Talk about “Wrapping Myself”

Feb 17, 2026 / FASHION

デザイナー、横澤琴葉さんに聞いた
冬から春にかけてのスタイル考

PERKがこの冬打ち出してきた“Wrapping Myself”。包み込まれるようなやさしさや穏やかさを感じさせるファッション、メイク、はたまた自分自身を労るためのギフトなどのコンテンツを公開してきたけれど、このシーズンテーマについてファッションデザイナーにも話を聞いてみたく、〈kotohayokozawa〉の横澤琴葉さんの自宅にお邪魔。自身の感性を大事に冬と春を行き来するようなスタイル、さらには日常を彩るGOOD THINGSを紹介してもらった。

PHOTO_Haruki Matsui
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)

横澤琴葉
〈kotohayokozawa〉デザイナー

1991年愛知県生まれ。2015年に〈kotohayokozawa〉をスタート。18年にTokyo新人デザイナーファッション大賞、25年にはTOKYO FASHION AWARD 2026を受賞。日常で湧き上がる感情を落とし込んだコレクションラインのほか、繊細なプリーツと独創的なカッティングが魅力のセカンドライン〈todo kotohayokozawa〉も手がける。昨年11月に「HOTEL SHE, KYOTO」とのコラボレーションによる客室が、26年3月1日(日)までの期間限定でオープン。2種類のゲストルームに加え、限定デザインのアメニティも話題を呼んだ。
https://kotohayokozawa.com
@kotohayokozawa

――冬のファッションと言えば重ね着が中心で、身体をやさしく包み込む、自分自身を労るといったようなことを、“Wrapping Myself”というPERKのシーズンテーマに込めていました。この言葉から、どのような印象を受けられましたか?
「昔から冬より夏が好きで、できることならずっと夏みたいな格好をしていたいくらいなんですけど、寒い季節が苦手だからこそ、いかに冬を楽しく過ごせるかを考えていて。〈kotohayokozawa〉は薄手のものが中心のブランドというイメージを持たれている方も多いかもしれないですが、例えばレイヤードで楽しく着ていただけるアイテムだったり、帽子や靴下も作ったりしています。私自身の服で言うとマフラーや手袋なんかの小物を差し色として使ったり。特に〈ユニクロ〉のヒートテックを差し色にすることが多くて、1月末にパリに行った時もハイネックタイプをずっと着ていました」



――苦手な冬をいかに快適に過ごすか。そのために寒さを凌ぎながら、同時に差し色を取り入れて気分を落とさないように、ということですね。
「はい。寒くなるにつれてヒートテックや、まるでこたつソックスのカラーバリエーションを夜な夜なネットで探しています(笑)。気温が下がるとメンタルも落ちちゃう気がして、それによってパフォーマンスが左右されるのもよくないので、明るい色を取り入れて自分の好きな夏のテンションのまま秋冬も過ごしたいんです。ベトナムなど東南アジアのあったかいエリアで買ったりお土産でもらったりした雑貨を、冬でもずっと使っているのも同じような理由から。『HOTEL SHE, KYOTO』さんと取り組ませていただいた客室やガウン、グッズにしても、冬の京都ってものすごく寒いので、訪れた方に少しでもバカンスに来た気分になってほしくて、色柄をたくさん使うようにしました」


――素材と色柄ですね。あと重ね着についてはいかがですか?
「レイヤリングに関しては色で見せられるインナーの類はいっぱい持っているんですけど、布帛のシャツはあんまりあったかくないしなぁとか、わりとズボラな性格で毎回アイロンをかけるのも億劫なので、デニムなどのパンツスタイルに色みのあるハイネックのヒートテックを着て、上はスウェットかニット、それにアウターを羽織って柄のマフラーを巻くのが多いですね。あとは、いろんな色の小物を入れた〈モンベル〉の中身が見えるメッシュ生地のリュックを背負う、というのが毎日の通勤スタイル。自転車移動も寒いので、バッグに入れる小物も色をきかせて気分を上げています(笑)」

自分らしく、心地よく過ごす
シーズンレスに楽しむマイスタイル

STYLE 1

「『HOTEL SHE, KYOTO』の近くにある染め工場さんで染色してもらった館内着用のガウンは、部屋の中はもちろん近くに出かける時なんかにも着ています。グリーンのTシャツとデニムは私にとっての日常着。これにガウンを羽織るのが最近のリアルな格好ですね」
BATHROBE ¥27,500, HOTEL CUSHION ¥6,600/共にHOTEL SHE×kotohayokozawa, FROSTED TINY TEE ¥19,800, WAVE PANELLED DYED PANTS ¥46,200, ALL DAY SOCKS ASSORTMENT ¥8,800/すべてkotohayokozawa

――〈kotohayokozawa〉の秋冬シーズンのルックも見せていただきましたが、かなり鮮やかなアイテムが多い印象でした。コレクションを手がけられる際、ご自身が着られるものと同じように色柄に対して強く意識されているんですか?
「そこまで意図的に考えているわけではないですけど、秋冬の企画がスタートするのがちょうど秋口から段々と寒くなっていくタイミングということもあって、自分自身の感覚と連動しているところはあります。涼しくなってきた、寒くなってきた、今年は自分なりにどう冬と付き合っていこうかという時に、こんなアイテムを作ってこんなスタイリングを楽しみたいというのを考えながら、私自身もパワーをもらっている感じですかね。寒い時期だからこそ明るい色を見たり触れたりすると純粋に楽しいですし、気持ちも上がるので。機能の良し悪しやそれがあったかい生地かどうかは実際に着てみないとわからないことで、もちろん大事なことではあるんですけど、それプラス、パッと見た時の楽しさみたいなところは好きではありますね」

――ご自身が着られる服も、作られる服も、色から気分を上げていこうというのは、琴葉さんならではの考えなのかもしれないですね。
「ブランドを始めて10年になるんですけど、最初の頃は色数が少なめで、色を使うこともどこか苦手でした。10年のうちの半分くらいはベージュやグレーといった控えめでニュートラルな色みが多かったですね。今も好きではあるんですけど」

――意外な話ですね。
「徐々に色が明るくなっていったのは、コロナが始まったばかりの2020年の初めに娘が生まれたのが関係している気がします。子供って大人みたいに視力が発達しているわけでないので、絵本とかおもちゃとか、はっきりとした原色のもの、わかりやすい色のものが多くて、必然的に家の中にそういったものが増えていったんです。それらが無意識のうちに目に入ってくるから、私が作るものもちょっとずつ派手になるような感覚。子供が描いたり作ったりしたものと、自分が好きで買ったポスターやポストカードなんかがシームレスになっていきました。だから自分の好きなものが、なんて言うんだろう、ちょっとポップな感じになってきたというか」

――日々の生活と琴葉さんが手がけられている服のデザインとは、地続きということですね。
「そうですね。じゃないと、なかなかできないですね」

STYLE 2

「ストレッチがきいたパイルTシャツに、普段よくはいている517をイメージした程よくフレアなデニムをコーディネート。これも普段のスタイルです。コットンのTシャツよりももっと扱いやすくて着心地がいいものを作りたくて、機能的な一枚が完成しました」
STRETCH PILE RINGER TEE ¥22,000, WINDHOLE JEANS ¥44,000/共にkotohayokozawa, HOTEL TISSUE CASE ¥5,500/HOTEL SHE×kotohayokozawa

――“Wrapping Myself”をテーマにした冬に続いて、春は軽やかなテンションや気楽な心持ちを表現する“Light Heart”をテーマにコンテンツを公開していく予定です。ちょうど〈kotohayokozawa〉のサイトに春夏シーズンのルックもアップされていましたが、今回考えてくださった3つのスタイリングの中にも春夏ものをミックスしていただきました。
「そうですね、いくつか着ていました。でも、ここ何年かは冬か夏かみたいな感じで、春は調整するのが難しくなりましたよね。さっきもお話しした通り冬がそんなに得意じゃないので、アウターが薄くなったり、中に着るものが一枚減ったりするだけでも嬉しくて。デニムが好きで、Gジャンとかデニムのスカートやパンツで過ごすことが多いんですけど、例えば今はいているパンツは複数箇所に菊穴を施していて、これがあるだけで通気性がよくなるんですよ。こういったヘルシーな肌見せとか、古着っぽいダメージがあるけど鮮やかな色を使っているとかで、春夏らしさを取り入れています。半袖だったり襟ぐりが開いていたりっていうTシャツもそうですけど、やっぱり肌が出ることで健康的に見えるので。春夏は肌の色ありきというか、そことの相性を考えたスタイリングを楽しみたいですね」

――肌が出ると気持ちも開放的になりますしね。今日のスタイリングもそうですけど、冬は冬、春は春というよりもシーズンレスでミックスされることも多いですか?
「もっと暖かくなるとそうしたいんですけどね。レイヤードは好きですし、特にキャミソールやブラトップ、あとスキントップに近いピタッとしたインナーみたいなコンパクトで伸縮性があるアイテムにキュンとするんですよね。秋冬でもよく作るんですけど、そういう面積が小さいアイテムがレイヤードの中にすっと入っているのがバランス的に心地よくて、健康的な感じがします。そういう一見頼りなさそうであくまで脇役なんだけど、すごくスタイリングのキーになってくれるものが好きです」

――春夏に限ったことではないですし、何を今さらという話にもなってしまいますが、やっぱり自分の好きな服を着ると気持ちにもいい影響を受けますよね。
「そうですね。自分は小さい時から、こういうのが好きです、こういう人となりです、ということを言葉で伝えるよりも、着ているものや普段の振る舞いで表現するほうが周りに伝わるんじゃないかって幼いながらにも思っていました。これくらいの身長で、こういう声と話し方の私がこういうものを着ている。自己紹介なんかでも、自分をよく見せようと思ってしまうと実際の私と齟齬が生まれちゃうじゃないですか。それが私らしいというか、昔も今も無理して背伸びしないようにしている感じはあります(笑)」

STYLE 3

「一転してトップスのトーンはちょっと抑えめ。こういったニュートラルな色みも昔から好きなんですけど、ボトムは総柄のフォトプリントのパンツを選んでバランスを取りました。すべてプリーツ生地や楊柳などの軽やかな素材なんですけど、伸縮性があってリラックスして過ごせます」
CRISP ROPE CARDIGAN ¥28,600, BINDER CAMISOLE ¥16,500, GRAPHIC YORYU PANTS ¥39,600/すべてtodo kotohayokozawa

“Wrapping Myself”をもとに選んだ
琴葉さんの日常を彩るGOOD THINGS

自身が手がけたホテルのスーベニアグッズ
「HOTEL SHE, KYOTO」の“BEACH”と“PARK”といった2つのコンセプトルームにも置かれているマグカップは、これまでの〈kotohayokozawa〉のコレクションで登場した絵柄をアレンジしている。琴葉さんも、ほぼ毎日自宅で愛用。
HOTEL MAG各¥2,970/HOTEL SHE×kotohayokozawa

差し色インナーが冬スタイルの名脇役
歴代のヒートテックの中から明るいカラーのものをフリマアプリで物色し、この冬だけで8色を購入。寒い冬にテンションを落とさず過ごすために、首元や袖口から赤やターコイズといった鮮やかな色を覗かせるのが琴葉さん流。
ヒートテックカットソー/ユニクロ

製紙工場の現場を大胆に、鮮やかに転写
毎シーズン、全面にグラフィックが描かれたアイテムをリリースしている〈todo kotohayokozawa〉。この春夏はブランドの下げ札を制作する製紙工場の風景などを生地にプリント。琴葉さんが撮った写真がリサイクルポリエステルにビビッドに映える。
SHEER GRAPHIC DRESS SLEEVELESS ¥30,800/todo kotohayokozawa

エスプリのきいたパリの戦利グッズ
2024年のパリ五輪のグッズや「メルシー」で購入したヴィンテージTシャツ、現地のスーパーのリップクリームやレジ袋など、1月末に行ったパリ土産の数々。この手のグッズも、前向きな気分になれるユーモアがあるものが好き。