ジャンルレスな楽曲と、自身の想いを歌詞に落とし込んで、力強いメッセージをファンに届けるアーティストのeillさん。デビュー5周年を迎えた今、第一線で活躍するアーティストまで成長を遂げた。そんな彼女に、“INDEPENDENT MIND”とは何かを聞くと、これまでのエナジーに満ちたイメージとはまた違う、深みを増した大人な一面を垣間見ることができた。それらのムードにリンクする、リュクスで美しいファッションにも注目してほしい。

FILM_Kenta Ogo
STYLING_Rieko Sanui
HAIR & MAKE_Yukari Clarke
EDIT & TEXT_Maria Ito（PERK）

自分の気持ちに正直でいることで、
優美で凜とした大人の女性へと変化

　19歳でデビューして今年で5周年を迎え、ワンマンライブ『eill 5th Anniversary Live “MAKUAKE”』が開催されると知り、「EX THEATER ROPPONGI」へ足を運んだ。パワー溢れる楽しい曲を歌ったかと思えば、胸に沁みるバラードを披露したり、また時にはアップテンポなダンスナンバーを届けてくれたりと、表現の幅は計り知れない……。変幻自在に移り変わる彼女を目の当たりにし、どんな人なのだろうと日を改めて会いにいった。
「歌手を目指すようになったのは中学2年生の時。かっこよくて媚びない女性であるのと同時にキュートな一面もあって、さらにはファッションもメイクも真似したくなるような“女の子がなりたい女の子”である、K-POPアーティストやビヨンセに憧れを持ったのがきっかけです。私は自分に負けるのがすごく嫌いで、壁を超えられないことが許せないタイプ（笑）。だから常に自分を超えていきたいし、自分自身に飽きないようにしたい。K-POPは新曲のたびに曲調も印象も違うし、変化し続けることを楽しんでいる感覚があって、そういうところもすごく影響を受けていると思います」
　ジャンルを一つに絞った方がいい。そんな周囲の声に流されることなく、これまでの活動を通してやっと自分の考えを認められるようになったそう。その想いは、楽曲作りにも反映されている。
「音楽においても自分を肯定するために曲を書いていることが多くて、ライブで歌う時は誰かを救おうと思って歌っているというよりは、実は自分に対してかけている言葉もすごく多いんです。それをいろんな人が違う受け取り方をして、違う救いに変わっていくみたいな……、そういう感覚がいちばん大きいかもしれない。自分らしくいるために、自分の気持ちに正直でいたいっていうのが根本的にあるのかな。先日の5周年のライブでもお客さんと会話したわけじゃないけど、あの空間にいるだけで心が通ったような気持ちなれました。それがすごく嬉しかったですね」
　これまでの楽曲からは情熱に満ちた若々しいエネルギーが伝わってきたが、気負わずに自身の考えを話す姿に、意志の強さと自信、さらには大人の余裕すらも漂わせていた。
「新しい自分に変化することも自立した女性だと思うんです。変わり続けたいし、でも守るものは守って、強い自分で生きていきながら音楽を作っていけたらいいなと思っていて。音楽で変わろうと思える勇気を与えたいと思うし、自分もそういう勇気を持っていけたらいいな。新曲の『罠』もそうですし、これからもっと曲を出していくと思うんですけど、どんな自分に出会えるか私自身がワクワクしています」
　影響を受けた音楽を自分のものとして昇華し、新しいことにチャレンジする。自分の感覚を研ぎ澄ましながら、これからも歩みを止めることはないだろう。自ら拓いた道で、周囲に“新しい顔”を見せていってほしい。

eill’s Fashion!

「ステージ上では“意志を持ったかっこいい女性”であるために、スカートをはかないとか赤リップはマストとか、ルールを決めているんです。そんなeillという鎧を着た時、やっぱりいちばん自信が持てるんですよね。逆にプライベートは素直な自分でいられる服が好き。最近は女性らしいシルエットが魅力的な〈フェティコ〉がお気に入りで、先日行ったロンドンとパリで現地の方にとても褒められたんです！ マニッシュなんだけど凜としている、今はそんなムードが好きですね」

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