Inner Thoughts #01
Ryoko Mukasa
Oct 12, 2023 / FASHION
自身のエモーションを表現
ディレクターの内なる想いを探る
ブランドのディレクターやデザイナーたちの、クリエイティブに対する想いを紐解く連載コンテンツ「Inner Thoughts」。今回は“その先の感覚を纏う”をコンセプトに掲げる〈THINGS THAT MATTER(シングス ザット マター)〉のクリエイティブディレクター、武笠綾子さんに話を伺った。新しいコレクション「SENSE12」は、“kare”をテーマに女性性と男性性のバランスに着想を得て生み出されたこれまでと違ったハンサムなムード。それらに込められた考えを聴きに、原宿で催されたポップアップイベントへと足を運んだ。
PHOTO_Daiki Sekimizu
EDIT&TEXT_Maria Ito(PERK)
女性らしさを纏ったブランドが
“内なる男性性”をテーマに掲げる
――〈シングス ザット マター〉は「自分の内面に目を向けて、自分を愛するきっかけになってほしい」という武笠さんの想いが込められていると聞き、共感を覚える女性も多いはずだと思いました。改めてブランドについて教えてください。
「シーズンごとに服をデザインするのではなく、その時々の感情や想い、浮かんだ情景を『SENSE』というスモールコレクションとして打ち出し、日々考えていることをタイムリーにアウトプットするという手法を取っています。自分自身と向き合い、内側に目を向けて生み出したアイテムが、実際に手に取っていただ時にご自身の年齢や気分、モチベーションにフィットすることによって、自分を愛するきっかけになってほしいと考えています」
――これまでのイメージとは少し違った、“kare”というテーマを新鮮に感じています。「SENSE12」のインスピレーション源を教えてください。
「これを作ろうと思った時期が私の誕生日に近かったこともあり、自分はどうやって生まれて、どうやって愛されてきたのかを振り返ってみたんです。そこで思い浮かんだのが、すでに亡くなってしまった父親、それに自分の息子。私自身を支えてきてくれた“彼”という存在でした。それぞれが“女性性”と“男性性”を持ち合わせているなかで、多分私は女性性が強い。でもあえて、自身の男性性にフォーカスしてみようと思いました。ハンドワークでスプレーされたスウェットは裏地から顔料を染み込ませる技法で、裏と表の模様が面白いなと思っていて。そういったところで二面性を表現しました。ほかにもジップアップシャツは、いつも撮影をお願いしている男性カメラマンが着ているトップスから着想を得たり。あと今回、森田智仁さんというアーティストとコラボレーションさせていただいて、男性らしいビッグシルエットのロングスリーブTシャツに、“kare”をイメージしたアートをプリントしています。外的に関わる男性という意味もあるんですが、あくまで自分の中にある“男性性”がメイン。これまでは女性らしいカットアウトが多かったので、今までとは違った新しい試みができて嬉しく思っています」
――『PERK』は“INDEPENDENT GIRL”をテーマに、自立した女性に向けて情報を発信しています。それを踏まえていただいたうえで、今回の「SENSE12」のなかからおすすめのアイテムを教えてください。
「このワイドパンツですね。ロゴがレタリングされたレギンスとローウェストのパンツがセットになっていて、どちらも単体ではけます。ハリとコシのあるナイロン素材を使ったパンツはお仕事でもはけますし、レギンスだったらジムに行けます。自立した女性っておそらく日々を忙しく過ごしていると思うので、いろんなシュチュエーションでデイリーに着られるアイテムをおすすめしたいですね」
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