PLAY A TUNE
@ BiSH

Feb 24, 2021 / CULTURE

“楽器を持たないパンクバンド”の
アイデンティティ

――お互いの印象は?

チッチ リンリンはすごく変わりました。暗闇にいた少女が明るいところに駆け出してきて、ハッピーになっていく姿を見ているようで。最初はどう話していいかもわからなかったけど、今はすごく喋りやすい。人っていうものを受け入れたんだなっていうのが見ててわかるし、リンリンは努力家なので。誰にこうしたとか言わずに、ちゃんとやりたいことのために頑張れるところをすごく尊敬しています。自分の個性をちゃんと見つけて、それを伸ばそうと努力する人です。

リンリン もともとは人とほとんど喋れなかったので……。今は初対面でも自分から喋りに行けるくらいになりました。そういうとこも変わったし、人間を結構好きになりました。

チッチ あと、リンリンは一番少女だよね。天真爛漫な感じがします。

――撮影でリンリンさんが動物と触れ合ってる姿を見て、その部分感じました。

リンリン 動物大好きです(笑)。

チッチ 今日の撮影は、リンリンがすごく動物好きだから行けて良かった。

リンリン うれしかったです。ゾウに持ち上げられて。

チッチ (笑)。

リンリン チッチは、BiSHのドンです。お母さんとお父さんを両方やってくれている感じ。人前やメディアに出てる時だけじゃなくて、裏にいる時もみんなをずっとまとめてくれていて。あと、歌声も好きです。きれいな声。それに、チッチは物知りです。何でも知ってます。映画も音楽も店も、なんでも!

チッチ ありがとうございます……(笑)。なんか恥ずかしいですね。

――今後、BiSHのみんなで実現したいことはありますか?

チッチ 昔から東京ドームに立ちたいっていう目標があって。6人で協力して一歩ずつ進むことで、その目標に近づけたらいいなって思っています。それに向かう道のりの最中ですね。あと、本当は海外でもライブをしたくて。今後、世界がどう変わっていくかはわからないのですが、海外にも私たちのファンがいてくれるので、今度は私たちが出向いて会いに行きたいなって思っています。

――自身の音楽観についても聞いていきたいのですが、今まで影響を受けた人はいますか?

チッチ 銀杏BOYZの峯田さんからは、ずっと影響を受けてます。高校生の時に人間不信のような、別に人間じゃなくても音楽っていうものがいてくれたらいいというか、存在は遠くとも音楽が友達になってくれていた時に、人間らしい感情を音楽を通して教えてくれたのが峯田さんだったので。自分が音楽をやる中でも、やっぱり自分自身が人間らしくありたいなと思ったりとか、あの時音楽に救われたからこそ今度は自分が誰かを救ってあげられるような存在でありたいと思わせてくれています。でっかい背中を見てる感じですね。峯田さんと対バンできた時はすごく嬉しかったです。わざわざ思い出そうとしなくても、銀杏BOYZの音楽のストレートな感じは自分の内側に染みついていて、いくら難しい歌詞書いてみようって思っても書けなかったり、あの時救ってくれたあの人に向けて曲書いてみようと思って一曲書いてみたりとかもありましたね。

リンリン 私は、最近なんですけどエリカ・バドゥっていう海外のアーティストです。今のこういう髪型にする前までは、小さい時からお母さんに可愛いピンクのフリフリみたいな洋服を着せてもらっていたり、なんでも可愛いものがいいっていう視点で見ていて、人形みたいでいたいって思っていたんですけど、エリカ・バドゥを知ってから、こんないくつになってもかっこいいって思える女性ってすごいなって。かっこよくなりたいって思えたきっかけが彼女なんです。憧れの人です。服装も見た目も立ち振る舞いも、ステージ上でも全部かっこいい。

――コロナ期間中の音楽活動や、ベストアルバムについての想いも教えてください。

チッチ コロナの自粛期間の時に強い固まりだったはずのBiSHがバラバラになり、1人では何もできないんだなってすごく無力に感じた時期があって、それがすごく辛かったんです。でも私たちだからできることは何かを思い返した時に、それは音楽を届けることだなと。それで急遽『LETTERS』というアルバムを出したんです。今までは弱い自分とか馴染めない自分っていうのを私たちが体現しながら歌を届けて、いろんな人に生きていてほしいっていう気持ちを伝えてきたけれど、この期間は誰かを守りたいとか救いたいとか、そういう想いを伝えたんですよね。そういうふうに思えるBiSHになれたんだなっていう感じで。BiSH6人とも同じ想いを、同じ場所にいなくても感じていた手紙のような曲ですね。自分たちがいた場所が最初に排除されてしまったような気持ちだったので。お手紙が届いたり、SNSを見ていても、この期間に好きになりましたって人が結構いてくれて、この何ヶ月かで出会った人たちといつか顔を合わせてまた出会える瞬間が楽しみです。すごく意味のある時間になったと思っています。

リンリン チッチが言ってくれた通りで、最初歌詞見た時は今までにないくらいのまっすぐな内容が恥ずかしかったんですけど、こういうことを言えるところにBiSH自身が来ているのかなって思える曲になりました。

チッチ ベストアルバム『FOR LiVE』は、私たちを近くで支えてくれた人たちへの愛のかたち。ライブハウスとかCDショップとか、音楽を支えてきた人たちがとても苦しくなってしまっている今、人間も場所もそうなのですが、やっぱり生きていないと出会えないし、生きていないともう会えない。アーティストだけではライブは成立しないし音楽は届けられないので、こういう居場所をBiSHがどういうかたちで作れるかと思った時に、今までの曲を惜しみなく出すことで何か救えたらいいなという想いでベストアルバムを急遽出すことを決めました。

――それぞれでもやってみたいことはありますか?

リンリン やってみたいことあります。実は世にはまだ出してないんですけど、2年くらい前から曲を作り始めていて。いつかそれを出して、1人でリキッドルームに立ちたいなと思っています。夢ですね。曲によって服を変えたりしながらライブをしたいです。友達のスタイリストさんとか、みんなで何か作れたらいいなと思っています。

チッチ 私は、漠然と自分が幸せでありたいなって思っていて。周りを幸せにするためには自分が幸せでいなきゃいけないなってことに気づいたので。音楽は誰かのためにっていうのももちろんそうだし、自分が好きって思えるものをやれたらいいなっていうのをとても思っていて。私もそういうのを作る中で、今いろんなことを思ったりとか、生きてる間に楽しんでできたらいいなって思って。カレー好きだからカレー屋さんやりたいし、とか(笑)。いっぱいやりたいことはあります。好きなこと、やれたらいいなって。

RECOMMEND MUSIC

■ Post Humorous / Gus Dapperton

Gusの曲がすごく好きなんです。この曲はMVと合わせて聴いてほしくて、自粛期間に彼の友達が自撮りをしながら曲に合わせて踊ったり歌ったりする様子を繋げている映像なんです。最初に観た時、離れていても仲間を感じる様子に感動して、めちゃくちゃ友達に会いたくなったし、やっぱり音楽は死なないんだなっていうのもそこで感じました。どこにいたって楽しめるんじゃないのってなんだか言われている気がして、元気をもらった曲です(チッチ)。

■ I’m waiting for my dawn / BiSH

自分で作詞を担当した曲なのですが、ストレートに、いち人間として伝えたい言葉を詰め込んだ曲。自分に向けた曲として受け取って聴いてもらえたら、あと、あなたの中で少しでも救いになる曲だといいなと思っています(チッチ)。

■ plastic raincoats in the pig parade / Ariel Pink

今日の気分はAriel Pinkのこの曲。今日は、撮影で動物園に行ったのでこれにしました。動物の声とかずっと入っていたり、サイケポップみたいな感じの曲。Ariel Pinkは、自分が作りたい曲に一番近い人なんです。絵本を見ている気分になるような音楽が多いですね(リンリン)。

■ Stairway to me / BiSH

この曲をライブでちゃんと披露したことはあまりないんですけど、今の世の中、息苦しそうな人が多いので、そういう人に聴いてほしいなって思います。歌詞を見てほしいですね。私と同じ気持ちかはわからないけれど、何かが伝わったらいいなと思います(リンリン)。

セントチヒロ・チッチ
モヘアカーディガン¥220,000/モンス(問)アイデア バイ ソスウ、Tシャツ¥6,380/ヴィンテージ(問)ヴェルヴェット、
パンツ¥34,100/シュナイダーマンズ(問)ジャックポット、ミニバッグ¥75,900/ジャックムス(問)アディッション アデライデ、ブーツ¥92,500/ボース × モンス(問)アイデア バイ ソスウ

リンリン
トレンチコート¥169,400/ロク(問)アディッション アデライデ、ジャケット&スカートドッキングワンピース¥76,780、シャツ¥65,780、ウエスタンブーツ¥36,080/すべてヴィンテージ(問)ヴェルヴェット
アクセサリー 本人私物

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アイデア バイ ソスウ TEL_03-3478-3480
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