The Favorites Forever

#11 和井田多佳/
〈ジェーン スミス〉デザイナー

Jan 27, 2025 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

マイスタイルを謳歌する“INDEPENDENT GIRL”が、昔も今もこれからもずっと手放せないフォーエバーなアイテム。それぞれの服に目を向ければ、彼女たちが大切にしてきたアイデンティティやセンスの一端が垣間見られるはず。連載11回目となる今回は〈ジェーン スミス〉のデザイナー和井田多佳さんに、「こうありたいと思う自分を後押ししてくれる」というレザーアイテムについて話を伺った。

PHOTO_Yu Inohara
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa (PERK)

PROFILE

Taka Waida

和井田多佳/セレクトショップの販売員やバイヤーを経験したのち2005年に独立し、フリーランスとしてバイイングなどに携わる。14年に吉田雄二さんが手がける〈ジョン メイソン スミス〉のウィメンズライン、〈ジェーン スミス〉をスタート。毎シーズン、2人の日常がインスピレーション源となったコレクションを発表。旅行のほかに美容と健康が趣味で、今年からパーソナルジムに再び通い始めたそう。
@waiko1125
@jane____smith
@johnmasonsmith_janesmith_store

自分がこうありたいと思う女性像を
表現してくれるアイテム

 フォーエバーな服を紹介してもらうこの連載企画は、出演者の方に事前にいくつかの候補をリストアップしてもらったうえで特定のカテゴリーに絞っているのだけれど、意外にもレザーを挙げてくれたのは今回の和井田さんが初めて。聞けば、地元の古着屋で17歳の頃に手に入れたムートンコートが“ファーストレザー”だったそう。
「自分が欲しいと思った初めてのレザーアイテムでした。大学生になってからは、その当時のトレンドだったこともあって〈プラダ〉や〈ミュウミュウ〉のバッグ、それに〈グッチ〉のビットローファーなんかもアルバイトして買っていましたね。レザーはコーディネートが締まるアイテムだし、できるだけケアしながら長く愛用したいタイプではあるので、昔も今もずっと惹かれています」
 革のバッグやシューズは誰もが一つは所有していると容易に想像できるものの、服となると一気にハードルが高くなる、気がする。「欲しい。でも自分には似合わなさそう……」と躊躇している人も、きっと少なくないはずだ。
「私は見た目やキャラクターが周りの人から柔らかく見られることが多いんですけど、それとは反対に自分が目指している理想の女性像として、例えば芯がある、自立しているなどいくつかの普遍的なキーワードを包括しているのがレザーの服なのかなと思っていて。それに人の性格でいえば、相反するバランスの人にも惹かれますね。細やかで繊細な性格なんだけど、大らかでチャーミングな一面もあるっていうバランスがすごく好きで。だから私のキャラクターと、自分がこうありたいと思う女性像を表現してくれるアイテムでバランスを取っているのかもしれないですね」
 今回の撮影のために用意してくれた8つの私物もそうだけれど、レザーだからといって必要以上に気負うことなく、ジャケットにしてもまるでTシャツを着るようなテンションで、あくまでさらっと取り入れているところも和井田さんらしい。
「レザーってもともと皮膚というか、身体の一部みたいな感じで着られたらいいなって。なのでメンテナンスにしてもスキンケアの延長みたいな感覚で、気になったらささっとケアしています。経年変化も好きですけど、小まめにケアすればずっときれいに保てるのもレザーの素晴らしいところ。その両方を楽しめるのが魅力ですね」

TFF 1/8

スポーティなアイテムとのギャップを楽しむ
〈ジェーン スミス〉のレザージャケットは、和井田さんはもちろんスタッフ全員が所有している被りアイテム。以前のものはシープレザーだったが、2024年秋冬シーズンでは強度が強くしなやかなホースレザーを使用。「’60年代くらいにフランスの国有機関に支給されていたユニフォームをベースに、現代的にアレンジしています。今季はスポーティなトラックジャケットに合わせて着たいです」

TFF 2/8

絶対に手放せないフィービー期最後のコレクション
〈セリーヌ〉のスカートは、2018年にリリースされたフィービー·ファイロのラストシーズンのもの。白とボルドーのツートーンで、パッチワークのようなパイピングが施されている。「レザーをこうも大胆に切り替えるのかと驚かされました。やっぱり同じ女性デザイナーとして憧れていますし、彼女が手がけるコレクションのすべてに感銘を受けています」

TFF 3/8

武骨なミリタリージャケットはセットアップのハズしに
相当昔のものと推測できるヴィンテージのG-1フライトジャケット。「もともと主人のものなんですけど、譲り受けたと思って着させてもらっています。男性が好まれるような語れるディテールがたくさんあるみたいなんですけど、私は語らずに着ていて(笑)。ハズしというか、白やグレーのセットアップを着る時なんかにラフに羽織ることが多いです」

TFF 4/8

さすがは〈エルメス〉と、レザーの質の高さを日々実感
ハワイで購入した〈エルメス〉のAirPods Proケースは、移動中に首からぶら下げてR&Bやオルタナティブロック、ラジオを聴いているそう。「毎日愛用しているんですが、革の質がいいからキズや汚れがつきにくくて。品があるし服を選ばないしで、非の打ちどころがない。いろんなAirPods Proケースを試してみたものの、結局これに戻っちゃいますね」