The Favorites Forever

#07 赤嶺玲子/「Witty Vintage」ディレクター

Sep 25, 2024 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

自身のスタイルを確立する“INDEPENDENT GIRL”が、昔も今もこれからも手放せないフォーエバーな服。そんなアイテムにこそ、トレンドに流されない彼女たちのアイデンティティが映し出されているはず。今回は「Witty Vintage」の赤嶺玲子さんに「何にでも合わせられるし、こなれて見える」というミリタリーアイテムを紹介してもらった。

PHOTO_Yu Inohara
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa (PERK)

PROFILE

Reiko Akamine

赤嶺玲子/福岡県出身。美容師アシスタント、セレクトショップ勤務を経て2017年に「Witty Vintage」のオンラインストアを立ち上げる。20年に祐天寺に実店舗をオープンし、ディレクターとして販売やオリジナルアイテムの企画などを担当。マイバッグ持参の推奨、対象商品の売上金の寄付、自社でデザインしたバイオマス85%の発送用袋ブランドの運営など、コロナ禍を機にサスティナブルな活動にも取り組んでいる。
@witty_vintage
@akamine_reiko
@evolver_mailer

ファッションの原点であることを理解しつつ、
あくまでファッションとして楽しむ

 カレッジやスポーツ、アウトドアなどと並び、ヴィンテージと言えばミリタリーウェアを頭に思い浮かべる人も多いはず。実際に東京ブランドや海外のビッグメゾンに、無骨な軍ものを合わせる“INDEPENDEN GIRL”もたくさんいるし、今回の赤嶺さんも全身をミリタリーアイテムでゴリッと武装するなんてことはなく、女性らしい感覚で日々のスタイルに取り入れている。
「もともと古着が大好きだったというわけではなくて、セレクトショップで働いていた頃に気に入って手に入れたものがたまたま古い服ということが多くて。20代の後半にアメリカのヴィンテージスタイルを提案するレーベルに異動になったくらいのタイミングで、ミリタリーを意識的に着るようになりましたね」
 それから数年が経過し、古着に精通していた現在のご主人と出会い、オーセンティックなアイテムを中心に深くて広いヴィンテージの世界に本格的に足を踏み入れたという。そのご主人とは、2017年に「Witty Vintage」のオンラインショップを共に立ち上げ、現在もバイヤーを務める赤嶺優樹さんのこと。
「夫が古着の卸しの仕事をしていた頃、特にミリタリーに力を入れていたこともあって、歴史的な背景やディテールのこと、それぞれのアイテムの価値みたいなものは彼から教わりましたね。いろんな話を聞いて単純に面白いなと思ったり、今出回っている現行の洋服も昔のミリタリーウェアをベースに作られているものが多く、ファッションの原点であるということも理解して、やっぱりすごいんだなと感心したり。このアメリカ海軍の制服(アイテム写真2)にしても、セーラー服の原型ですしね。ただその一方で、私はそこまでマニアックではないというか、あくまでファッションとして捉えているので、彼が珍しいというカモフラ柄のアイテムを見せてもらっても、まったく着たいと思わないものもあって(笑)。もちろん否定するつもりはなく、そこは人によってかなと」

TFF 1/8

ゆったりめがちょうどいいアメリカ海軍の一枚
40年代から50年代にかけて作られたUSネイビーのメンズシャツ。左胸のポケットに描かれた“USN”のステンシルプリントに惹かれる。「ミリタリーのシャツも好きで何枚か持っていて、いちばんのお気に入りがこれ。肩のヨークに施された細かいタックが特徴で、アメリカらしからぬというか、いちいち頑張ってる感じが愛おしくて(笑)」

TFF 2/8

少々マニアックな出自にも惹かれる
「Witty Vintage」で目下レコメンド中というアメリカ海軍のセーラーシャツ。70年代に作られたもので、しかも制服として量産される前のテストサンプルと呼ばれる貴重なアイテム。「軍に採用される前のものだから、ラインや星マークがないシンプルなデザインで、カウボーイシャツのようなステッチがかっこいい。濃いネイビーで大人っぽく着れます」

TFF 3/8

アメリカ空軍の隠れた名品をあくまでラフに
フライトジャケットと言えばのMA-1の低空域用として、60年代に作られたL-2B。裾のボタンだけ留めて肩を抜いて羽織っているそう。「袖と裾のリブがもうボロボロなんですけど、あえて直さずにラフに着ています。ジッパーを閉めるとどうしても工事現場のおじさんみたいになるから(笑)、裾のボタン以外は開けるのが基本ですね」

TFF 4/8

雪山用の純白のオーバーパンツを街ばき仕様に
降雪地帯でのカモフラージュ用として採用されたアメリカ軍のスノーカモパンツ。極寒の地ではくオーバーパンツのためもともとはポケットが貫通しているが、「Witty Vintage」では街ではくことを考えて布袋を縫い付けて販売されていた。「かなりボリュームがあるので、上は身体にフィットするようなカットソーなんかを合わせています」