Netflix FEVER
Aug 08, 2025 / CULTURE
酷暑を尻目にイッキ観したい作品を
ネトフリに夢中な6人が偏愛レビュー


暑くて暑くて、もう今日は家から一歩も出たくない! そんな日に全身全霊をかけて没入したいのが、オリジナルのヒット作を連発する“動画配信サービスのオーソリティ”ことNetflix。そこで6人のネトフリラバーに、この夏イッキ観したいオールタイムベスト3本を紹介してもらった。ひんやりとした気持ちのいい部屋で、ファイヤーTVスティック片手にEnjoy Summer Watching!!
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)

Recommender
🎬AAAMYYY
SSW、トラックメイカー
「マニアック」
「ミッドナイト・ゴスペル」
「アイ・アム・マザー」
📺花梨
モデル、コラージュアーティスト
「デッドデッドデーモンズ
デデデデデストラクション」
「ブラック・ダヴ」
「LAZARUS(ラザロ)」
🌭Tenkou Ma
フォトグラファー
「アドレセンス」
「アンという名の少女」
「都市を歩くように
-フラン・レボウィッツの視点-」
🍧田中梨央奈
「フリークス ストア」プレス
「ネクスト・イン・ファッション」
「地獄が呼んでいる」
「エミリー、パリへ行く」



PROFILE
AAAMYYY
SSW、トラックメイカー
2017年からソロとしてAAAMYYY(エイミー)名義で活動を開始。翌18年からロックバンドTempalayに正式加入。多種多様なアーティストとのコラボレーション、モデル、楽曲提供など、幅広い活動で注目を集める。25年8月6日に、TempalayのニューEP「Naked 4 Satan」を配信リリースしたばかり。
@amy0aaamyyy



自身の楽曲の着想源にもなった
背中を押してくれるほっこり系作品
あの時、心に引っかかってた違和感とか罪悪感は放置すると大変なことになるので、こちらの施設で治験しませんか。行ってみたら実はヤバかった療養系かと思いきや、悩みまくって失敗しても、心の引っかかりに正直に向き合っていけばいいんだよと、背中を押してくれるほっこり系作品だった。間は本当に意味不明で何度もスペースアウトしてしまうが、人生ってそんなもん。賛否両論あるが、そんなの関係なく、あのアイコニックな空間がかわいいなと思ったり、奇抜さをてらってるのではとメタ視点になってしまったり、でもやっぱり好き。『BODY』というアルバムの「被験者J」という曲のインスピレーション源になっている。





2つのメディアを同時に理解する
マルチタスク向上トレーニング
初めて観た時、まったく内容をキャッチすることができなかった。音声と映像が、ほぼリンクしていないのだ。情報過多で、インナートリップ状態の頭の中のアニメーションを観ながら、超ディープなトピックについて大真面目に話している内容を耳でしっかりキャッチするという形態の、まったく別な2つのメディアを同時に理解するマルチタスク向上トレーニングみたいな感じだ。この形式によって序盤で脳内CPUがいっぱいになるが、トーク内容が面白そうなのでなんとかして理解したくなる。1回カジュアルに観たあと、2回目に突入する。ジョーク部分はまあまあスルーして、本題に入ったら音声と字幕に集中するという方法を編み出し、なんとか内容理解に漕ぎつけた時は、まさにAHA体験だ。私が特に好きなのは、お母さんがゲストで登場する最終回。流し観でも面白いけど、頑張って階層をまたいで観てほしい作品。





“いい人間”を巡る問題定義が散見され
誰かと意見を交わしたくなる重要作品
“いい人間”とは何? 世界が終わる系作品を観るたびに思うのだが、私は早々に死にたい派だ。なぜなら滅亡を前にすると人間は信じられないほど醜くて、生き残りバトルを勝ち抜いた勢の中で生きるのってしんどそうだからだ。この作品はアフター滅亡の話でありつつ、ポスト滅亡から継続する“いい人間”カルマが描かれている。この“いい人間”の定義を深く考えるための問題の投げかけがたくさん散りばめられていて、観終わったあとに誰かと「どう思う?」と話したくなる自分的かなり重要な作品。




PROFILE
花梨
モデル、コラージュアーティスト
1997年東京都生まれ。モデル活動のほか、コラージュアーティストとして広告、国内外の雑誌、音楽、映画関連へのアートワーク提供、アパレルブランドやショップとのコラボレーションを展開。個展、グループ展など会期も積極的に催している。「本当に最近リアルタイムで、おうちにこもって観た作品を選びました!」
@karin_works_



脅威が浮き彫りになった日常で
必死に自分の生活を謳歌するのが好き
門出と凰蘭たちのかわいさに何とか救われる青春ディストピアSF。凰蘭が「もっと悩めよ、一生悩めよ!」と門出に言う言葉があるように、悩み続けることの難しさ、自分の選択で取り返しのつかない事態になったりすること、侵略者の母艦という脅威が可視化される日常で、みんな必死に自分の生活を謳歌しているところがとても好きでした。本当に面白い角度の侵略SFモノで、一気観してまた最近観始めました。劇場版を観る場合、アニメより先に観ることをおすすめします。



登場人物の深い愛情や信念が伝わり
王道の展開ながらも目が離せない
かっこいいキーラ・ナイトレイ目当てで観始めたら、3日で一気観するほどハマりました。恋愛要素なしの男女バディによるスパイモノ。登場人物たちの深い愛情や信念が伝わってきて、王道のストーリーながらハラハラして目が離せません。お昼から気軽に観始められる軽やかさと、しっかりハマれる面白さのバランスが絶妙。シーズン2がとても楽しみです!





よくあるおしゃれアニメでは終わらず
“本物のセンス”を感じさせてくれる
作品の設定からして惹き込まれ、まるで地球の未来を見ているようで考えさせられます。主人公たちの無敵感も魅力的で、アクションシーンも迫力がありかっこいいです。Kamasi WashingtonのOPやBonobo、Floating Pointsの音楽も素晴らしく、構成も緻密。絵のタッチや画角も大好き。ただのおしゃれで終わらない、“本物のセンス”を感じる作品です。




PROFILE
菅野瑞貴
エディター、ライター、ディレクター
ファッション&カルチャー誌の編集を経て、2023年よりフリーランスに。「『ストレンジャー・シングス』が観たくてNetflixに加入して以来、余暇のほとんどをNetflixとともに過ごしています」
@mimimizkchan



みんなで支え合って生きていく
無理なことは無理って言ってOK!
「なんだか疲れた~」と心の渇きを感じた時におすすめの、とってもやさしい作品です。主人公の自閉スペクトラム症の18歳、サム・ガードナーをはじめ、家族や友人、登場人物みんなもれなく不器用。だから愛おしい。でも、きっと人間ってそんなもので、完璧じゃないからこそ、みんなで支え合って生きていくのが調子いい。そんなことを今作から学びました。無理なことは無理! って言って、誰かに助けてもらう。それでOK!





ゼウスのカリスマ性と脆さの表裏一体感が
なんとも人間臭くて憎めない
世界史も日本史も大好きで、その流れで神々の歴史にも興味津々な私。ある程度の予備知識ありで観たからこそ、ギリシャ神話がベースになった今作の世界観にどっぷり浸れました。傍若無人で、人間界でも神界でも悪漢なゼウスだけど、〈ニードルズ〉のセットアップを着こなすカリスマ性と、最強であるがゆえに苦悩し続ける脆さの表裏一体感が、なんとも人間臭くて憎めない。人間vsゼウス(神々)とのこれからの対決に期待です。





「もしかすると……」のリアルさを孕んだ
日常が侵食されていく描写が怖い
平和な日常が何の前触れもなく、未曾有の事態に脅かされたら……。自分ならどうする? 誰を、何を信用する? そんなことを考えさせられまくりの2時間20分。世界が派手に崩壊するわけではなく、日常がじわじわと侵食されていく描写は、「もしかしたらあり得るかも……」というリアルさを孕んでいて、本当に怖い。そして、ラストシーンに関する考察大会は、盛り上がること間違いなしです。




PROFILE
西垣綾乃
「ビームス」プレス
コロナと同時に上京し、「ビームス ウィメン 原宿」のショップスタッフを経て現職に。「ビームス」のレーベルPRを担当。休日は一人の時間を楽しむため、料理とNetflix鑑賞に浸っている。お笑いが大好き。
@gaki____97



笑かすことが仕事の芸人だけど、
笑えないどころか胸が熱くなる
頑張ってたことが急に嫌になったり、投げ出したくなったりした時に観る映画です。どれだけ嫌になっても続けていれば成せるし、見守ってくれる人もどこかにきっといるって言ってくれてるような気がして。もちろん、楽しんで続けるのがいちばんいいのですが(笑)。芸人さんって自分が成してきた経緯や個人の感情は、作品としてフィーチャーされることがなかなかないイメージで。レジェンド・ビートたけしの芸人人生のターニングポイントを、師弟関係を通して描いているところにグッときました。人を笑かすことが仕事の芸人さんですが、この映画は笑えないどころか胸が熱くなりました。特にフランス座を離れたビートたけしと、久しぶりに飲みに行った深見師匠が嬉しそうに話すシーンは感慨深かったです。お金に困っているにも関わらず帰り際、深見師匠が不器用にタクシー代を出すシーンには涙。どこまでも師匠として背中を見せることや不器用な人が愛情を見せる時の行動は昭和っぽさ全開ですが、感動してしまいます。





今の時代とは違う昭和の女性たちの
奥ゆかしさや所作が素敵
「男っていつまで経っても浮気するんやな」、「大事なものをおざなりにしてたら、いちばん大事なものがわかった時にそれを失うものなんやな」と思った作品です。四姉妹が織り成す人間模様が、それぞれ昭和の家庭を舞台にしているものの、今現在の時代に置き換えても十分共感度が高いなと思いました。「私ならこう言った時にどうするんやろう?」と個人的には将来について考えてしまったドラマです。そして昭和チックに描かれているからこそ、令和の今の時代とは違った当時の女性の奥ゆかしさ、所作などがとても素敵で、宮沢りえさん演じる長女の綱子に観入っちゃってました。私も妖艶な女性になりたい……。





何かを振り切ってまで覚悟を決めたい時、
迷ってる時に繰り返し観るヒューマンドラマ
この作品を初めて観たのは、コロナ禍で何もすることがなかった時。その頃、たまたま又吉さんの小説『東京百景』を読破したタイミングでした。それは上京したての自分には、スッと入ってきて心をえぐられる少しエモーショナルな気持ちになった作品なんですが、そんな又吉さん原作の映画を観ないわけにはいかない! と。物語は主人公の徳永が売れない頃、よくしてもらった神谷という先輩芸人が描かれており、神谷は“THE芸人”と言えるほど笑いに貪欲で尖っている人物。芸人の心意気が大好きな私は、「神谷さん、めっちゃかっこいいなぁ」と劇中で惚れそうになりました(笑)。実は浅草キッドの深見師匠よりも神谷はさらに突き抜けて不器用で、無茶してまで面白さを追求しているところになぜか惹かれました。長年、神谷を支えた真樹さんはずっと彼を想っていたけど、神谷のお笑いに対する熱量を削ぎたくもなく、自分の身を固めたいといったどうにもならない気持ちがあり、違う男性と家庭を持つということでした。その子供と徳永が出会うシーンは、人も環境も何もかも変わってしまい、どうにもならないけど、一度は生活をともにした人が違う道を選んだ時に幸せだったらいいなという気持ちが詰まっていて、鑑賞後の余韻が凄まじかったです。勇気が欲しい時とか、何かを振り切ってまで覚悟を決めたい時とか、迷ってる時に観返してます。




PROFILE
Tenkou Ma
フォトグラファー
中国出身、東京在住。「家にいる時は、必ず何か音を流しています。音楽やPodcast、そして映像作品も。Netflixはその日の気分に合った作品が見つかる、ナイスな選択肢の一つだと思っています」
@tenkou_ma



“男らしさ”に押し潰されそうな姿が
とてもリアルで胸が痛む
ある事件をきっかけに、思春期の男子がインセルや女性嫌悪の文化にハマってしまう現状がリアルに描かれている作品。有毒な“男らしさ”に押し潰されそうになってる男の子たちの姿が、とてもリアルで胸が痛みました。第3話の男の子とカウンセラーの会話のシーンがすごくて、観終わったあとしばらくゾワッとしてました。





想像力、強さ、やさしさが詰まった
これからも大切に観たいシリーズ
原作は子供の頃に大好きだった本で、アンはまさに当時の私が想像していた通りのアンでした。夢見るような世界観だけじゃなく現実的なテーマもちゃんと描かれていて、何度も胸がギュッとなりました。想像力と強さ、やさしさが詰まったずっと大切に観たいシリーズです。





都市や人間、時間に対する視点が鋭く
頭の中がシャキッとする
フラン・レボウィッツの毒舌とユーモアに完全にヤラれました。都市、人間、時間に対する視点がとにかく鋭くて、観ていると頭の中がシャキッとする感じ。彼女の怒りは、実は人生への愛からきてるんだと感じます。ああいうふうに文句を言いながら、ちゃんと楽しんでる感じ、かわいいです。




PROFILE
田中梨央奈
「フリークス ストア」プレス
休日はアウトドアよりインドア。「ドラマや映画を観てゆっくりするのが好きです。アクションからSF、韓国ドラマまで、幅広く観ます!」
@riona217



斬新なファッションに刺激を受けながら
挑戦し続ける姿にも心が打たれる
世界中から集まった若手デザイナーたちが、限られた時間の中でアイデアを形にしていくリアリティ番組。毎回登場する斬新なファッションに刺激をもらいながら、挑戦し続ける姿勢にも心が打たれます。大人になってからも熱意を持ってチャレンジしていく姿に胸が熱くなります。ファッション好きはもちろん、クリエイティブな仕事をしている方にもおすすめです。





サスペンスの枠を超えた深い意図があり
観終わってから余韻が残る
突如“地獄行き”を宣告される衝撃的な設定の中に、人間の恐怖や集団心理、信仰の危うさがあり、死という恐怖に対峙する人間の精神状態がリアルに描かれています。サスペンスやホラーの枠を超えた深いメッセージ性があり、観終わってからしばらく余韻が残る作品です。





ファッションやパリの街並みが美しく
前向きな彼女の姿に元気をもらえる
キャリアのためにパリに赴任したエミリーが、文化の違いや恋愛に奮闘しながら成長していく物語。毎話登場する洗練されたファッションやパリの街並みが本当に美しく、前向きに進んでいく彼女の姿に元気をもらえるドラマです。この作品をきっかけに、フランス旅行に行きました!


