COLLECT THIS
KUMIKO KATAYAMA
Oct 15, 2020 / FASHION
愛すべき“my”レコメンドカルチャー
“好きなもの”を手にした瞬間、誰しも心が躍るはず。
トレードマークのような存在のワンピース、
バイイングの思い出が詰まったアクセサリー、
自身のカルチャーと共に歩んだスニーカー、
感性を刺激してくれるヴィンテージ小物。
ファッションフリークのあの人が集めてきた、
自分だけの偏愛コレクション。
PHOTO_Shinsaku Yasujima
TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)
EDIT_Hitomi Teraoka(PERK)
COLLECTION_JEWELRY
ジュエリーは、その時々のストーリーを
鮮明に思い出させてくれる。
身体の一部のように大切に身につけています。
PROFILE
KUMIKO KATAYAMA
――ズラっと台の上にジュエリーを並べていただいたのですが、すごい数のコレクションですね。ジュエリーを集め始めたのはいつ頃からですか?
別のセレクトショップに勤めていた頃からなので、20年ほど経ちますね。収集してきたというよりも、私の20年の歴史というか自分自身の美意識が形成されたルーツ、ファッションの変遷みたいな感じです(笑)。若い頃はモードなファッションをしていたこともあり、存在感のある石やゴールドのチェーン、ボリュームのあるジュエリーなどが好みでしたが、今は[シティショップ]でいろんな国に行かせてもらうようになったこともあり、そこで出合ったものたちを手に取ることが多いです。このビーズのジュエリーやファブリックはペルー、こっちの貴石はトルコと、国や地域でジュエリーの特色があって、何でもかんでもではなく、今の自分のアンテナで美しいと思ったものを買い付けたり身につけたりしています。
――買い付けではさまざまなジュエリーに出合う機会があると思うのですが、片山さん自身はどういったジュエリーに惹かれますか?
洋服もそうですがヴィンテージが好きなので、一点ものとかに惹かれますね。出合ったら手に取ってしまうのですが、これだけの数があってもデザイナーさんや街のジュエリー屋さんとのやり取りまで、その時々のストーリーを鮮明に思い出せるんですよ。あとは、洋服との違いって毎日つけることができるかどうかというところもあるので、例えば細いネックレスであれば、シャワーを浴びる時も寝る時もつけていられる、そういう身体の一部のようにジュエリーを身につける感覚も好きです。
――すごくわかります。その日に身につけるものはどのように決めているのですか?
元気がほしい時は大事な友達がつくってくれたもの、気合いを入れたい時はヴィンテージの「ジバンシィ」とか印象の強いものをつけたり。一度ハマったら一ヶ月くらい同じものをつけ続けることもあるんですけど、それでも私のなかでちゃんと周期みたいなものがあるんです。あとは、洋服のモードに合わせてシルバーをつけたいとかゴールドをつけたいとか考えてみたり、足し算引き算をしながら決めています。
――ちなみに、今の気分やモードは何ですか?
今は引き算している時期ですかね。派手な服を一点選んだら、あとはきちんとした大人でいられるようなオーセンティックなもの。ソフィスティケイティッドな服を合わせたいので、そこにシルバーを加えて、あまりごちゃごちゃさせないのが気分です。あとはネックレスの重ねづけをしたいモードが15年ぶりくらいにきているので、短いものと長いものの重ねづけを楽しんでいます。
――なるほど。それにしてもバリエーションが豊富で、気になるものがありすぎます(笑)。
(笑)。モロッコにある[イブ・サンローラン美術館]のお土産から台湾の友人のお店で買ったもの、ヴィンテージの「ジバンシィ」に、ニューメキシコで買ったスヌーピーのシルバーリング、ポーセリンのもの、母から譲り受けたものまで、素材もストーリーもいろいろなものがあります。
――お母様から受け継いだものなども、素敵ですね。
洋服にしてもジュエリーにしても、割と派手なものや個性的なものが多いので、トレンディなムードに比重を置いている人、店という風に見られがちなのですが、それはあくまでひとつのパートであって、昔から受け継がれて変わらない価値の美しさやオーセンティックなものが結構好きで。そういうものを、いかにコンテンポラリーでモードにスタイリングするか考えています。
――買い付けの際にも意識されている点ですか?
そうですね。ジュエリーに限らず、1シーズンでいらなくなるものはもう仕入れなくなっていて。昔も今もトレンドは絶対にあるんですけど、半年後、1年後、3年後、5年後、その時々の気分に合わせてちょっとスタイリングを変えるだけで、同じものでも違った雰囲気でまとえると思うので。私自身、15年以上前とかに買ったものだったり、今は着用する機会が少なくなったりしたものでも、大事な存在であることに変わりはないですね。
――そうなんですね。バイイングに行かれる際は、その土地のフォークアートなども調べて行かれるんですか?
そうですね。ある程度の当たりをつけながらの部分もありますが、知り合いの方や協力してくれる方を探して、あとは出たとこ勝負みたいな感じですかね。マーケットなどカオス的なところから宝物を見つけることが結構得意なんです。
――洋服とジュエリーでは、バイイングの際の意識も変わってくるのですか?
洋服のバイイングもずっとさせていただいているんですけど、ジュエリーに関してはさらに自由度が増す感覚ですね。派手な洋服を着ない方でもイヤリングやブレスレット、リングはパーツが小さいので、インパクトがあるものをつけてもその方のいつものスタイルに馴染むんです。冒険しやすいんですよね、ジュエリーって。色やデザインなど主張のあるものをお店に入れることでお客様にも喜んでいただけることが多くて、私自身もジュエリーのバイイングが一層好きになりました。
Column_VASE
その土地柄、作家の違いが魅力
国内外の作品を巡りつつ壺の虜に
「母が生け花の先生や陶芸をしていたこともあって、壺は幼い頃から身近な存在で、ずっと興味のある対象のひとつ。うちのショップの世界観を構築するのに壺に力を貸してもらうことも多々あり、海外でも日本でも探すように。自宅ではリビングの目立つところに置いていて、眺めていると穏やかな気持ちになります。写真の左に写っている壺は岐阜県多治見市にある[大河内古美術店]で購入した、立派な松が3本異なる色合いで描かれた鈴木青々氏の美しい瀬戸焼です。値段ではなく、ものにまつわるストーリーを含めどんな価値を持っているのか。そんな自分にとっての“特別”をセレクトし、お客様にご提案できたらと思います」
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