The Favorites Forever

#12 濱中鮎子
〈ウーア〉ディレクター

Feb 27, 2025 / FASHION

あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション

共に生活しているからこそ馴染んでくれる
頼れる服、相棒のような存在

 つなぎを着用する際、そのままストンと着ることもあれば、袖を腰の位置で結ぶこともあって、それこそ気分に合わせて楽しんでいる人が多いと思うけれど、濱中さんの場合はどうなのだろう。
「ものに寄りけりなんですけど、髪型や身長とのバランスですかね。ただ、ストンとそのまま着るのに飽きたり上にいろいろと重ね着したいなって日だったりは腰で結びますし、結ばず袖を通すことを想定しているものはそのまま着ます。結ぶ位置に関しては自由でいいと思いますよ。合わせるシューズによってだるんと腰ばきしたり、逆にハイウエストですっきりとはいたり。そのバランスを楽しめるのも、つなぎならではかもしれないですね」
 今回、濱中さんが用意してくれた8点のアイテムを改めて眺めてみると、ワークやミリタリーなど方向性の差はあれども色柄を含めてそこまでデザイン性が高いわけではなく、確かにトレンドを問わず長く着られそうなものばかりだ。
「うん、普遍性がありますよね。一緒に歳を重ねてくれるというか、この先に自分の体型がどう変化しても受け入れてくれるような懐の深さがあるんじゃないかなって。ワンピースやスカートと違って身体がどうこうではなく、ファッションに対するモチベーションだけで着られますよね。コーディネートを考えられないくらい疲れた日でも着られるし、気合いを入れたい日も着られる。共に生活しているからこそ馴染んでくれるとも思うし、そういう意味では頼れる服、相棒のような存在。そんなつなぎがいちばん似合うのは、やっぱり髪を切ったあとですかね(笑)」

TFF 5/8

オーバーオール人気の火付け役的アイテム
シカゴ発のワークウェアブランド〈ユニバーサルオーバーオール〉に、〈カレンソロジー〉が別注した一着。素材を変えながら数シーズンにわたって展開され、濱中さんは2、3着所有しているそう。「とにかくパターンのアレンジ具合が素晴らしい。カジュアルなんだけど、シャツやヒールと合わせてもすごくサマになる何かと使えるアイテムです」

TFF 6/8

〈ウーア〉の世界観が凝縮されたしなやかな一着
適度な光沢のあるカルゼ生地による〈ウーア〉のジャンプスーツは、2024年秋冬シーズンにリリースされたもの。ウエスタン調のヨークやカフス仕様の袖口など、ディテールにも抜かりなし。「身体を拾うことなくストンと落ちて、ウエストを絞るとブラウジングもできてきれいに着られます。中にニットを合わせてもいいし、シャツをきちっと着るのも好きですね」

TFF 7/8

セットアップのように見えるギミックのきいた一着
同じく〈ウーア〉のジャンプスーツは滑らかなスーツ地を使用。「スーツやジャケパンのように見えるんですけど、フロントが斜めになって背中が開くデザイン。センタープレスが入ってちょっと腰高に設定しているので、スタイルがよく見えます。グリーンのストライプ以外に単色のネイビーも作っていて、そっちの方は娘の七五三の時に着ました」

TFF 8/8

大きめのメンズ服をとことんラフに着こなす
違いのわかるメンズから支持される〈エンジニアド ガーメンツ〉のつなぎはご主人のもの。メイド·イン·USAのMサイズのため、濱中さんが着るとかなりゆったりとしたバランスに。「袖を腰の位置で適当に結んで、裾もロールアップしてラフな感じで着ていますね。ワークディテールがそのまま活かされていて、フードがあるのも何げに好きなところ」

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