The Favorites Forever

#06 コギソマナ/スタイリスト

Aug 26, 2024 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

歳を重ねてもずっと着たい、
こういう服を着られる人でいたい

 ラグビーボールモチーフのドレスの上にニットを合わせてスカートのように見せるとは、コギソさんらしい自由なアイデア。どう組み合わせたら面白いか、より新鮮に見えるかという選択の連続は、やはりお手のものなんだろう。
「好きを極めるとそうなっていくのかもしれないですね。カレーの達人って、そこに突然何かを足したりするじゃないですか(笑)。洒落たお店に行ってサラダにこんな意外な隠し味を入れたか、みたいな。食べもののことはあまりわからないですけど、極めるってそういうことなのかなと思っています」
 これまたコギソさんらしいユニークな例え話。また今回のワンピースは、組み合わせを考える余裕がない時に着ることが多いという一方で、背筋を伸ばしてくれるアイテムでもあるという。
「ガチャガチャしないで、ちゃんとして見えますよね。ピシッとした気分にさせてくれるじゃないですか。戦闘服とまでは言わないし、戦いでもなければそもそも誰とも戦いたくないですけど、自分を鼓舞してくれる存在というか。今晩、広尾で2万円のディナーって言われたら、ワンピ着て行こうというのは気分的にありますよね」
 あらためて8点の私物を眺めていると、例の〈ヨウヘイ オオノ〉のドレスしかり、〈シーロン〉のライフジャケットドレスしかり、ハードルが高いアイテムも少なくない。それらを臆することなくコーディネートし、マイスタイルとして完璧にものにしているのは、コギソさんだからこそできることなのだろうか。
「歳を重ねると、いろんな環境であったり周りも大人になっていったり、やっぱりこういう服ってなかなか選べなくなっちゃうじゃないですか。それでも私はずっと着たい、こういう服を着られる人でいたいなと思うんですよね。いつも思うのは、周りに恵まれているなぁっていうこと。例えば、ひとクセあるワンピース一枚で出かけた時に、『それヤバいよ』っていう人がいないんですよね。『何それコギソ、超イケてんじゃん!』、『全然大丈夫だよ!』って。その大丈夫のハードルを上げ続けた結果、こうなっちゃったんですけどね(笑)。みんないっつもありがとう!」

TFF 5/8

久々に心を掴まれた特別な黒
ベロアやレースに刺しゅうなどで繊細な装飾を施したコレクションが好評の〈タナカダイスケ〉のドレス。チャームは購入した人がネームをオーダーできたそうで、“KOGISO”の6文字が胸元できらりと輝く。「服はいっぱいあるのに黒ってそんなに持っていなくて。特別な黒しか買わないけど、この子は久しぶりにグッときたベロアのドレスです」

TFF 6/8

独創的なアイテムも臆することなく着る
葛飾区にアトリエを構えるウィメンズの ファッションブランド〈シーロン〉より、2023年春夏シーズンにリリースされた、その名もライフジャケットドレス。「厳密にはワンピースではないんですけど、ティアードスカートに枕のような浮き襟が付いた夢のあるデザインに惹かれました。数シーズン前のパリコレにも着て行ったほど大好きな一着です」

TFF 7/8

福岡のお気に入りショップで見つけたフォークロアワンピ
東京のファッションフリークにもファンが多い、福岡·大名にあるヴィンテージショップ「Are You Different」で手に入れたワンピース。「仕事で地方に行った時に地元の人におすすめのお店を教えてもらうのが好きで、こちらは時間に余裕があると立ち寄ってます。これ、くるみボタンの数がすごくないですか!? 特別なお店で見つけた特別な一着です」

TFF 8/8

服そのものはもちろん、人にも惹かれて
神戸の「クラウンマーケット」で購入したレースワンピース。「お店にはまだ行ったことがないんですけど、以前に銀座でポップアップをやっている時に友達に連れて行ってもらって。70年代のデッドストックのレースを使った、2022年にロンドンで買い付けたアイテムだそう。スーパー服が好きなオーナーのごんちゃんから買わせていただきました。大切にしていきたい一着です」

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