Talking about
the attitude of the shop
Mar 05, 2021 / FASHION
「NAKAGAMI」デザイナーと、
店舗デザインを手がけた2人の建築家
去る1月末、待望の直営店を中目黒にオープンした「NAKAGAMI」。このショップを手がけたのは、デザイナー・中神一栄さんがかねてより関係を紡いできた「SUPPOSE DESIGN OFFICE」の谷尻誠さんと吉田愛さん。ネガティブな状況が続く今のタイミングで出店に至った理由、そしてこの時期だからこそ店舗デザインに込められたメッセージとは。ファッションデザイナーと建築家の言葉から浮き彫りになる、これからの時代のショップの在り方。
PHOTO_Yoko Tagawa
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)
揺れる場所があるとか、動いた時に見えるラインが美しいとか、
そういうのが魅力的だと思うんですよね。
ただ、お店に飾ってあってきれいな服というよりかは。
――吉田愛
――もともと3人は親交があったと思いますが、谷尻さんと吉田さんは中神さんのお人柄についてどう見られていますか?
中神 え、怖いな(笑)。
吉田 一栄ちゃんはすごく勢いがあるというか、こっちが何か言ったら期待に応えてくれるし、自分でどんどんやっていこうという元気さ、とにかく熱量がありますよね。
谷尻 まぁメディア向けに言うならば(笑)、基本、みんな頭で考えていても実際にやらないことも多いですよね。じゃあ、この場合はこうしたらいいんだねとか知識をどんどん得て、頭ではわかっているんだけど、行動に移せる人はごく一部だと思うんですよ。でも、そういう人しか失敗はできないじゃないですか。やってみた人しか失敗しないし、仮に失敗してもそこで修正をかけて初めて学びがあるわけで。結局はやった人しか成功しないんで、そういう意味では行動力があるというのは彼女のいいところ。やっぱり動くことが大事。みんなこういった場合はこういう問題が起きるからとか、先々のことをチェックしてから進めたがるので。
吉田 この人全然チェックしないんですよ(笑)。
中神 そうかな……。
谷尻 でもそれって結構大事というか、その直感が当たれば全然いいわけで。議論するばかりで立ち消えになることも多い中、スピード感ってすごく重要だなって。ファッションに限らず、世の中ってそういうもんじゃないかなと。
――スピードを伴って行動に移すと。あと、吉田さんは同じ女性ということもあって中神さんが手がけられた服を着ていらっしゃいますが、「NAKAGAMI」というブランドの魅力はいかがでしょうか?
吉田 そうですね。私たちは建築をやっていて、資材のことなどを常に考えているわけですけど、彼女が作っているお洋服もその概念というか、洋服からではないところからも着想を得て作っているところに共感を覚えますね。たとえば、違う素材を組み合わせてあえて違和感を作っているとか、もの作りにおいて大事にしている要素みたいなのが洋服そのものに結構表れていると思うから、私も好きでよく着させてもらっています。あとはやっぱり、洋服の形を作るパタンナーという仕事からキャリアを始めているのも大きいのかな。私はファッションに関してそこまで詳しいわけではないけど、結局センスがいい人っていうのは自分に合うものをわかっている人だと思うから、そうするとサイズ感がすごく大事だなって。彼女が作る服の肩回りとか、全体のサイズ感がしっくりくるんですよね。
谷尻 確かにそれはあるかもね。パタンナーからデザイナーになるっていうのはレアケースなのかな?
中神 まったくいないわけではないと思うけど。
吉田 やっぱり着た時に、揺れる場所があるとか、動いた時に見えるラインが美しいとか、そういうのが魅力的だと思うんですよね。ただ、お店に飾ってあってきれいな服というよりかは。「コム・デ・ギャルソン」を初めて着た時、洋服はこんなにも面白いんだって思った。ボリューム感とか、こうグニャッとなっているものが実際に着た時にこういう見え方をするんだって。立体を帯びた時に魅力が表れる洋服というのは、着た時にもっとも心がウキウキしますよね。