積み重ねが、これから何かを選び取るときの感覚を作ってくれているように思います。一からデザインを考え、その人のイメージや理想を落とし込んでいく。そこから生まれた表現が“かわいい”や“おしゃれ”といった感情を引き出せることに、ネイルという仕事のおもしろさを感じます。ネイルと共にする約1ヶ月、何度も手元を眺めては心が弾むような、小さな喜びをお客様に届けられることが、何より嬉しいです」