Interview with
AUTO MOAI
Jul 06, 2022 / CULTURE
アーティスト、オートモアイに訊く
これまでのことと
今回のエキシビションのこと
——“激ヤバ走馬灯”(笑)。すごくわかりやすい言葉ですね。
「いろんなことを思い出すって言うじゃないですか。今、自分が置かれている状況と全然関係のないこととか」
——確かにそうですね。現実で起きた記憶と、夢やこれまで見聞きした記憶とが混在しているから、カラーやモノクロの作品があったり、大きさもバラバラだったりするんですね。もう一つ思ったのが、少しだけ表情が描かれている作品もあります。目は描かれていないけど、鼻や口は描かれているという。
「写真を撮る時にフラッシュを焚くと、口だけ残ってほかは白飛びすることがあるじゃないですか。目は飛びやすいけど、鼻と口は凹凸があって影ができるので基本的に残る。前から強い光が当たって顔が見えなくなっているイメージです。最近は、顔があったり薄く見えたりする作品があって、顔が見えづらくなっているのを表しています。今、私は顔を描かないということはセンシティブだと思って顔を描き始めたんですけど、まったくないわけではなくて時代や場所によって奪われてしまったとか、よく見えないことと捉えています。結局、今の世の中がずっと安全なわけではないということを示唆していて」
——それでは最後に、今回のエキシビションをより楽しむためのメッセージがあればお願いします。
「いろいろ話しましたけど、基本的に私は作品を“装置”として考えているので、皆さん自分の好きなように観てもらえればいいかなと思っています。楽しんでもらえるのが、いちばんいいと思うので」
——装置というのは、人になにかしらのきっかけを与えるということですか?
「自分の物語を投影するでもいいし、もっとシンプルに色が好きとかでも全然よくて。ロブスターやトンボ、人と人のペアなど、作品に描いているモチーフの意味もあるにはあるけど、『あ~、あのカニのぬいぐるみ私の持ってるのと一緒だ』とか『動物園で見た羊と似てる』とか、そういう感じ方でいいというか。自分の個人的なものというような意味で、装置と言っています」
——観る人それぞれの感覚で、楽しんでもらえたらと。
「そうです。こういうものですよとは言っていますけど、別に正解とかはないので」
——今回、トークショーも実施されるんですよね。
「ロブスターの着ぐるみを着て(笑)。創作活動を始めてからずっと顔を公表していなかったので、トークショーも当然初めてなんですけど、そもそもなにかに隠れているわけではないので記録として残らなければやってみたいなと。やっぱり作家が生きている状況で、きちんと自分の言葉で作品について話すのはいいことだなと。展覧会というのは作家が死んでしまってもできるけど、生きている時にしかできないこともいろいろあるなって。この7年の間にいろんな作家さんと会って話す機会があって、すごく好きなアーティストから『展覧会は議論の場でもあるから、だからこそ展覧会をやっていきたい』という話を聞いて、それに共感しました。トークショーを聞いてくれているお客さんも、私たちの話に矛盾があったりピンとこなかったりしたら、遠慮しないで言ってほしい。別に自分も大御所というわけではないから、気軽に楽しんでもらえたらいいですね」
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