AMOMENTO
POP-UP STORE HELD
Aug 23, 2022 / FASHION
〈アモーメント〉のイ・ミギョンに訊いた
クリエイティブに対する揺るぎないスタンス
韓国・ソウルに店を構えるセレクトショップ「SHOP AMOMENTO(ショップ アモーメント)」のオリジナルレーベルとして、2016年秋冬シーズンにスタートした〈AMOMENTO(アモーメント)〉。日本のバイヤーや目の肥えた服好きから高いを支持を得ているブランドが、世界初となる単独ポップアップストアを表参道の「TIERS GALLERY」にて開催。2年ぶりに来日中のクリエイティブディレクター、イ・ミギョンに話を訊いた。
PHOTO_Daiki Sekimizu
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)
ベースとしてあるのはずっと愛用できるもの。
それがミニマルなどの言葉につながるのだと思います
—— 先にセレクトショップをオープンされ、およそ1年後にオリジナルブランドの〈アモーメント〉を立ち上げられたそうですね。
「ライフスタイルを含めて自分の好きなものをお見せできる空間に、自分が手がけた服があればいいなというのがきっかけです。これまで真摯にセレクトしてきた美しいものの中に、自分のブランドも混ざり合ったらどれだけ素敵だろうという思いから始めました」
—— 「ショップ アモーメント」のバイイングの仕事を通して毎シーズンたくさんの服に触れてこられたと思うのですが、これまでに影響を受けられたデザイナーはいますか?
「大まかに言うと特定の方はいません。ファッションはもちろん、空間やグラフィックデザイン、それからアーティストやクリエイターの方たちへのリスペクトの気持ちは常に持っていますが、作品を見た時に素晴らしい! と感動はしても影響を受けるのはちょっと違うと思っていて。コレクションは、あくまで私自身の経験などからつくり出すものだと考えています」
—— とても理解できます。〈アモーメント〉というブランドを表現するうえで、個人的にシンプル、ミニマル、エターナルといったワードがしっくりくるように思っているのですが、服づくりにおいて特に意識されていることを教えてください。
「そうですね。服は人といちばん近いところにあるものだと捉えています。服自体は無生命ですが、人が着ることによって完成して生命力が宿ります。基本的にリラックスした時間や心地よい空間を大事にしたいので、私が手がけるコレクションは必ずしもラグジュアリーである必要や、絶対にかっこよくなきゃいけないわけじゃないと考えています。トレンドは無視できないですし、服である以上本質的な機能に沿わないといけないですが、ベースとしてあるのはずっと愛用できるもの。そういう継続的なファッションが、ミニマルなどの言葉につながるのだと思います」
—— 日本のバイヤーやジャーナリスト、ファンから支持されているというのはミギョンさんの耳にも入っていますか?
「普段韓国で生活していて、日本の方たちに愛されているということを実感したことがないんです。今回9日間にわたってポップアップストアをオープンすることになりましたが、未だに実感が……。なので、この期間中に感じられたらいいなと思っています(笑)」
—— 2年ぶりだそうですが、以前はシーズンごとに来日されていたようですね。東京のお気に入りの街やスポットはありますか?
「フェイバリットエリアは富ヶ谷です。え!? そんなに驚かれることなんですか(笑)。街の空気感がゆったりとしていて、東京の皆さんの日常を感じられるので。(複数のピンが立てられたiPhoneのマップを見せてくれながら)カフェ、ワインバー、ヴィンテージショップ、あとは代々木公園も好きです。白金台もエレガントでありながらも温かい雰囲気が気に入っていて、スポットでは『東京都庭園美術館』、それに『YAECA HOME STORE』の空間がとても好きです」
—— また気軽に日本に来られるようになればいいですね。それでは最後に、“THE TABLE”をテーマとした秋冬シーズンのコレクションや、8月28日(日)まで開催中のポップアップストアの見どころを教えてください。
「毎シーズン、私自身のライフスタイルを軸にコレクションのテーマを決めているのですが、今季は渡航が多くて一人の旅行者として海外の方々の生活を見たり、そこから感じたりすることがたくさんありました。物理的な距離はあるものの、フランスにしても日本にしても、誰もがみんなテーブルについて食事をします。毎日の食卓を囲むために買い物に行ったり、朝は簡単に済ませることもあるけれど、夜は家族や友人たちとじっくりと語り合ったり。なので、テーブルはもっとも日常に根差した空間だと思っています。旅行者の私は外国の方とは外見が違うし、国籍も違うんだけれども、テーブルを囲んで楽しもうとすることは皆同じだなと感じたんです。今季はビビッドなオレンジやグリーンをキーカラーとしているのですが、それらは実際にマーケットに買い物に行った際にインスピレーションを受けました。素材感にも注目してほしくて、マーケットでお買い物をした時にたくさんの食材が入っているビニール袋の、あの独特のボリューム感から着想を得たアイテムもあります。今シーズンはそういった特別ではない、ささやかな一日に焦点を当てました。あとはポップアップストアで流している映像もディレクションしたので、ぜひご覧いただいてテーブルから生まれたコレクションを手にしてもらえたら嬉しいですね」
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