Interview with
AUTO MOAI
Jul 06, 2022 / CULTURE
アーティスト、オートモアイに訊く
これまでのことと
今回のエキシビションのこと
——それでは今回のエキシビション『I wanna meet once again if like that dream』についてお聞きします。“記憶の中の霊性”というテーマで新作を手がけられたと思うんですけど、あらためて概要をかみ砕きながらお話いただきたいです。
「リリースに書いてあることが結構ちゃんと説明できていて、あらたまって聞かれると難しいですね(笑)。いくつか意味があるんですけど、描画行為における呪術性みたいなのがあって、なにかを思い出して描くんですよ。でも目の前にはなにもないのに、なんかこう立ち現れるのが呪術的とか降霊術っぽいなと思って。バーって降りてくるみたいな。で、描画行為の中には呪術性があると思って、じゃあ自分がアクセスしている記憶というのは霊的なものなんじゃないかって。頭の中にあるものとか、思い出す行為というのが」
——あちらに犬が描かれた作品がありますけど、それも夢やご自身の記憶にあったものが降りてきたということですか?
「現実のものと夢のものがごっちゃになっています。すごくリアルな夢を見ると、1年後とか5年後とか、何年か経ったりすると実際にあったことかどうかわからなくなってしまうことがあるじゃないですか。パン屋でめっちゃおいしいパンを買ったんだけど、あれどこのパン屋だっけ? ヤバいこの辺だった気がする。あ、違う夢か! みたいな。だから夢というのは意外と突飛なものというのはなくて、会社で誰々に怒られたとか、おいしそうなラーメンが目の前にあるけど食べられなかった、みたいなこととかの方が多いじゃないですか。夢って現実に起きたことの記憶がどんどん溜まっていたのが、寝ている間に少しずつ漏れ出していると思うんです。もともと何かを知らなければ出てくることのない、余剰みたいなのが夢なんだろうなと。あくまで現実であったことや自分が知っていることが組み合わさったもの」
——実は現実と地続きだった?
「そうです。それもどんどんどんどん古い記憶になっていくので、どれが夢だったのか、どれが自分の記憶だったのか曖昧になる。または人から聞いた記憶というのもあるじゃないですか。人の昔話を聞いた時に、随分と経ってからその話を自分のことと勘違いしてしまうこととか。そんな感じで、記憶というのは頭の中にイメージや文章でたくさんストックされているんですね。で、あるタイミングでそれらがいろんな風に組み合わさって夢のように出てきたり、急に思い出したりする。ここではない時間軸にアクセスする行為だと思っていて、それを霊性という言い方をしています」
——リリースに書かれていたこと以上に理解しやすいです。ちなみに、同じテーマであっても水性マーカーで描いている作品もあれば、油彩で描いているものもあるんですね。カラーとモノクロがあって、それにキャンバスのサイズもいろいろあります。
「今お話していたようなこととつながるんですけど、記憶といっても一概にすべて自分が実際に経験したことではなくて、夢で見たこと、人から聞いたこと、映画で観たことや小説など文章で読んだこと。そういうまばらに散らばっている記憶が降りてきたような、言ってみたら“激ヤバ走馬灯”みたいな感じで捉えています。