That girl with a
“Handsome Temptation”vibe

Vol.3 英香

Aug 31, 2026 / BEAUTY

イットなヘアスタイリストに、 夏のシーズンテーマ“Handsome Temptation”なムードを纏うセンシュアルな女性像をオーダー。完成までのメイキングを一部始終密着した、6月から8月まで全3回に渡ってお届け。夏のラストを飾るのは、「une/HOUNE」代表のさん。“その人らしさ”をナチュラルに引き出し、本来持つ魅力を何倍にも輝かせる。型にはまらないひと癖ある雰囲気に、ほんの少しのモードなエッセンスをプラスし、人の記憶に残るスタイルを生み出している。彼女の作る“Handsome Temptation”は、力の抜けたムードが滲む、静かな強さを宿した女性像が浮かび上がってきた🪄

HAIR&MAKE-UP&PHOTO_Hideka(une/HOUNE)
TEXT&EDIT_Mizumo Uehara(PERK)

PROFILE
英香/「une/HOUNE」代表

都内1店舗を経て2019年、東京の青山に「une」をオープン。続いて2024年に2店舗目となる「HOUNE」を中目黒にオープンし、両店の代表を務める。上質ながらどこかひねりのある不思議なバランスのデザインを得意とする。ウェディングやヘアメイクのフィールドでも活躍中。最近はジムやピラティスで運動したり、食の勉強にはまっていたり内側から健やかでいるための習慣を楽しんでいる🧘‍♀️🍽️

“Handsome Temptation”

「最初はメンズライクな方向性も考えたのですが、私が今回“ハンサム”と捉えたのは、女性の内側に秘められた強さ。そこからイメージしたのが、文学少女のように、自分だけの“好き”を強く持っている女性でした。派手さや目に見えるかっこよさではなく、何かに夢中になっていたり、人には見えないこだわりを持っていたり。そういう人には、簡単には真似できないその人だけの芯があると思うんです。何かに打ち込む姿勢から滲み出る、女性の内なるかっこよさ。その揺るぎない芯が、自然と色気にも繋がっていく。今回は、そんな女性像を“Handsome Temptation”として表現しました」。ただかっこいい雰囲気を纏うだけではなく、好きなものやことに忠実に打ち込む、内側にある強さやブレない芯が女性の持つ色気であると教えてくれた。

「もともと自分自身、あまり派手なものよりもどこか静けさや翳り(かげり)のあるものに惹かれるんです。普段から本を読むことも好きで、わかりやすく何かを主張する人より、内側に自分だけの世界やこだわりを秘めている人に魅力を感じます。表現するときも、トレンドど真ん中を狙うというより、少し端のギリギリのラインを狙いたい。誰にでもわかりやすく届くものではなくて、“刺さる人には刺さる”くらいの感覚が好きなんです。今回も、ひと目見て“夏らしい”とわかるものではなく、『これは何なんだろう? 』と少し引っかかりが残るような、見る人によって受け取り方が変わるものを目指しました。惹かれるのは、完璧な美しさよりも、どこか儚さや翳りを含んだ“不完全な美しさ”。少しモサッとしていたり、一見すっぴんのようでいて、実は細かなこだわりが潜んでいたり。そんな、すぐには見えてこないその人らしさを大切にしながら、自分の好きなテイストに落とし込みました。ヘアは、ドライな質感を意識し、ラフな毛流れを残しました。ボサボサだけど、なんだかキマっている絶妙なバランスを表現したくて、毛先も軽くブローして丸みをつけることで、無造作ななかにもさりげなく整ったニュアンスを忍ばせています。眉カラーで1〜2トーンほど明るくし、顔全体の印象をやわらかくアップデート。肌は余計な赤みは抑えながらも、血色感とクマはあえて消しすぎず、リップは艶の出るベージュを重ね、アイシャドウにはパープルをほんのりと。ふと、俯いた瞬間に色が覗いて、どこか儚さを感じるようにしました。喫茶店のような少し翳りのある場所にも似合いそうだなと思いました。ハイライトも、青く光る〈Dior〉のラメをさりげなく仕込んで、透明感のある儚げなニュアンスをプラス。“すっぴんの子が少しだけメイクをするなら”をイメージして作りました」。ナチュラルでありながら、ふと目を奪われる魅惑的なムード。感覚にまで緻密な計算が行き届いているようで、思わず引き込まれてしまいました。

「肌の見せ方でさりげなく色気を出したくて、お腹が覗くくらいのバランスにしました。全体的に色みは抑えてシンプルにしていますが、靴は少し変わったフォルムのものを選んだり、壊れた鍵やカタツムリのモチーフを取り入れたり。整いすぎていない、どこか退廃的なムードを意識しています。ピアスやネックレスも、今回はあえてつけていません。アクセサリーで飾るというより、肌の見え方や素材、少し変わったディテールで個性を出す。そのくらいの引き算が、自分にとって心地いいバランスです」キャッチーなアイテム選びで、さりげなく個性もプラスされたスタイリング。大人しい性格ながらも自分の軸がしっかりとある女性像が、ファッションからも感じます。

「20代の頃は、今よりもずっと人の目を気にしていたと思います。30代になった今も、自分自身をどう見せるかというブランディングは意識していますが、それとは別に、すっぴんで出歩いたり、飾らず自然体でいることの楽しさがわかるようになりました。その思考と通づるように、メイクでは全部をきれいに隠してしまいたいとは思わなくなりました。私はクマも結構好きで、あえて消しすぎない。その人が生きている感じというか、人間っぽさが残っている方が魅力的だと思うんです。完璧に整えるよりも、その人らしさが見える余白を残しておきたい。トレンドは欠かさずにチェックしますが、“自分だったらどう落とし込むか”がわかるようになりました。10代の頃から根本的な”好き”はあまり変わっていなくて、大人になるにつれてインプットに使える時間が変わり、その分、自分に必要なものを精査するようになったのだと思います。誰かと比べて焦るより、自分の好きなものや、自分なりのペースを大切にできるようになったのは、年齢を重ねて得られた変化なのかなと感じます」英香さんが作る“Handsome Temptation”は、“年齢を重ねることで余計なものが少しずつ削ぎ落とされ、自分らしさがより鮮明になっていく”という彼女の経験から経た思考が、しっかり反映されていると感じる。表現者として、自分の軸をしっかり持つこと、“好き”を信じて表現の仕方を少しずつアップデートしていくこと、ヘアスタイリストの枠にとどまらず、30代を生きる女性として背中を押された気持ちになりました。