The Favorites Forever
「CITYSHOP」コンセプター、バイヤー/
フリーランス クリエイティブディレクター
Jun 24, 2024 / FASHION
あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション
スタイルのある女性が昔も今もこれからも、ずっと手放せないフォーエバーな服。そんなアイテムにこそ、トレンドに左右されない彼女たちのセンスが映し出されているはず。連載第4回目は「CITYSHOP」のコンセプター/フリーランス クリエイティブディレクターの片山久美子さんに、常に身近にあり、ショップが打ち出す女性像にも欠かせないジャケットを紹介してもらった。
PHOTO_Yu Inohara
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa (PERK)
PROFILE
Kumiko Katayama
デザインに制限があると思いきや
実はものすごく自由度が高い
父親の背広をこっそり羽織ってはしたり顔をしていた幼少期を経て、大学時代にはココ·シャネルや川久保玲といったジャケットが似合う女性をテーマに卒論を書いたという、生粋のジャケットラバーな片山さん。
「小さい頃から、なんか好きだったんですよね。ハンサムな女性の象徴というか、そういう女性に選ばれる服に憧れを抱いていたんだと思います。ジャケットを着た凜とした佇まいの女性も好きでしたし、『CITYSHOP』の女性像を考える時も、世界的バレエダンサーで振付師のピナ·バウシュがジャケットを着たポートレート写真に芯の強さを感じ、今でも私たちのミューズとしています」
憧れだった対象がフォーエバーな服となった今、あらためてジャケットは自身にとってどんな存在なのだろうか。
「戦闘服というと大袈裟かもしれないですけど、勝負の時に着る服。もちろんデイリーにも着ますけど、例えばあのデザイナーさんにお会いする時とか、この仕事を絶対にやり遂げたい時とかに、ジャケットが力を与えてくれて物事が上手くいく気がするんですよね。奮い立たせてくれるというか。単純に服そのものとしても魅力を感じていて、基本的にはメンズ服由来のものなので、ハンサムなムードが残っているものが好きなんですけど、ジャケットってデザインに制限があると思いきや、実はものすごく自由度が高いなって。素材や色柄、シルエットに着丈、肩の形状などで表情がまったく変わりますよね。でも一貫して端正な顔立ちをしているから、自由ではあるんだけど、結果的にちゃんとした人に見える(笑)。きちんとしなきゃいけない時はしっかり着こなせばいいし、そうじゃない時は肩の力を抜いてスタイリングすればいい。一着のジャケットをそういったシーンや気分によって変化させながら着られるというのは、今の時代すごく大事なことだなって思います。特にコロナ以降、ものが溢れ続けていることに対する罪悪感のような感情と向き合いながら仕事をしているなかで、私にとって唯一のエクスキューズがきちんとストーリーがあって、作り手の温度が感じられる服をお届けすることなんです。だからこそ、新しいデザイナーに会いに世界中どこにでも行きますし、これからも物語の音が聞こえるものを集めたい。ジャケットだけに限らず、すべての服においてそういう姿勢でありたいと思っています」