OUR ROOTS,
OUR STYLE.
Jun 09, 2021 / FASHION
ルーツとなったアイテムから紐解く
彼女たちの“スタイル”
その時々の気分やムードを取り入れながらも、スタイルのベースとなるのは10代や20代の頃から慣れ親しみ、今なお愛用し続けているもの。そんなルーツと呼べるような服に目を向ければ、一人ひとりのファッション観が透けるようにわかる。デザイナーやショップオーナーといったインディペンデントなマインドを大事にする彼女たちに、パーソナルなアイテムついて話してもらう不定期連載。第1回は「フィーニー」の秋元舞子さんが登場。
PHOTO_Ryo Sato(TRYOUT)
MOVIE_Kei Doguchi(TRYOUT)
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)
自身の服作りにも生かしながら、
ユニフォームのような感覚で着続ける
自分でブランドを始める前に「N.ハリウッド」で働いていたんですけど、このグレーのパーカーは店頭に立っていた頃に購入しました。「N.ハリウッド」のアンダーウェアラインは、洗濯を繰り返すとどんどん自分の身体に馴染んでいく服が多くて、私もブランドを始めるうえでお客さん一人ひとりの定番になれるようなものを作りたいと強く思いました。その隣が同じく「N.ハリウッド」のアンダーウェアラインのノースリーブ。7サイズ展開の中から私はLサイズを着ているので、着丈が長くカマ底も深くて、女性が着ると少し抜け感が出ます。クルーネックのポケTは「N.ハリウッド アンダーサミットウェア」で、同じ天竺でも柔らかくてしっとりした生地感です。インナーはその時の気分や合わせる服によって変えたりしていますね。「フィーニー」のノースリーブはメンズっぽいパターンのカッティングで作ったもので、それを少し後ろ開きにして女性らしいニュアンスをプラスしました。1stシーズンの商品です。
昔からオンブレチェックが好きで、学生の頃に初めて手にしたのが「アロー」のレーヨンシャツ。テロッとした素材感で、メンズサイズを女性が肩を落として着るとすごくきれいだなと思って、「フィーニー」では軽めに着られる白ベースの柄で展開しています(左から2番目と右端)。こっちはブランドを立ち上げた頃に初めてオリジナルで作ったレーヨン100%の生地で、イエローとグレーの配色(左端)。今回の企画のために久しぶりに引っ張り出してきたんですが、てっきり古着だと思っていたら「フィーニー」でした(笑)。自分でも間違えるくらいよくできたなって。パンツも同じく「フィーニー」で、このレーヨンの生地が肌触りよく、パンツも穿きやすいだろうなと作り始めたのが最初です。たくさんの方に「フィーニー」を知っていただくキッカケとなった一本なので、ブランドの定番としてずっと作っていきたいと思っています。
黒のスラックスは私のスタイルに欠かせないアイテム。特に秋冬はグレーのスウェットを合わせて、まるでユニフォームのような感覚で穿いています。これは自分の体型に一番合っていると思っているハイウエストでワイドシルエットのもので(左端)、こっちはスラックスというよりカジュアルな5Pジーンズをウールのツイル地でできたワイドパンツ(左から2番目)で、ともに「ジル サンダー」です。「メゾン マルジェラ」はウールにポリエステルが入っているので、自宅で洗濯してもすぐに乾いてシワになりにくく、私は通年穿いてます。フィービー時代の「セリーヌ」は、スラックスなのにセミフレアというのがかなり新鮮で、バランスよく合わせられます。確か2012年に購入した「サンローラン」はドレスアイテムの象徴である側章、あとワンタックが特徴のテーパードシルエット。この中では一番タイトで、きれいに合わせたい時やトップスにボリュームを持たせたい時に穿いています。
古着屋に行くと必ずグレーのスウェットをチェックするんですけど、同じグレーのスウェットでも、色や素材感、ディテールがものによって違うので、それを見たり探したりするのが面白いんです。古着を探す楽しさを教えてくれた存在というところで、これも私のルーツになります。この穴の開いた一着がキッカケでハマって。アームホールとかもあり得ないくらいに変形していて、歴代のオーナーの雑さも感じられるかより愛着が湧きますね(左端)。これは“両V”と呼ばれるかなり古いヴィンテージで(左から2番目)、逆にこっちはレギュラーの「ヘインズ」(左から3番目)。カサカサしていてチープなんだけど、結局スウェットはこれくらいが着やすいんだよなって思いながらロンT感覚で着ています。これはコットンポリならではの軽い着心地で、リラックス感があってすごく気に入ってます(左から4番目)。この中で一番古いのがこのフリーダムスリーブのスウェットで、パターンや仕様の参考にもなります(右端)。
PHEENY new arrival
毎年、年に2回ほど沖縄にシュノーケルをしに行っているんですけど、いつも服の下に水着を着て出かけて、いいスポットがあったらすぐに入れるように準備していて。それで普段の服と合わせられる水着が欲しいなということで、昨年初めて「フィーニー」で作りました。前からはタンクトップに見えるけど、背中は大胆に露出した形です。バックスタイルがきれいなのでスカートを合わせてもらって、ぜひ街でも着てもらいたいですね。撥水生地を使ったショーツは海や川以外に雨の日にも穿けますし、あと自転車を乗られる方は夏場に重宝すると思います。私自身、旅行の際は荷物を少なくしたいというところから、キャップはペッタンコにできるのに型崩れしないように作りました。どれもアウトドアや水着ブランドのようなロゴマークがなく色目もマットなので、スポーティすぎないのが気に入ってます。私が考える便利で機能的なスイムウェアという感じで、今年も4型作りました。