“Handsome Temptation” Style by a Lingerie Lover
Aug 06, 2026 / 全記事
レイヤードやシアーアイテムの広がりとともに、ランジェリーは“隠すもの”から“魅せるもの”へ。ファッションピースとして、自分の好きなムードをポジティブに取り入れる姿は、ファッションをもっと軽やかに、もっとパーソナルに楽しむための新しい指標になっている。ランジェリーミックスのスタイルを得意とする、“INDEPENDENT GIRL”6名に、PERKの夏のシーズンテーマ“Handsome Temptation(ハンサムな誘惑)”を体現してもらった。日常的にランジェリーを取り入れる彼女たちから、ランジェリーが持つ魅力や醸し出す表情、ランジェリーを愛する背景や価値観を読み解いていく。
PHOTO_Misa Sakuma
EDIT&TEXT_Mizumo Uehara(PERK)

“Handsome Temptation” Q&A
Q1, “Handsome Temptation(ハンサムな誘惑)”と聞いて、どんな印象やムードを想像ましたか?
Q2, ランジェリースタイルのポイントは?
Q3, ランジェリースタイルを好む理由は?
Q4, あなたにとって“色気”のかたちとは?


Azumi/〈hazy tokyo〉オーナー&デザイナー
A1, 「媚びない女性像を想像しました。芯があり、自らの選択によってその人らしさが形作られ、自然に人を魅了するようなイメージが思い浮かびます」
A2,「力の入りすぎないスタイリングをイメージしました。上からランジェリーを重ねるのではなく、〈hazy tokyo〉のブラとショーツを主役にしながら、内側からストラップを覗かせる形で取り入れています。きれいなムードになりすぎないよう、キャップやトングサンダルを合わせて抜け感をプラスしました」
A3,「個人的には、いまだに保守的な価値観の残る世の中に対する、一つのアンチテーゼです。“女性だからこう、何歳だからこう”といった固定観念を、粋な形で逸脱できる手段だと考えます」
A4,「外見、内面のどちらにおいても、自分の持つものを理解し、隠したり飾りすぎたりせず、正直に見せることです」



河野有実/〈YUVI KAWANO〉デザイナー
A1,「昔のモノクロ映画のようなノスタルジックな世界観。写真家 Helmut Newton氏の写真に映る、静かな緊張感を纏った美しさを持つ女性をイメージします。特定の人物像というよりは、髪や装いが端正に整えられ、自身の美意識を持っている女性」
A2, 「〈YUVI KAWANO〉のクロスネックブラと、レースが印象的なサスペンダーキャミソールがポイントです。京都の老舗ビロード店『杣長』さんで出会った生地を使用して制作したブラウスを合わせています。大変お気に入りの一着です」
A3, 「平凡な日常にそっと溶け込みながら、いつもの自分を少しだけアップデートしてくれる。そんな非日常的な高揚感を与えてくれるからです」
A4, 「美術評論家の柳宗悦氏が提唱した“用の美”のように、日々を積み重ねた先に自然と宿る美しさに私は色気を感じます」



Hinano/ランジェリー縫製師、PR
A1, 「“自分らしい強さとやわらかさを自然に併せ持つ人”。媚びるのではなく、その人らしい生き方や美意識が自然と人を惹きつける、そんな奥行きのある世界観を感じます。私が思い浮かべる女性像は、大切な人やもののために、自分の人生で築き上げてきたプライドさえも手放せるやわらかさであったり、正直でいられる強さを持っている人。そんな方に美しさを感じます」
A2, 「〈La Perla〉のランジェリーの繊細さに、〈AOIWANAKA〉のデニムやゆったりとしたニットでハンサムとマニッシュなムードをプラスしました。私のシグネチャーであるスカーフは、祖母からのお下がりで、お守りでもあります。娘もスカーフを頭に巻いてと真似をしてくるのが愛おしい。今もこれからも年齢やライフステージに変化はあっても、その時の自分らしいランジェリーコーディネートを楽しみたいですね」
A3,「ランジェリーを纏うと、自分の身体がジュエリーの一部になるような感覚があります。20代の頃は、自分の身体にコンプレックスがありましたがランジェリーを纏うことで、その身体さえも愛おしく感じられる瞬間がありました。30代になった今は、それも自分の一部として愛おしく感じるようになり、不思議な気持ちです。自分自身を肯定して自信を与えてくれる、鎧のような存在なのかも」
A4,「その人自身の魅力や芯の強さが自然と滲み出ている状態。人との出会いや言葉を受け取り、自分の中で少しずつ育ててきたものが、表情や仕草、言葉の奥行きとして自然と表れてくるのだと思います。完璧に見せることよりも、その人が大切にしているものや生き方がふと伝わる瞬間に、色気を感じます」



A1,「 ブラック×ホワイトの、クリーンで洗練されたイメージが浮かびました。自分らしさを大切にしながら、颯爽と歩く芯のある女性像を思いました」
A2,「レース越しに肌が透けるバランスがいちばん美しいと感じているので、レースアイテムを取り入れました。〈Only Hearts〉のシアートップスは〈hanky panky〉レースのボディスーツを覗かせて、大胆なスリットスカートは足元にレースソックスを合わせて、さりげない肌見せを意識しました。ブラック×ホワイトのコントラストから生まれるクリーンな世界観をイメージし、シンプルながらも、少しの色気を感じられるスタイリングにしました」
A3, 「もともとランジェリーが好きで、よく下着屋さんに通っていました。こんなにかわいいランジェリーなのに、人に見てもらう機会がほとんどないのはもったいないと感じたことがきっかけで、日頃からファッションに取り入れるようになりました。今ではインナーとしてだけでなく、コーディネートの一部としてランジェリーを楽しんでいます」
A4,「“色気”=“品”があることだと思います。ただランジェリーを見せるのではなく、自分自身が心地よく着られること、その様が上品に見えること。その2つのバランスが取れたスタイリングに、“色気”が宿ると感じています。だからこそ、肌見せやレースの取り入れ方、シルエットのバランスを大切にしながらスタイリングを組んでいます」



Kyon/〈theVirgins〉オーナー、デザイナー
A1,「かわいらしさだけでも、強さだけでもなく、その両方を自由に行き来できる人。自分のスタイルを持っていて、自然体なのに、どこか余白があって自然と人を惹きつける人だと思います」
A2,「ランジェリードレスを主役にするのではなく、日常のスタイリングに自然と溶け込むように意識しました。Tシャツやスニーカーのようなラフなアイテムと合わせることで、ランジェリーならではの繊細さがより引き立つと思います」
A3,「ランジェリーは、誰かに見せるためのものではなく、自分だけが知っている小さなこだわりであり、自分自身の気持ちを高めてくれる特別な存在です。お気に入りのランジェリーを身につけるだけで、自然と姿勢や気持ちが変わる。その内側から生まれる自信こそが、本当の魅力につながると感じています」
A4,「“色気”とは、”余韻”です。全部を見せることではなく、見た人の記憶に少しだけ残ること。映画を観終わったあと、一つのシーンが何度も思い浮かぶように、ファッションにもそんな余韻があると素敵だと思います。その人が纏う空気や仕草、静かな表情。そういう言葉では説明できないものに、本当の“色気”が宿ると感じています」



A1,「自分の心地よさを知り、自分の意思で選択できる女性。自分らしいスタイルを持ち、本来の魅力が自然と伝わるような女性を思い浮かべました」
A2,「〈SOMEICA〉のコルセットは、女性らしいボディラインを美しく引き立ててくれるアイテムです。私の場合、身体本来のライン以上にカーブを際立たせるデザインになるので、それ以外は潔くシンプルに。コルセットが持つ造形の美しさを引き立てることを意識しました」
A3,「ランジェリースタイルは、私にとって意識さえしていないくらい当たり前のものです。ランジェリーをコーディネートの主役にする日もあれば、洋服の下で見えていなくても、自分だけが知っているコーディネートとして楽しむ日もあります。その日身につけたランジェリーが、そっと背中を押してくれるんです。ランジェリーは、自分の身体を肯定し、自信を与えてくれる存在だと思います」
A4,「“色気”は視覚的なものではなく、余韻のようなものです。服装も内面も、知り尽くせない余白があるからこそ『もっと知りたい』と思わされる。その余白に、私は“色気”を感じます」

“Handsome Temptation”とは、媚びることではなく、自分らしい魅力を知っている人が纏うムード。重ね方や肌の見せ方、素材のコントラストまで、その人らしい感性が自然と表れるランジェリーは、その人のスタイルや価値観を静かに映し出すピースとして、装いに新たな表情を添えてくれた。今回登場してくれた6人は“ランジェリー”という枠組みで、決して遠くはない距離感で活躍しているものの、それぞれが自由な感性で落とし込み、芯のある解釈で”色気”を更新していた。固定観念にとらわれず、自分の好きに正直でいること。その軽やかな姿勢こそが、ランジェリースタイルをいちばん魅力的に見せてくれると教えてもらった。
