自身のスタイルを確立する“INDEPENDENT GIRL”が愛してやまない服。そんなフォーエバーなアイテムには、彼女たちのファッション哲学やセンスが見え隠れする。今回話を伺ったのは、「インターナショナルギャラリー ビームス」のウィメンズディレクターを務める片桐恵利佳さん。幼い頃から今に至るまで、コーディネートの軸として欠かすことのできないシャツについて教えてもらった。

PHOTO_Yu Inohara
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa （PERK）

いろんなサイズ感で自分のボディバランスを変えられ、
スタイリングに変化を与えられるところに惹かれる

　今回、片桐さんには私物のシャツを用意してもらったわけだけれど、確かにそれらに袖を通している印象がある。イベントに招待いただいた時も、休日に書店でばったり会った時も、シャツを着られていた。人と服とのイメージがここまで強く結びつくようなケースは、そうないのかもしれない。
「今日はボタンダウンを持って来ていなくて、わりとドレスシャツが多いんですけど、それでもトラッドが好きだった頃はボタンダウンも着ていました。ずっとシャツを着続けていますね」
　聞けば、自分で服を選ぶようになり始めた幼少期から好んでシャツを着ていたという。幼心に覚えているのは、シャツが好きだった母親の姿だと話す。
「シャツにトラウザーズ、ジャケットはちょっとオーバーサイズ。ジュエリーでアクセントをつけて、みたいな今で言うマスキュリンなスタイルの人で、少なからず影響を受けていると思います。あとは私、身体が華奢なので、シャツをゆったりと着るスタイルが自分の身に合っているというか。ただ一方で、キュッと自分の身体に沿うコンパクトなシャツを着ることもありますし、両方好きです。いろんなサイズ感で自分のボディバランスを変えられるところ、スタイリングに変化を与えられるところがシャツに惹かれる理由ですね。シャツの上にジャケットを羽織るシーズンも当然あるじゃないですか。〈シャルベ〉のボーイズシャツに、あえてオーバーサイジングなビッグショルダーのジャケットを合わせるというバランス感も面白い。ひと言でシャツと言ってもデザインや色、シルエットによってリラックスしても見えるし、シャープにも見える。さらにほかのアイテムを組み合わせた時に、もっといろんな見え方を楽しめるところにも魅力を感じています」

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ミニマルなルックスながらディテールにも抜かりなし
〈ザ·ロウ〉のシグネチャーアイテムとして知られる“ルカシャツ”は、ショップでの取り扱いがスタートしたタイミングで手に入れた。「メンズのシャツを原型にしていて、ただのビッグシルエットではなくてインした時のバランスやショルダーの雰囲気、襟の大きさなど、細かいところまで計算し尽くされています。デニムと合わせることが多いですね」

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ピタッとタイトに着られる一期一会のボーイズサイズ
パリのヴィンテージストア「Em Archives」で見つけた〈シャルベ〉のシャツ。「古着屋さんでメンズは見つかることがあっても、ボーイズサイズはなかなか出合えない。コンパクトなシャツが気分の時に着ています。昔から『Em Archives』のオーナーのセレクションがすごく好きで、パリに行くたびにシャツやクラシカルなセーターを買い足しています」

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上質な素材感のシャツをTシャツ感覚でラフに着る
トルコのドレスシャツメーカーのデッドストック生地を使った〈アーニー パロ〉の一枚。「サイズがメンズの44で、男性だと小さめだけどウィメンズだとほど良くゆったり着られる。Tシャツと同じような感じでラフに着ていて、腰に巻いたり羽織りとして使ったりも。襟が小さめに作られているのも、女性にはバランスが取りやすいと思います」

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メリハリが強調されたシルエットに美しいブルーが映える
レバノン出身のデザイナーが手がける〈ルネサンス ルネサンス〉。「コンパクトなボディやシェイプされたウエストに対して、袖にかなりのボリュームがあってメリハリの際立ったシルエットに仕上がっています。中東のデザイナーさんらしいブルーの色みもすごくきれい。共布で作られた、くるみボタンというのも気がきいていて素敵です」