とことん自己チューに楽しめる
大人女子ひとり呑みのススメ
私の住む街は、駅を出た瞬間からこじんまりとした居酒屋が連なっています。ギュウギュウの鮨詰め状態になりながら、
ビールジョッキやワイングラスを片手に談笑している人たちを表から眺めて、「早く私も今日一日をクリアした自分に乾杯したい!」と
渇望しながら足早に帰宅。今月も新米エディターMizumoが“INDEPENDENT GIRL”にとっておきの一軒をご紹介。
今年を締めくくるひとり呑みにふさわしいお店は、中目黒にある予約必須の「関西煮 理 OSAMU TOKYO」へ。
おでんがよりおいしくなってきた年の瀬。一年を振り返りながら堪能するおでんが、心の芯まで染み渡ります🍢
PHOTO_Sayuri Yamada
EDIT&TEXT_Mizumo Uehara (PERK)
コンビニのレジ横のコーナーに、肉まんとおでんが並ぶ季節になりましたね。
毎年「寒い寒い」と言いながら、呑みに行った帰りにおでんを友人たちとギュッと寄り添ってシェアするのを思い出します。
こたつでぬくぬくと食べるアイスや、冬の風を感じながら食べる肉まんが、いつも以上においしく感じるのではなぜなんでしょうか🧣🍨
「おでん屋さんの本格おでんを食べに行きたい」。そんな漠然とした願望を叶えたくて、SNSでリサーチしたところ中目黒の「関西煮 理 OSAMU TOKYO」がヒット。おでんのレビューの高さと、大将の加藤理さんの人柄に惹かれて通う人が続出とのことで、気になって即予約。2025年を締めくくる最後のひとり呑みは、ちょっとリッチにこちらのお店に決まり!
関西&関東煮のおでんを
大将のセレクトでいただく!
中目黒駅から徒歩2分、外に看板はなく隠れ家的存在の「関西煮 理 OSAMU TOKYO」に少し緊張しつつ入店。新しいお店に入るのはいつだってドキドキします。しかも今回は、普段は選ばないような少しリッチなおでん屋さん。扉を開けると、そんな私の緊張をまるで先読みしていたかのように、気持ちのよい笑顔で迎え入れてくださった大将の理さん。目の前におでん鍋が鎮座したカウンター席に通していただき、すでにワクワクが止まらない。今日は日本酒を飲むぞとあらかじめ決めていたので、おすすめの「而今」(¥2,800)を注文。少しフルーティな繊細な味わいで、日本酒慣れしていない私にとってファーストオーダーにぴったりのお酒でした。お目当ての「おでん盛り合わせ」(¥1,800)は大将自らチョイスしてくださり、一つひとつの具材を丁寧にうつわによそい、出汁をたっぷりかける光景を眺めているだけでお酒が進んでしまいました……。おでんは関西煮で、毎日いちばん出汁を取っているそう。関東は醤油がベースなのに対し、関西は塩がベースなので、見ての通りとても澄んでいてきれい。具材はいつもの王道メンバーのほかに、鯨と生麩という関西ならではのラインナップも。鯨は初めて食べるので、恐る恐るひと口。プルップルすぎて仰天です……。鯨のなかでもいただいた部位はコラーゲンの塊らしく、あっという間にとろけてしまいました。京都産の生麩は上品な風味でもちもちとした食感が楽しくてハマってしまう。大根やたまごはやさしい出汁が染みていて、いくつでも食べられそう……。たまごの黄身を溶かして最後の一滴までしっかりいただきました。はぁ、この上なく幸せ。
粒立ちがすごい好物のたらこを
出汁でいただく究極の逸品
さて、お次はたらこのおでん(¥800)。のんべえの方は特にわかると思いますが、メニューにあると無意識に頼んでしまうほど好きです。たらこのおでんは初めてなので、どんな形状で出ててくるのかと期待を膨らませていたら、ごろっと茹でられた大胆なフォルムで登場。一粒ひと粒がしっかり立っていて、プチプチ感がすごくて生きてるみたい! やさしい色をした見た目に反してしっかり味が濃いので、やはりお酒のアテにぴったりですね。これは必ず頼んでほしい、隠れ主役級のひと皿でした。
シメはまさかのリゾット!
目の前で仕上げてくれるパフォーマンス付き
たらこでしっかり「而今」を飲み干してしまい、2杯目を悩んでいたところ「珍しい日本酒があるよ! 」と持ってきてくださったのが黒ラベルに赤字の「寒紅梅」(¥1,800)。見た目からなんだか強者感が漂っていましたが、クリアで引きのよいキレ味で意外に軽やかに飲めました。1杯目より後半でシメものとペアリングしたほうが、バランスがいいそう。最後は理さんおすすめの「トマトとチーズのリゾット」(¥1,500)をいただくことに。熱々の鉄板にはお米が見えないほどのチーズの海が……! 驚いたのも束の間、おでんの出汁をおたま一杯分豪快にかけるとジュワ〜〜〜ッ!! と弾ける音に加え香ばしい、いい香りが漂ってきました。トマトを丁寧に崩して、おこげの部分をしっかり混ぜ合わせて食べやすくしたら「はいっ、ど〜ぞ〜♪」と目の前に到着。やけど必至なので、最初のひと口は慎重にいただきました。少し硬めで食感がしっかり感じられる黒米に、濃厚なチーズとフレッシュなトマト、何よりも出汁がいい仕事をしている。豆乳や牛乳と合わせないから、さっぱりと食べられて止まらない! シメにもってこいの程よく背徳感のあるリゾット。一人で余裕でペロリでした。
幸せな時間を一緒に共有してくださるのは心が温まりますね。最初の緊張なんて気づいたら消えていて、居心地がよすぎる空間にチェンジしていました。☝️
店主の理さんは大阪の割烹料理店での修行を経て、三重県にあるご実家の一部を改装して「おでんオサム」をスタート。30周年を機に閉店し、2022年秋に拠点を中目黒へ移し「関西煮 理 OSAMU TOKYO」をオープンしたそう。おでんは一定の味を保つのが非常に難しく、人には任せられないため仕入れから料理まで、すべて一人でこなす理さん。体が資本と営業前にボクシングに通うほどの徹底した体調管理は、おでんへの強いこだわりを感じます。理さんの気さくでやさしい関西弁が、なんだか親戚の元へ帰ってきたようなほっとする感覚になる……。程よい距離感で寄り添って話を聞いてくれる、理さんの人柄に惹かれる常連さんが多いのも大いに納得。
私にとってひとり呑みは、日々自然と積もっていく解消されない気持ちを一気にリセットできる時間。今宵は今年一年間分を振り返り、努力した自分に拍手し、はたまた悔しい気持ちもしっかりと思い出し、毎日を悔いなく幸せに生きた自分に乾杯! 思いがけない素敵な出会いや、新しい感情を発見できるひとり呑みは、自分をこまめに見直す対話のような、ちょっとしたカウンセリングのようなもの。この時間があるからこそ、少しずつ前進していっている気がします。それでは来年もたくさん飲み歩こうと思います。よいお年を!
東京都目黒区上目黒2-16-1 リードシー恵比寿ビル 3F
18:00〜23:00
無休
※4月〜9月は木曜休
@oden_0368