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[DEPT]Company
Representative Director
eri

Oct 29, 2020 / FASHION

愛すべき“my”レコメンドカルチャー

“好きなもの”を手にした瞬間、誰しも心が躍るはず。
トレードマークのような存在のワンピース、
バイイングの思い出が詰まったアクセサリー、
自身のカルチャーと共に歩んだスニーカー、
感性を刺激してくれるヴィンテージ小物。
ファッションフリークのあの人が集めてきた、
自分だけの偏愛コレクション。

PHOTO_Shinsaku Yasujima
TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)
EDIT_Hitomi Teraoka(PERK)

COLLECTION_ANTIQUE ACCESSORIES

価値はあまり意識していなくて。
自分だけがグッとくるものを
見つけられた時は楽しいですね。





PROFILE

eri
DEPT Company代表。1983年NY生まれ東京育ち。97年「立花ハジメとLowPowers」のボーカルとしてアルバムをリリース。02年より自身のブランドを立ち上げ東京・中目黒に旗艦店を構える。主に古着屋[DEPT]、古着を利用したワンオフブランド「DEPT ONE OF A KIND」の制作、「mother」をはじめとする自社ブランドのデザインを手がけている。会社・店舗運営においてのすべての行動に対し、可能な限り地球環境への負担をかけないという理念のもと”DEPT THIRD-HAND PROJECT”をスタート。SNSを中心にさまざまな取り組みやライフスタイルを発信、提案している。そのほか、NY在住の文筆家・佐久間裕美子氏とPodcast『もしもし世界』をローンチ。環境・政治・ジェンダー・メンタルヘルスなど、さまざまな話題を通して今の地球を見つめる番組を制作している。また中目黒のVEGANカフェ[明天好好]のディレクターも務めるなど活動は多岐にわたる。
Instagram_@e_r_i_e_r_i

――今回アンティークアイテムをご用意いただきましたが、いつ頃から集め始めたのですか?

集め始めてもう20年くらいになりますね。父親が古着屋だったので、私も子供の頃から古いものが好きになって。うちの父親が主に扱っていたのはアメリカ古着だったので、逆に私はヨーロッパへの憧れがすごく強くなっていきましたね。一人でヨーロッパへ行くようになってからは蚤の市にも足を運ぶようになり。当時は10代だしお金もなくて、好きなものを好きなだけ手に入れられるわけではなかったので、少しずつコレクションしていきました。古い素材を使って洋服をつくっている時期もあったので、自分が集めたものを使ったりもしていましたが、でもどちらというと保管するタイプかもしれないですね。私、昔買ったものを見返すことが結構あるので、「あ~、これはあの時に買ったんだよな」とか箱を開けながら思い出す時間が楽しかったりもします。

――とてもきれいに保管されていますよね。ボックスの色、サイズも統一されていて。

実は今、書籍を制作していることもあって、箱も統一しつつ整理を始めました。あと、この機会に今まで集めたものと向き合ってみようかなと思い、@_brandnewold_というインスタアカウントへ、一つひとつアイテムをアップをしています。箱に分けたのはいいですけど、一人で開けてニマニマしているだけなので(笑)。撮影ために1個1個洗ったり、アイロン掛けたりする時間がすごく楽しいです(笑)。

――コレクションたちがお仕事のインスピレーションになったりも?

集めている小物たちから、自分が手がけるもののインスピレーションを受けることもありますね。色合いの参考になるし、素材感を調べてみてやっぱりこれはつくれないなぁとかでも。今の時代には技術的につくることができないものが多いので、「悔しい~!」ってハンカチを噛みながら眺めるというか(笑)。やろうと思えばできるのかもしれないですけど、服にしても既製服として販売できる値段では収まらないんじゃないかな……。

――買い付けしてきたものをプライベートでリメイクすることもあるのですか?

仕事ではしたことがあるんですが、自分で着るものはつくらないですね。これからなのかもしれないのですが、今みたいに眺めるのが好きで。つくってみようかなって思う瞬間もあるんですけど、なんかもったいないって思っちゃうんですよね。このままでも十分に可愛いぞって(笑)。それこそ、日本でパッキンを開ける瞬間がすごく楽しいんです! 買い付けの最中は本当に時間との戦いなので、追われないように買い付けをしているから、帰国してからゆっくりとパッキンを開けて眺める時間は好きですね。価値があって珍しいとされているものが入っているとかよりも、「この黄色のレース今まで見たことない。可愛い~、ラッキー!!」とか自分なりの出合いを楽しんでいます(笑)。

――やっぱり、服と一緒で小物類にも一期一会の楽しみがあるんですね。

そうですね。見たことないものとの出合いもそうですし、全く同じものはもう探せないので、そういう自分だけがグッとくるものを見つけられた時は楽しいですね。

――こういったヴィンテージアイテムは、どこで探すことが多いのですか?

海外に買い付けに行った時がほとんどですね。フランスでの買い付けの場合は、蚤の市やお付き合いのある問屋さんの秘密の小部屋に入れてもらって探す時も。このレースの詰め合わせは最近メキシコかアメリカのフリーマーケットで買ったものですね。ディーラーさんって、みんながみんなこういうレースとか小物に興味があるわけではなくて、家具を扱っている人がまとめて買った家具の中にたまたま混ざっていて、適当に袋に詰めて売ってることとかもあったりするんです。価値を理解している人だったら、結構高く売っているものだと思うんだけど、私が買ったこの人は多分興味がなかったんでしょうね。このミックス感でわかります(笑)。服とかほかの小物のなかにポンッと置いてあるのを見つけて「これは私が買う!」みたいに連れて帰ってくることもよくありますよ。

――アンティークを集める楽しみって、eriさん的にはそういう出合いにあるのですか?

そうかもしれないですね、見たことないものとの出合いや、同じものはもう探せないっていう自分だけのものを見つけられるところはすごく面白いと思います。

――直感で選ぶタイプなんですね。

そうですね。そこまで年代や価値にこだわってはいなくて、純粋に可愛いか可愛くないかが重要。例えば、ビーズが取れちゃっていたり色が褪せたりしていても、そういうのは全然気にならないんです。

――毎回これを選んでしまうなど、好みはありますか?

選ぶものの幅は結構広いほうだと思うんですけど、オリエンタル調のモチーフを買ってしまっていることは多いですね。柄は可愛いんだけれど、何に使うかよくわからないような紐とかまで用途は問わずで(笑)。

――今回ご用意いただいたものだけでも、アンティーク小物ってジャンルがたくさんあるなと感じたのですが、“このジャンルにはまだ手を出さないでおこう”などコレクションをしていくうえでのルールはありますか?

ボタンは自分自身に禁止令を出しています。集め始めちゃうと切りがないから(笑)。昔のものって基本的にどの服にもボタンが付いているじゃないですか。その分、種類も素敵なものもすごく多くて。買い付けで一日にまわれる時間ってだいたい決まっているので、ボタンを見始めてしまうとほかのものを選ぶ時間がなくなっちゃうんです。あとは着物にも禁止令を出しています……。本当に凝り性なんで、着物に手を出し始めると揃えたいものが多すぎて、保管場所がなくて困ることが目に見えているので。

――海外での買い付けが再開されたら、この先こんなものが欲しいなどありますか?

ん~、ボタンですかね(笑)。そろそろ解禁してもいいのかなって。本当に種類が豊富で、例えばボタンなのにタッセルが付いちゃうみたいな繊細な細工がヨーロッパのボタンたちにはあるんですよね。台帳みたいなものにサンプルのようにボタンが並べて縫い付けられていて、そこに名前が書いてあったりするんですけど、それがすごく美しくて……。これだけはOKにするとか、種類を限定して集めてもいいかなって思っています(笑)。

「フランスで見つけたデッドストックのバックル。スパングルだったり金属だったりプラスチックだったり、素材は関係なくいろんなバックルをボックスに収納しています」

「このトルコの巾着めちゃくちゃ可愛いんですよ。一つひとつ細かい手編みで、柄も色も眺めているだけで楽しい。トルコのキリムを使ったバッグをつくりたいと山梨の業者さんを訪ねた時に、展示会にこの巾着を持ってこられていて。商談ついでに買わせていただきました。私トルコって行ったことなくて、もし行ったら絶対探そうと思ってます」

「これは15年くらい前におばあちゃんから譲り受けたもの。おそらく日本のものじゃなくて、ヨーロッパの古いもので、花瓶などを置く飾りの敷き物だと思います。私が古いものを使って仕事をしているというのももちろんわかっていて、好きだろうと思ってくれたんだと思います」

「白と黒のコントラストと黄色いテックがお気に入りのアンティークのお花。これがあまりにも可愛いので、過去には『ラ・フルール』というよくお仕事をご一緒にさせていただいているコサージュブランドさんに相談して、現行品として再現してもらったことも」

「これは“イーネオヤ”というトルコの伝統手芸で、結びのレース。トルコスカーフの装飾としてついていたこのレースだけをどうにか手に入れたいと調べた記憶があります。立体感や発色がトルコレースの面白いところで、キッチュさというかポップさに一時期すごくハマり、トルコレースを輸入してアクセサリーをつくったりもしました。これもトルコに行けたら買い漁りたいです(笑)!」

Column_SPICES

ヴィーガン食の勉強から、
スパイスの世界にハマり中

「ヴィーガン食に向いたカレーが多い南インド料理を勉強したいと思って、友人に教えてもらった『誰も知らないインド料理』という作り方も載っている文庫本を参考にしながらスパイスを集めています。今は15種類ほど。最近買ったのはヒンというスパイスなのですが、これがすごく強烈なニオイというか、開けたらとんでもなく臭くて(笑)。でも、耳かきひとさじくらいなのに入れると美味しくなるんですよね。あと、保存容器は『KINTO』のガラスキャニスターで揃えています。密閉性も高くて、サイズもバリエーション豊富。何より全ガラス素材だと、見てすぐ中身がわかるのと、目減りしていく様子がわかるので。あとは、入れ物を揃えていたい病なので(笑)。ずっとマッチするものを探していて、やっとKINTOさんにたどり着きました」

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