The Favorites Forever

#06 コギソマナ/スタイリスト

Aug 26, 2024 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

自身のスタイルを確立する“INDEPENDENT GIRL”が愛してやまない服。そんなフォーエバーなアイテムには、彼女たちのセンスやファッション哲学が透けるように見える。連載第6回目は、独特のレイヤードや色使いで知られるスタイリストのコギソマナさんが登場。自宅にお邪魔し、一点ものを中心としたワンピース&ドレスを紹介してもらった。

PHOTO_Yu Inohara
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa (PERK)

PROFILE

Mana Kogiso

コギソマナ/岐阜県出身。バンタンデザイン研究所を卒業後、スタイリストアシスタントに。2008年に独立し、雑誌や広告などで幅広く活躍。原付、バイク(ハーレー!!)、車の3台を乗りこなし、リースに撮影にと東奔西走の毎日。“今日も明日も服が好き♡”をモットーにファッションへの愛が溢れた私服も注目を集め、Instagram にて“らしさ”全開のコーディネートを更新中。
@kogisonofuku
@stylist_manakogiso

スタイリングにはいろんな側面が実はあって、
その“実は”っていうのがファッションの面白さ

 ハイペースで更新されるInstagramを定期的にチェックしていたこともあり、今回の企画でどんな服を提案してくれるのか心待ちにしていた。いくつかの候補のなかから、いちばんコギソさんらしいと直感したワンピース&ドレスを紹介してもらうことに。
「常にごきげんな服が好きと思って過ごしていますけど、時には頑張れない日もあるじゃないですか。2時間しか寝れなかった日とか。私たちの仕事は裏方なんで、少しでも誰かのためにっていう思いがもちろんあるし、とにかく服が大好きなんでコスパもタイパも悪いんですよ(笑)。頭が容量オーバーして組み合わせを考える余裕がない時に、あれこれ悩まず一枚でさっと着られるワンピースやドレスに助けてもらっています。洋服って楽しいよっていう人でいたいと思っているので、一枚でそれを完結できればラッキーじゃんっていう考えですね」
 とはいえ、ごきげんへの最短ルートを求めて組み合わせの妙をショートカットしているという単純な話ではない。確かに一着だけでシンプルにまとめる日もあるかもしれないけれど、あくまでスタイリングに重きを置いている。
「私、コーディネートしたい人、根っからの組み合わせ人間なんで、初めて着る時は一枚で着てみようってなるけど、次はロングブーツを合わせて肌を隠してみようとかっていうのを実践したいんです。スタイリングにはいろんな側面があって、その“実は”っていうのがファッションの面白さなんだと思います。特に今日選んだ洋服たちは、上に羽織るコートによっては脇役にもなれる。〈ヨウヘイ オオノ〉のドレスにしても、上からニットを重ねるとセパレートしてラグビーボールモチーフのスカートに見えるじゃないですか。そういうコーディネート欲をくすぐるような洋服が好きなのかもしれないですね」

TFF 1/8

尊敬するスタイリストが手がけたルックにひと目惚れ
〈ロエベ〉の2021年春夏シーズンに登場したワンピースは、同業の先輩で憧れの存在でもある浜田英枝さんの雑誌のスタイリングページを見てずっと気になっていたという。「ページをめくった瞬間、なんだこれ!? みたいな。やっぱり浜田さんのコーディネートは魅力的だなって再認識して、特別なショーピースを思い切って手に入れました」

TFF 2/8

胸が熱くなったショーを記憶に留めるために
デザイナー自身が過去と向き合い、ポジティブなメッセージを込めたランウェイショーも記憶に新しい〈ヨウヘイ オオノ〉の2024年春夏シーズン。なかでも存在感が際立っていたラグビーボールをモチーフとしたオブジェのようなドレス。「とにかくショーが素晴らしく、あの時の感動を忘れないためにもこの子とロングのワンピースの2着を買いました」

TFF 3/8

日本ではコギソさんだけが所有する!?
スパンコールがびっしりと施された〈3.1 フィリップ リム〉のドレスは、展示会で個人オーダー。「日本ではオーダーがつかなかったという話を聞いて、だったら私のところにおいでと盛り上がっちゃって(笑)。真っ白ではない独特の色みと、ずっしりとした重み。リムらしいエレガントな雰囲気もあって、気持ちが引き締まります」

TFF 4/8

撮影に用意した衣装を気に入ってお買い上げ!
目の覚めるようなカラーとパワーショルダーが特徴の〈イヴ・サンローラン〉時代のヴィンテージワンピースは、代官山の「EVA」で購入。もともとは雑誌の撮影用にリースしたもの。「友達でもある紗羅マリーに着てもらったんですけど、さすが紗羅、めっちゃ似合うじゃん! って思ってたらあれ? ちょっと待って、私も結構似合うかもって(笑)。サイズもぴったりで、結局お買い上げしました」