The Favorites Forever

#07 赤嶺玲子/「Witty Vintage」ディレクター

Sep 25, 2024 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

雑に扱えるのにおしゃれに見えるのが、
ミリタリーに魅了される理由

 普遍的なミリタリーウェアを「あくまでファッションとして」向き合っている赤嶺さん。スタイリングにも女性らしさが散りばめられていて、サイズ選びや合わせるトップス、シューズといったこと以外にも細かなマイルールが存在する。
「例えばUSネイビーのメンズのシャツ(アイテム写真1)であれば、インナーの白いタンクトップを覗かせるためボタンは真ん中だけしか留めないとか、裾は片方だけタックインするとか。小柄なので、丈が長いものをそのまま着るとバランス的にちょっとどうなんだろうと思うこともあって。この辺りはなかなか説明が難しいというか、そこはもう感覚ですね。料理をしていて、少し物足りないなと思った時に塩を足してバランスを整えるのと同じです(笑)」
 毎日着ているわけではないにせよ、「Witty Vintage」を始める前のセレクトショップ勤務時代も、オンラインストアを経て20年に実店舗をオープンして以降も、これらのミリタリーアイテムがずっと身近にあるのは言うに及ばず。これほど自身のスタイルに馴染んでいる服も、そうそうないのかもしれない。
「やっぱり何にでも合いますよね。メゾンブランドと組み合わせてもいいし、もちろんカジュアルにも合う。一つでもミリタリーアイテムを取り入れるだけで、こなれて見えるのが魅力だと思います。ヨーロッパものの方が洗練されていてデザインが凝っている印象がありますけど、アメリカものはアメリカものでラフに着られるという良さがあります。このM-45フィールドパンツ(アイテム写真8)なんかも、夫からは貴重だからあんまりはかない方がいいよと言われるんですけど、気にせずガシガシはいていますしね。デリケートなシャツが破れるとどうしても見すぼらしくなってしまうけど、ミリタリーの場合はリペアすれば味として活かせる。雑に扱えるのに、かっこよくおしゃれに見える。そういう服、私にとってはミリタリーだけかもしれないですね」

TFF 5/8

ガシッとしたミリタリー生地をバッグにリメイク
アメリカ軍で支給されていたキャンバス生地を以前に買い付け、赤嶺さん自らバッグとしてリメイク。今も横型のタイプはショップに並んでいる。「ガシガシ使っては洗ってを繰り返すとサイドがフリンジみたいにフサフサしてきて、生地もアタリが出て柔らかくなります。ピンバッジをいっぱい付けたり、バンダナを巻いたりしてもかわいいと思います」

TFF 6/8

おなじみのジャンプスーツも軍ものを愛用
USアーミーのジャンプスーツは70年代製で、現在ショップにて展開中。腰にアジャスターが付いていてシルエットを微調整できるのが、ミリタリーアイテムならではのさりげない機能美。「ジャンプスーツって長身の人じゃないと似合わないような気がしているんですけど、これは身幅が狭めなので小柄な私でも十分に着れます。上まできっちりと着ず、袖を腰に巻くのが好き」

TFF 7/8

無骨に見えずさらっと着られるリネンブラウス
50~60年代のスウェーデン軍のブラウスは柔らかな風合いのリネンを使用し、身頃にはタックが施されている。この手のトップスはタックインするのが赤嶺さん流。「ミリタリーってどうしても土くさくなりがちなんですけど、ヨーロッパものは女性っぽく着られるアイテムが多いですね。メゾンブランドでもありそうなデザインが気に入っています」

TFF 8/8

ミリタリー好き垂涎の野戦用パンツ
50年代に入ってからアメリカ軍に支給されたM-45フィールドパンツは、M-65の先祖的な立ち位置として知られるミリタリー好きにはたまらない一本。赤嶺さん以上にバイヤーを務めるご主人が大好きなんだそう。「この年代特有のゆったりとしたシルエットがいいですね。新しい年代になると少し細くなるんですけど、やっぱりこれくらいの太さが好きです」

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