The Favorites Forever

#04 片山久美子
「CITYSHOP」コンセプター、バイヤー/
フリーランス クリエイティブディレクター

Jun 24, 2024 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

削ぎ落とすことを意識するようになって、
このジャケットたちも喜んでいるかも(笑)

 学生の頃から多くのジャケットに袖を通し、自由なスタイルを謳歌してきた片山さん。ただ年齢を重ねると共に、前述したシーンや気分だけでなく、着こなしに対する考え方にも変化が見られるようになったという。
「20代の時はもうバッキバキだったんですよ、私。服も足し算、ヘアスタイルも足し算、もう足し算しかできないみたいな(笑)。ロンドンのヴィンテージショップで〈イヴ サンローラン〉のジャケットを買った30代半ばの頃も、今よりファッションを頑張っていたというか、“モード戦闘”みたいな感じだったので強いアイテムを合わせていました。そうして40代になって、品良く、心地良く、でもかっこ良くありたいみたいなことを考えると、最近は全体的に削ぎ落とされている感じになってきました。改めて振り返ると、20代の私には似合っていなかったものもあったかもなって。着こなしもなんかゴリゴリしていたし(笑)、もの自体はずっと変わらず素敵なんだけど、自分自身が服を生かしきれていなかったと思います。いろんな経験を経て、それに時代のムードもあるとは思うんですけど、40代の今、削ぎ落とすことを意識するようになって、このジャケットたちも喜んでいるかもしれない(笑)。でも、この先はどうなるかはわからないですね。今はラフに楽しんでいますけど、50代になったらまた違う着こなしをすると思うし、60代になったら今とは真逆のレディな感じでジャケットを着ているかもしれない。〈イヴ サンローラン〉の白いジャケットに小ぎれいなスカートを合わせるとか素敵じゃないですか。足元は赤いヒールなんかで。そういった変化を楽しみながら、かわいいおばあちゃんになれたらいいなと思います」

TFF 5/8

信頼を寄せるデザイナーに依頼した秋冬の自信作
秋冬シーズンに登場する〈Chika Kisada〉の「CITYSHOP」別注ジャケット。「今までのようなカラー別注や素材替えではなく、いちから私たちのためにデザインしてもらいました。しかも初めてのジャケット。きちんとしたテーラードジャケットなんですけど、Chikaさんらしい可憐なチュールと、ワークっぽい白ステッチとのバランスが素敵です」

TFF 6/8

圧倒的存在感のコレクションピースをラフに着る
〈イヴ サンローラン リヴゴーシュ〉のヴィンテージジャケット。「相当古い時代のものだと思うんですけど、ナポレオン調というかフランスのトラディショナルな要素もありつつ、モロッコにインスパイアされたであろう民族っぽい装飾。これにドレスだとトゥマッチなので、カジュアルなリブ編みのタンクなど異なる要素をかけ合わせて着ています」

TFF 7/8

アーティスト自らが描いた“ワンオブアカインド”
アメリカを拠点とする女性アーティストが手がける〈アレクサスターク〉の「CITYSHOP」別注ジャケット。彼女自身がエアスプレーで描き上げた文字通り一点もの。「初めて出会ったのは3年ほど前ですかね。ものが溢れている時代だけに、今後もインディペンデントな作家さんと一緒にほかでは手に入らない服を提案したいですね」

TFF 8/8

その時々の気分が映し出されたショップのアイコンのような一着
片山さんがコンセプターに就任して以来、その時々のムードを反映しながら毎シーズン欠かさずリリースされるオリジナルのセットアップ。この春夏は前後両方着られるジャケットが登場した。「合わせるアイテムも含め、前と後ろとでガラッと表情が変わるのが楽しい。少し抜け感が出るよう、袖をまくって裏地のストライプを覗かせています」

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