The Favorites Forever
フリーランスバイヤー、ディレクター、PR
Dec 26, 2024 / FASHION
あの人のアイデンティティが表れた
ずっと手放せないファッション
トレンドに迎合することなくマイスタイルを楽しむ“INDEPENDENT GIRL”が、昔も今もこれからも手放せないフォーエバーな服。そんなものにこそ、彼女たちのセンスやアイデンティティが映し出されているはず。連載10回目はフリーランスのバイヤーやディレクターとして活動する中山良子さんに、アートピースのような刺繍アイテムを紹介してもらった。
PHOTO_Yu Inohara
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa (PERK)
PROFILE
Ryoko Nakayama
海外ブランドに感じたような
異質なエッセンスを楽しみたい
それぞれの地域の歴史や文化が色濃く表れた民族衣装を中心に、ずらりと並べられた刺繍アイテムたち。ただ、ひとクセもふたクセもあるこれらの服を所有する中山さんにとって、コレクションしているという意識はほとんどなく、うつわを手に取る延長でその時々の縁に導かれるように出合ってきたという。
「もともとフォークアートと呼ばれるものが好きで。民芸館に行ったりそれにまつわる本を眺めたりしていると、民芸も家具も服も自然とつながっていく感覚があって、ますます興味が湧いてきました。とはいえ、特に服に関しては完全に見た目から入って、あとになってから本などを通じて刺繍や柄の配色の意味なんかを知るケースが多いですね。最近よく思うのは、20代の頃は何となくバラバラとしていたものが、30代になって自分が持っているものを改めて見返した時に、点と点が線につながるように感じられるということ。最初は可愛い! 素敵!! から入るんですけど、あとからバックストーリーを見聞きしてその情景がうっすらとでも目に浮かぶと、さらに愛着が増しますね」
幼い頃、民芸品を収集していた祖母に民芸館に連れられたり、それに関連した多くのことを聞かされていたこともあり、ファッションを意識し始めた時には、海外の民族衣装を含めた刺繍アイテムは一層眩しいものに見えた。
「昔から日本にはないエッセンスが入っているものに惹かれていて、ベーシックはベーシックで大事にしているんですけど、そうじゃないものを取り入れるのが好き。セレクトショップに勤めていたのも似た理由で、まだ知らない海外のブランドがたくさん並んでいる一種のカルチャーに強い憧れがありました。少数民族が作っているものや刺繍アイテムに魅了されるのも、普段から異質なエッセンスを取り入れたいという思いが根底にあるような気がします」