INDEPENDENT GIRL
at FLORIST 1/3

[logi plants&flowers]
YOKO UDA

Jun 25, 2020 / CULTURE

相手の想像以上の表現をして、
喜んでもらえたり
驚いてもらえたりするのが好き。

自分のスタイルや気分を大切にしながら日々を過ごす、“INDEPENDENT GIRL”な彼女をピックアップする本企画。今月は“ネイチャー”をテーマに、暮らしを彩る植物を提案するフローリスト3名にインタビュー。1人目は、確かな目利き力とファッションセンスを兼ね備えた、南青山[logi plants&flowers]のフラワーアーティスト・宇田陽子さんにご登場いただきました。

PHOTO_Ryo Sato(TRYOUT)
TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)
EDIT_Hitomi Teraoka(PERK)

PROFILE

YOKO UDA

宇田陽子
花と植物の専門ショップを経て、2004年に独立しフラワーコーディネーターとして活動。その後09年にディレクター岸大介氏が参画し、表参道に[logi plants&flowers]をオープン。2014年には、生け花の魅力を発信するアートワークブランド「パヴィリオン!」を設立。その傍ら、イベントや広告撮影などの装花を幅広く手がける。

――このお仕事を始めたきっかけを教えてください。

服飾系の短期大学に在学中、カラーリングの勉強も兼ねてフラワーショップでアルバイトをしていたのですが、そこでフラワーアレンジメントの奥深さに衝撃を受け、一転、花の世界へ進みました。もともと洋服でも異素材の生地をミックスさせたりすることが好きだったのですが、花は自然のものなので色や質感など一つとして同じものがなく、花材をその時の感性で組み合わせを考えていくことに面白さを感じました。

――logiさんの作品を拝見して、私的に大胆な植物たちに心を動かされるのですが、作品を作る際に意識されていることはありますか?

お店のコンセプトでもある“何事にもとらわれず 自由な発想で1つずつ ココロニノコルハナの新しいカタチ”というキーワードを特に大事にしています。花自体は個々で美しいのですが、異なる種類の花の掛け合わせで美しさや意外性をより高められるように意識していて、お花を買ってくれた人、もらった人の心に何か残るようなものを手がけたいと思っています。私自身、「ありきたりなことをしても面白くない」と考えるタイプで。人とちょっと違うというか、相手の想像からはみ出したものをつくって、喜んでもらえたり、驚いてもらえたりするのが好きなんです。自由な発想を持って作品を手掛けることで、結果的に“ココロニノコルハナ”になってくれればいいなと思います。あとは、当たり前のことかもしれませんが、仕事に対して妥協をしない。何事も「まぁいいか」では済まさないように心がけています。道理を突き通すタイプかもしれません(笑)。

――作品のインスピレーションはどこから受けているのですか?

空とか植物とか、自然の造形美ですね。ただ、あの美しさをそのままお花で表現するわけではなく、これまで積み上げてきたいろいろなイメージのストックから引き出して、アレンジしながら製作をしています。“生花が放つ、その時、その瞬間の美しさをずっと見つめていたい!”という思いからスタートした『PAVILION!』というアートワークブランドも手掛けているのですが、そこでは、プリザーブドフラワーやドライフラワー、造花にペイントを施すなど、オリジナルのガラスボトルの中で、より精緻に素材、色、空気感を組み合わせた世界を自由に表現しています。

――仕事で使う道具へのこだわりは?

あまりこだわりはありません(笑)。使っているのもホームセンターで手に入る「アルスコーポレーション」のファミリーデラックス(140DX)という花切用と枝切用のハサミで、一年ほど愛用しています。そんなに頻繁に変えたりはしないのですが、イベントや撮影の現場に持って行くことが多いので、そこで忘れたり、なくしてしまったり……。そういうこともあり、比較的リーズナブルなハサミを使っています。研いだり手入れしたりして長く使っている方も多いですが、私はそのタイプではないですね……。マメな性格じゃなくて(笑)。あとは、「ビクトリノックス」のフローリストナイフ。カーブ型のデザインが使いやすいので、カタチにはこだわりがあります。

――仕事着のこだわりはありますか?

“汚したくない服を仕事で着る”ことです。これには由来があって、以前間借りをさせてもらっていたヘアサロン「NORA HAIR SALON」のスタイリストさんが、いつもエプロンを着けずにカラーをしていて。ある時「服、汚れないですか?」と尋ねてみたら、「服を汚さないように気をつけることで、仕事が丁寧になると思うんです」と返ってきて、なんてかっこいいんだと。それ以来、私も実践しています。仕事が丁寧になるだけではなく、好きなファッションを身につけられるので気分も上がる気がします。

――花屋さんは指先をよく使うお仕事だと思うのですが、ネイルもちゃんとされているんですね。

ネイルは、これも「NORA HAIR SALON」でずっとやってもらっています。基本的にシンプルに仕上げてもらうことが多いですね。今回はアクセントとして中指にラインを入れてもらいました。私の性格上、一度気に入るとずっと同じデザインをオーダーしてしまうんです。ネイリストさんからも、「またですか?」とよく言われます……。今やっているメタリックカラーのグラデーションもじつは4度目なんですよ(笑)。

――手元のアクセサリーもおしゃれですね。

ブレスレットは「ジルプラットナー」というNY在住の女性デザイナーの作品で、夫からの誕生日プレゼントでもらいました。フリンジみたいなデザインが可愛いのと、特殊繊維糸のtenara sewing threadとシルバーを組み合わせていた素材は、水にも強いらしいので四六時中身につけてにつけています。左手の薬指のリングは「ゴローズ」のもので結婚指輪。右手の薬指のリングは「フリュイジョリ」のものです。これは天然石の中から好みのものを一つ選び、指輪やペンダントといったように好きなように加工してくれるセミオーダーのアクセサリー。天然石なのにリーズナブルなのも魅力ですね。ネックレスとブレスレットはほぼつけっ放しです。時計と両手のリングはつけると仕事モードになれる3点セット。仕事に行く時に必ず身につけてから家を出ます。

――植物関連のもので、何かコレクションをしているものはありますか?

フラワーベースですね。直感的にいいなと感じたものを集めています。お店には一部非売品もありますが、「ドマーニ」や「ヘンリーディーン」といったベルギーブランドなど、受注会や器の個展などで買い付けたフラワーベースを販売しています。丸みを帯びたカタチのものが好きで手に取りがちかもしれません。お店の中でのお気に入りは、ディスプレイで使っている大きいサイズの「ドマーニ」の作品。一つひとつ手づくりで、釉薬を厚く塗ることでひび割れしたようなデザインになるのだそうです。

――外出自粛期間を経て、お仕事に変化はありましたか?

イベントや撮影の空間演出なども手がけていたのですが、4月は全て延期やキャンセルに……。ただ、おうちで過ごす時間が長くなったからこそ、花の美しさ、活き活き伸びる葉っぱのチカラづよさ、こんなときだからこそいつもよりもっと感じられた気がしているんです。花からもらえるパワーや生命力をどうにかみなさんにも伝えたいと思い、お家での毎日がもっと鮮やかになりますようにと「STAY HOME / NO DISTANCE」という、花たちとの暮らしを提案しました。「STAY HOME」はご自宅用の切り花のセット、「NO DISTANCE」はギフト用の切り花のセットになります。今までは“でき上がったお花”を買っていただくケースが多かったんですが、お花って自分で生けるのも楽しいんですよ。だから、オンラインではあえて花材を提供するだけにとどめ、あとはお客様のお気に入りのフラワーベースで生ける楽しさを知ってほしいなと思ったんです。実は、切り花の販売というのは初めての試み。お客様の好きな花瓶で、花材は自由な組み合わせでキレイに生けられるように選んでいます。

――お客様からの反響はいかがでしたか?

おかげさまで好評をいただいています。お客様の声で再認識させられたのが、お花は年齢や性別を問わないということ。なかでも、お子さんからの反響がすごく多かったのですが一番の収穫ですね。あと、おうち時間が長くなって掃除をする機会が増え、これまで眠っていた花瓶が出てきたり、花瓶として使えそうな代用品が見つかったりするお客様もいて、そういうことをきっかけにお花に目を向けていただけるのも嬉しいですね。

――子供と一緒にお花を生けるのも楽しそうですね。宇田さん自身は、おうちでどのようにお花を楽しまれているのですか?

市場で販売用のお花を購入するついでに自宅用のお花を買うこともありますし、ほかのお花屋さんを見に行くこともあります。ほかのお店に行くとやっぱり新鮮で、選ぶ時にもなんだかワクワクします。仕事でも花をたくさん見ているのに、私ってやっぱりお花が大好きなんだなと思いますね(笑)。一輪でも良いのでお花を飾り、眺めて、感じる習慣があると普段の時間がより豊かになる気がします。お花を飾るお気に入りの場所を作るのも良いですね。例えば、朝起きてコーヒーを飲みながらお花を眺めてみたり。そういう、ちょっとした幸せをみなさんにも感じていただきたいです。

――今後も、オンラインで切り花を販売していく予定ですか?

今後は「STAY HOME / NO DISTANCE」ではない、違う形の切り花を販売していきたいと考えています。あと、切り花以外にも今、フラワーベースや陶器などのプロダクトもオンラインで発信しています。例えば、このフラワーベースは「Earth piece craft」の北湯口敦さんとlogiがコラボをした陶芸作品で、見ての通り爆弾のカタチをしている「BOMB VASE」という名の一輪挿し。”花と対極にあるものに花を生ける”をテーマに、「爆弾は争いで使うのではなく、お花でも飾って平和に過ごそう」というメッセージを込めています。バクダンから火花でなく花がでてきたら絶対幸せだと思う。北湯口さんは、もともとはパンクバンドをされていた方で、作品はお茶碗やビールグラスにスタッズを取り入れたデザインが特徴。友人宅で作品を見て、「ぜひこの人を紹介してほしい!」と頼み込みました(笑)。その後ご本人に会いに行き、バクダン型の花瓶をずっとつくりたかったという想いをぶつけたら、すぐにサンプルを出してくれて。しかも、それがイメージ通りのカタチだったんです! 10年前からずっと温めていた「BOMB VASE」をやっと実現することができて本当に嬉しかったです。それ以来、私たちのパートナーとしてワガママを聞いてもらっています(笑)。一輪でも 火花のように噴き出すようにお花を入れても良いと思いますし、もちろんオブジェとしてもおすすめです。

――こちらのお皿も色合いがとても美しいですね。

これは、「life is.」という植物を原料とした灰釉薬を使用したお皿シリーズです。じつはこれで使っている灰釉薬は、私たちが仕事で使い終えた植物を原料としているんです。私たちは年間たくさんのお花、枝物を使い空間を彩ります。以前には桜を1,000本ほど使う現場も。本番までは繊細に扱い、愛情を注いできたお花だけれど、イベントが終わると素早く撤収作業をしなくてはいけなかったりと、傷めてしまい処分をしなくてはいけない場合もあり、本当に心が痛くて……。こういうお花たちを、いただいた命として最後の灰になるまで使い切ることはできないかと考えていた時、北湯口さんのアドバイスで、植物を使って灰釉薬をつくればお皿や器をつくることができることを知ったんです。灰釉薬の配合比率を変えることによって、植物の色の出方が変わるのも面白くて、同じ花でもそれぞれ違う色が出るんです。デザインのバリエーションは無限で、同じ柄や色が二つと存在しないのが魅力です。

――素敵です。こういうサスティナブルな取り組みにも今後注目ですね。プライベートについてももう少しお聞きしたいのですが、おうち時間を楽しむために買ったものはありますか?

ハーブの種を大量に買いました(笑)。というのも、おうちで過ごす時間が長くなったことで料理に集中する時間ができたので、料理に使うハーブとかを育てるのも楽しいかもと思い始めて。でも、案の定オンラインショップの仕事が忙しくなってきてしまい……。そんなこんなで、今のところまだ手をつけられていません……。

――家庭菜園が実現すれば、より暮らしが豊かになりそうですね。

そうですね。育てたハーブをちょっとお茶に浮かべてみるとかしたいです。知り合いがお店に立ち寄ってくれる時に、たまに自宅で育てたハーブを差し入れしてくれるんですけど、その人がすごく料理上手で。ハーブを育てたいと思ったのは、多分その人に憧れているからかもしれないですね(笑)。

――おうちにいる時間が長くなったことで、料理の腕前は上がりましたか?

手の込んだものというよりは、ちゃんとつくるようにはなったかなと。レシピを見ながら料理することが苦手なので、今までは何となくこの食材とこの食材は合うんじゃないかと思って、炒め物を作ってみたりだったんですが、レシピ通りに作ってみたりしました。でも、料理に目覚めたことで作っては食べての繰り返しになってしまい、この期間に結構太ってしまって。それまで通っていたジムも休業になってしまい、運動する機会がなくなってしまったので、おうちでは筋トレとかもしていました。あと、今さらながらスムージーにもハマっています。みんなが飲んでいた時には見向きもしなかったんですけど、やっぱりいいドリンクだったんだと改めて感じています(笑)。

――ハマるタイプなんですね!

ネイルも同じデザインを何度もしますしね、しつこいタイプかも(笑)。

INDEPENDENT GIRL with
logi plants&flowers

造形美が美しい主役級の花たちをギュッと束ね、立体オブジェのように組み合わせたミニマルなブーケ。本来ならばぶつかり合ってしまうような、1輪でも画になる個性的な花同士をあえて組み合わせ、自分らしい個性を持ち芯の通った女性像を表現しました。花束を包んだのは、 logi オリジナルBAG。持ち運びにも、ちょっと飾るにも形になる、他にはないデザインです。お家で飾る時はそのままフックやラックにかけて飾る事も出来ます。

INFORMATION

logi plants&flowers
(ロジプランツアンドフラワーズ)

住所_東京都港区南青山3-14-10 
シプレ南青山B1
営業時間_平日12:00~20:00、
土11:00~20:00、日祝11:00~19:00
定休日_木曜
TEL_03-3403-0535
http://logi.jp.net/
Instagram_@logiplantsandflowers

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