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CONTEMPORARY
ART
HARUHI ISE
Aug 21, 2020 / CULTURE
現代アートを身近に感じるための
伊勢春日さんのリコメンドスポット
昔も今もファッションとアートの結びつきは強く、それはシーンを牽引するトップメゾンの最新コレクションからも存分に感じ取ることができます。ニューノーマルな日常において、「時代を映す鏡」と言われるアートが今後どのような役割を果たすのか。中目黒のギャラリー[VOILLD]でディレクターを務め、東京コンテンポラリーアートのキーマンでもある伊勢春日さんに、アートの楽しみ方とおすすめのスポットを教えてもらいました。
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MODE COMPASS NEW EXPRESSION 2020-21 Autumn / Winter
https://modecompass-expression.com/
PROFILE
今のような混沌とした時代にこそ
メッセージ性の強いアートが生まれる。
――いくつかのコレクションでブランドのルックにも見られる、アートとファッションの親和性についてどう思われますか?
著名なデザイナーがアーティストを起用してコレクションを発表するなど、ファッションにとってアートは欠かすことのできないスパイスのような存在なのかなと考えています。アートそのものがファッションとして成立することはあまりないかもしれないですが、相乗効果が期待できるのは間違いないこと。それぞれが共存共栄し、刺激し合いつつ成熟していけたらいいですよね。
――状況が目まぐるしく変化している2020年。アートの現状はいかがでしょうか?
アートに限らず、今年はいろいろと難しい年ですよね。アートは常に時代を映す鏡なので、人に元気を与えたり、何か強いメッセージを伝えたり、そういった力をより発揮してくれるんじゃないかなと考えています。今置かれている状況に対して、フラストレーションを抱えている作家さんもたくさんいらっしゃるので、この混沌とした時代だからこそ、そういったメッセージ性の強い作品が生まれるはず。今の時世を反映した、瞬発力があってエネルギッシュな作品がいっぱい出てきてほしいなと期待していますね。
――中目黒のアートギャラリーでキュレーターを務められている伊勢さんですが、芸術に親しまれている人、逆にそうではない人にとって、[VOILLD]はどういった場所になることを目指していますか?
そうですね、ギャラリーと聞くと敷居が高く感じられる方が多いので、うちは適度な緊張感を保ちながらもカジュアルに楽しめる場を提供することをずっと意識しています。作品も数万円のものから、手に取りやすいものまでを展示しています。それこそアートに親しまれていない方にもあまり気負わず、街遊びの延長として来てもらえたら嬉しいですね。
――“コンテンポラリーアート”と聞くと高尚な趣味で、難しく捉える人もいると思いますが、わかりやすく教えてください。
うちは、いわゆるコンテンポラリーアートのギャラリーとは、ちょっと違うのかなと考えていて。オルタナティブというか、お客さんの層も若いですし、言うなれば現代アートのもっと手前のところにいるような気持ちでいます。自由でピュアな気持ちで作品に向き合うのが、私が考えるコンテンポラリーアートの楽しみ方。アートを感じるきっかけは意外といろんなところに転がっているので、まずは興味を持ったものに対して気軽に掘り下げてみる、みたいなことがいいと思いますね。
RECOMMEND ART SPOT_01
VOILLD
[東京・中目黒]
カフェやショップ感覚で立ち寄りたい
インディペンデントなアートギャラリー
展覧会の企画・運営を行うなど、カルチャー好きに支持される気鋭のアートギャラリー。カフェやショップ感覚でふらりと訪れることができる親しみやすさも魅力。「作品は今まで観たことがないもの、私自身がワクワクするものを基準にピックアップし、紹介しています。作品を鑑賞してもらうことと、それを思わず手に取りたくなるようなグッズに落とし込んで、よりたくさんの人たちにアートに興味を持ってもらえればと思っています」
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RECOMMEND ART SPOT_02
MoMA Design Store
[東京・表参道]
MoMAのキュレーターが厳選した
グッドデザインをラインナップ
[ ニューヨーク近代美術館(MoMA)]のキュレーターが国内外から選び抜いたプロダクトを展開。MoMAの代表的な作品と、美術館のコレクションが一堂に会することもあって、アート好きには見逃せないスポットです。「オリジナルグッズも豊富で、巨匠と呼ばれるアーティストのアイテムを気軽に購入できる場所は、もしかしたら日本ではここくらいじゃないでしょうか。表参道という、ショッピングの合間に立ち寄りやすいのもいいですね」
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RECOMMEND ART SPOT_03
クレマチスの丘
[静岡・長泉]
伊豆の緑豊かな丘の上にある
美しい庭と3つのミュージアム
「東京から少し足を伸ばした富士山の麓にあり、自然豊かなロケーションがキレイです。広大な敷地内には、美術館と文学館があります。『KIGI』という有名なデザインオフィスが手がけられた、ちょっとしたアイテムも気が利いていて可愛いですよ」。富士山の裾野に位置する長泉町にある美しい庭と3つのミュージアム、カフェ、レストランからなる複合文化スポット。季節によって異なる表情を見せてくれるガーデンも楽しめます。
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RECOMMEND ART SPOT_04
SKWAT/twelvebooks
[東京・青山]
遊休施設を占拠し、
生み出されたアートブックに囲まれた空間
期間限定で文化的コンテンツの発信を行っている「SKWAT」が5月下旬、南青山に書店をオープン。海外の出版社やギャラリーからセレクトした個性的なアートブックが勢揃いする。「青山の[プラダ]の奥、一見廃墟のような不思議な建物の中にある、洋書を専門に扱ったポップアップショップです。内装もすごくおしゃれで、美術館に足を運ばなくてもここの洋書を眺めているだけで、世界の美術館を巡ったような気分になれますよ」
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RECOMMEND ART SPOT_05
STRANGE STORE
[東京・代官山]
現代美術作家が店頭に立つ
代官山の外れにあるユーズドショップ
現代美術作家の加賀美健さんが2010年にオープンしたオリジナル商品などを扱うお店。その名の通り、一風変わった雰囲気が魅力。「加賀美さんは私の父のような存在。発想がとんでもなく冴えてらっしゃって、ミニマムに風刺をきかせた作品を発表されています。加賀美さんが注目しているアーティストのZINEも並び、このごった煮感こそサブカル! とテンションが上がります。ご本人がお店に立たれているので、びっくりするかも(笑)」
INFORMATION
RECOMMEND ART SPOT_06
岡本太郎記念館
[東京・青山]
エネルギーに満ち溢れた
岡本太郎のアトリエ兼住居
1996年、84歳で亡くなるまで、岡本太郎がアトリエ兼住居にしていた場所を記念館として公開。当時、自身が実際に使っていた道具や作品が展示されています。2階の展示室ではエキシビションも開催。「青山にあり、若い方がデートに立ち寄るのにも最適だと思います。街のど真ん中で、日本を代表するアーティストとして知られる岡本太郎のダイナミックな作品を楽しめる貴重な場所。庭園にある巨大なモニュメントや壁画など、見どころ満載です」
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RECOMMEND ART SPOT_07
シンボパン
[東京・立川]
立川の街に根差したベーカリーは
magmaが手がける内装にも注目
JR立川駅から徒歩5分、歓楽街の一角にある素敵なベーカリー。都心から通う熱心なファンも多く、ポップな空間も人気の理由。「アーティストユニットのmagmaが手がける内装デザインが可愛くて、まるでお店自体がアートのよう。オーナーシェフは代々木上原にある[カタネベーカリー]出身の方だから、パンの味も申し分なし。バインミーが特におすすめです」。店内では作家さんによる雑貨も販売されているので、そちらもお見逃しなく!
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RECOMMEND ART SPOT_08
FUGLEN ASAKUSA
[東京・浅草]
北欧テイストの空間に惹かれる
ノルウェー発のコーヒーショップ
1963年にノルウェー・オスロで創業したコーヒーショップの国内第2号店。屈指の観光名所である浅草寺のすぐそばにあり、北欧のヴィンテージ家具を基調とした空間が魅力です。「浅草で古き良き日本のカルチャーを堪能した後は、ここで一息つくのがおすすめ。可愛いらしくてエッジの効いた家具や食器で溢れた店内で、美味しいワッフル、本格的なチャイをゆっくりと堪能できます。店の前に広がる下町風景とのギャップも面白いですよ」
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