Inner Thoughts #04
秋元舞子
Aug 16, 2024 / FASHION
自分らしさの純度を高めて作った服が
着る人たちの生活の一部となる
――それでは2024-25年秋冬シーズンについて教えてください。全体像のようなものがあれば。
「今季はさっき話したような旅でインスピレーションを得たことを落とし込んだアイテムが多いですね。去年の9月に友人たちと2週間ほどアメリカを旅したんですけど、コロナ前に行ったきりだったこともあって得るものがたくさんありました。ロスから入って、途中パームスプリングスに泊まったりしながらアリゾナへ」
――その2週間で感じられたアトモスフィアのようなものが表れているということですか?
「そうですね。旅行中に自分で撮影した写真を使っているものや、アリゾナのお土産TをイメージしたロンT、向こうのスポーツショップで買ったベーシックなベースボールシャツを私なりにアップデートしたものなど。アメリカ以外にも、北海道の芽室町に泊まった際にそこで飼われていた馬に惹かれて。ペーターっていう子なんですけど、その馬のデッサンをし、プリントしたロンTなんかもあります」
――アメリカにしろ北海道にしろ、旅で得たコトに重きを置かれていて、これまで以上にパーソナルな要素がちりばめられているコレクションなんですね。
「より自由に、より自分が作りたいものを作れている気がします。パーソナルでいうと、今日も撮影用に持ってきたスウェットパンツは、冬になるとほぼ毎日はいていて。自分自身の冬の必需品という意味で作り続けています」
――先ほども「自分が楽しいと思えること、心が動いた瞬間を服に」と話されていましたが、それだけ作り手の純度が高いということなんでしょうね。
「それは絶対にあると思いますね。万人受けするものを作っているわけではないですし、私自身が必要なもの、毎日快適に過ごせるものを作っている。〈フィーニー〉を着てくれる人にも、そういうやり方のほうが受け入れてくれるのかなと思います。今の世の中、いい服はたくさんあるから純度を高めていかないと埋もれちゃいますし、そもそも自分がやる意味がない。そんなことを考えながら服を作り、着てくれる人たちの生活の一部になれたら嬉しいですね」