To a Sustainable Future

conversation part.2

Jun 28, 2021 / FASHION

“循環”する社会を目指す
彼女たちのサスティナビリティ

自身のサスティナビリティについて対談してもらう企画の第2弾。今回登場するのは、モデルとして活躍する傍ら、自然科学にまつわる研究を行いながらアーティスト活動を行うNOMAさん(左)とハンナさん(右)。サスティナブルな未来を実現するために、今、私たちは何をするべきなのか。それぞれの活動と2人の考えを訊いた。

PHOTO_Ryo Sato(TRYOUT)
MOVIE_Kei Doguchi(TRYOUT)
HAIR&MAKE UP_YUKA TOYAMA(mod’s hair)
MODEL_NOMA, HANNA(N.F.B)
EDIT&TEXT_Yuka Muguruma(PERK)

PROFILE

NOMA

佐賀県出身のファッションモデル。幼い頃から豊かな自然環境に囲まれてきた経験から、植物をこよなく愛し、日々自然科学に関するさまざまな探求や発信、創作活動を行っている。環境省森里川海アンバサダー。書籍『WE EARTH~海、微生物、緑、土、星、空、虹、7つのキーワードを通して知る地球のこと全部~』がグラフィック社より発売中。
Instagram_@noma77777

HANNA

神奈川県生まれ。多摩美術大学工芸学科を卒業後、モデル活動をしながら“生命”や“自然”をテーマにした現代アートを手がける。最近では野生の粘菌を用いている。現在は東京大学大学院学際情報学府博士課程に在籍。
Instagram_@hannasaito

2人の主な活動について

ハンナ 私は微生物を用いたバイオアートや、生物学の研究者とコラボしたアートワークを手がけていて。“粘菌”と呼ばれるアメーバのような生物を使って、自然科学やテクノロジーと人間の関係性をコンセプトにした作品を作っています。環境問題だけにフォーカスしてきたわけではないけど、活動を続けるうちに環境問題や絶滅危惧種問題が浮き彫りになって、自分でもいろいろと調べています。だけどバイオアートを始めた原点は、自然が豊かなところで暮らしていて幼い頃から植物や自然が好きだったからかも。母が環境問題に詳しかったので、知識も自然と身に付いたし、それが作品のコンセプトに影響を与えているのかもしれませんね。

NOMA 私もハンナの展示を観に行ったことがあって、その時はガラスを使ったインタラクティブアートをしていたよね。粘菌を使ったアートワークって、どんな作品を作っているの?

ハンナ まず粘菌ってあまり聞かない言葉だと思うけど、そもそもは菌類じゃなくて、形を変えて動きながら食べ物を採取するアメーバのような生物で、変形菌という分類なの。普段は森の朽木や湿った落ち葉の裏に住んでいて、日陰が好きだから日光がある場所にはほとんど出てこないんです。今は、大学院で博士課程の研究をしつつ作品作りをしていて。最近では、オートミールをエサに、白と黄色の粘菌をゴールまで導くボードゲームを作りました。粘菌は1時間に1cmほどしか動かないから、時間を長くかけて取り組むゲームなんです。

NOMA 白い粘菌がいるんだね! 葉脈や血管と同じような線が入っていて、アメーバ独特の動きも不思議な感じがする。

ハンナ それぞれ透明度とか色が微妙に違うんだよね。粘菌には大量の核があって、群れに近い集合体という感じなの。

NOMA へ~、粘菌ってやっぱり興味深いね。私もハンナと同じく田舎で生まれ育って。自然で遊ぶのが大好きで、木に登ったり川で泳いだり、とにかくわんぱくな少女時代を過ごしました。昆虫の研究をしていた母の手伝いで一緒に山に行った時に植物採集をしていたから、もともと自然に興味があったんです。そんな時、海外の森林保全家であるアンニャ・ライトのセミナーに参加して、いかに人間の生活がアマゾンの森林やアジアの熱帯雨林に影響を与えているかを知ったんです。自然に強い愛着を抱いていた幼少期の私にはそれがショックで、環境問題を意識するきっかけのひとつになりましたね。そんな流れもあって、植物や宇宙を中心とした自然科学がたまらなく好き。現在は、研究やディスカッションを通して知識を深めつつ、アウトプットの活動をしています。

ハンナ NOMAは最近、具体的にどんなことに取り組んでいるの?

NOMA 年明けからは、いろんな角度から地球人や惑星を紐解く本をつくってる。“自然科学”と聞くと難しく感じる方も多いと思うから、サイエンスや文化の歴史、宇宙のことを、アートやイラストを使いながらなるべくポップに紹介できたらなと。苦手意識のある人にも好奇心を持ってもらいたくて、日々試行錯誤しながら制作しています。