とことん自己チューに楽しめる
大人女子ひとり呑みのススメ
「秋はどこへ行ったのやら」と大多数の人が思っているはず。秋をスルーして冬がやってきたかのような、思わずギュッと力んでしまう寒さ……。
体と心をイッパツであっためる手っ取り早い方法は、やっぱりひとり呑みに限る! 新米エディターMizumoが
“INDEPENDENT GIRL”にとっておきの一軒を紹介するコンテンツ。先日呑み友から「永福食堂」がつい最近、新店舗をオープンしたとの情報をキャッチ。
はたして新しい憩いの場となるか、連載第7回目は期待とドキドキで心を躍らせ、いざ「2ばんめ」へ入店!
PHOTO_Sayuri Yamada
EDIT&TEXT_Mizumo Uehara (PERK)
私のキッチンの棚はいただきもののボトルがズラっと並んでいます。この前久々にその中の一つを開けて、焼酎を嗜みました。
一杯飲み終えたところで即ノックアウト……。そう、私はなぜだか家でお酒を飲むと絶対に睡魔に負けてしまう。
同じ現象の方、いるんでしょうか……。宅呑みの楽しさを習得したい、今日この頃です。
“新店舗”ってまだ誰も知らないスポットなわけなので、どれだけSNSをチェックしたって事前情報がなければ、当然口コミもない。ワクワク、ドキドキを味わえるのも醍醐味。最高なお店だとしたら、誰にも教えたくない自分だけの秘密基地にしたいけれど、その一方でこの魅力を早く誰かに広めたい! という矛盾も生じる……。年末が近づいてきたので、怒涛の師走がやってくる前にお先にプチご褒美ディナーしてきます!
食べ進めることをためらうほどに
ハイレベルなアンティパスト
方南町駅から徒歩2分に位置し、住宅地の中にひっそりと佇むワインバー「2ばんめ」。永福町にあるイタリアン「永福食堂」から待望の新店舗がオープン。全面ガラス張りで、なんともひとり呑みに優しい造り。ウェルカム感がありがたく、入店前に中にいるスタッフさんと目がしっかり合うので安心安心。店内はひと目で見渡せる心地のいいキャパで、オーナーの松本晋亮さんこだわりのターンテーブルを中心に、カセットテープやレコード、アートブックが積まれ、ユニークな雑貨で囲まれている。しかも角打ちのワインスペースも! 久しぶりのワインで興奮していることもあり、席に案内される間もなく飛びついてしまいました。ワインセラーをじっくり眺めていると、いくつか飲んだことのあるボトルの中から、思い出の1本を発見! ワインってオーダーする前に「今日はどんな感じがお好みですか?」と聞かれますよね。その日の気分やどんなことに浮き沈みしていたか、心情がもろにワインのチョイスに響くような気がしていて。このワインは素敵な出会いがあった甘酸っぱい記憶がおもいだされます……。
さて、浸っているのも束の間「ここに来たからにはこれはマストで頼まないと!」と店長の辻友梨子さんイチオシの「永福食堂の前菜の4種盛り合わせ」(¥990)と「フォカッチャ」(¥220)、白とオレンジの中間の初めの一杯ににぴったりなワイン(¥1,100)をいただきました。“永福食堂の”と書かれているのでお察しの通り、実際に「永福食堂」で出されている前菜プラス、日替わりでここだけのオリジナルも加わった贅沢なひと皿。濃厚な豆の風味をしっかり感じるフムス、ゆっくり、じっくり蒸し煮したタコ(やわらかすぎて、もはやタコではなかった)、ピリ辛具合がワインのスピードを早める「レンコンのアラビアータ」、そしてビジュよしな「卵のアチャール」……。こういった盛り合わせは、私は譲れないルールがあり必ず卵からいただきます! 卵を割ると期待通りの半熟で、オレンジの黄身がとろり。すかさず天然酵母で丁寧に焼いているという自家製のフォカッチャをちぎり、一緒に口へ放り込む! 思わず辻さんと目を合わせ、笑みが溢れてしまいました。濃厚な黄身にホクホクのフォッカチャは言わずもがな最高で、その余韻でワインを味わう。これぞ、幸せな瞬間です。盛り合わせって、おいしいをちょこちょこと堪能できるのが魅力ですよね。ひとり呑みにはかなり嬉しいメニューです。
衝撃的な逸品を発見!
やっぱり甘いものとワインは相性抜群
続いて、気になっていた「ナスのコンポートとフェタチーズ」(¥660)に、透き通るロゼ色がきれいな私の大好きな軽めの赤ワイン(¥1,100)をオーダー。ひとまずナスをチーズとミントと上手にワンセットにしてひと口。「え!? 甘い……」。一瞬脳が停止したのも無理がなく、スイーツ並みの甘さで、塩っけのあるチーズにミントでさっぱりと、絶妙なバランスが取れている逸品。こんなにナスらしくないナス、初めて出合いました。ワインはそれに反して、少し苦味とコクを感じる大人な味の一杯で一瞬にして虜に。シメは辻さん特製の群馬県産のライムを使ったジェラートと、コショウがアクセントのキャラメルジェラート(¥550)。ライムの果汁がたっぷり入っていて、キャラメルはもったり濃厚。美味すぎて手を休めることなく食べ進めてしまい、ひと皿では全然足りませんでした……。初めて任された料理がジェラートだったとのことで、思い入れもあり修行を重ねた彼女の作るジェラートは、トリを飾るのに相応しいスイーツでした。一つひとつ丁寧に、料理の説明やワインの産地、作り手の背景を同じ目線で教えていただけるこの時間って贅沢ですよね。より一層、特別なひとり呑みに感じる私的ポイントです。
食事を終えて、せっかくだから自分用にボトルで買って帰りたいなと思い、おすすめしてもらったものがなんとあの思い入れのあるワイン……。運命的なものをビビッと感じ、なんだか嬉しくなりました。壁に大きく飾られた絵は、オーナー夫妻の旧知の友であり、永福食堂と2ばんめのメインイラストやロゴを描いてくれたイラストレーターnomocoさんの作品。この作品を購入できたことをきっかけに、新店舗を開いたと言っても過言ではないそう。流れる時間が不思議とスローに感じるこの空間にぴったりな、やさしくてやわらかいテイストの一枚。隅々までこだわりが詰まった店内に、心地のいい音楽と接客で、またもや素敵なお店を発見してしまいました。悔しながらもこれは広めずにはいられない……。ここでいただいたワインはまた一つ、新たに憩いの場を見つけることに成功した思い出が加わりました。毎日を一生懸命に生きていたら、何かしらボヤきたい瞬間もあると思うけれど、そんな時はワインに想いを委ねて消化するのもいいかも。心の拠り所として、お酒に頼るひとり呑みの時間って改めて素敵だと感じることができた次第!
東京都杉並区方南2-12-16
16:00~23:00
水曜、木曜休
@2banme_eifukushokudo



