とことん自己チューに楽しめる
大人女子ひとり呑みのススメ
ひとり呑みをする理由は人それぞれ。それをハードミッションと捉える人もいれば、その概念さえいない人もいて……。
私はと言うと、年齢を重ねていくうちに徐々に後者の側になりました。そんなひとり呑みの楽しさをもっと広めたい!
と新米エディターMizumoが“INDEPENDENT GIRL”にとっておきの一軒を紹介。
連載第2回目は、給料日の仕事終わりに幡ヶ谷の「Cyōdo」へと向かった。
PHOTO_Sayuri Yamada
EDIT&TEXT_Mizumo Uehara (PERK)
一気に初夏をちらつかせる気候になってきたので、最近はコンビニで買った缶を片手に頭を空っぽにしながら
歩いて帰宅するのがマイブーム。もちろん、お相手はアルコール度数4%のトリスのおじさんです!

今回のお店選びの決め手は、ずっと気になっていたご褒美メニューがあるという点。自分のゴキゲンを取れるのは自分しかいないので、欲望のままに願いを叶えに行きました!

ペアリングが魅力的で
前菜からスペシャルを味わえる
店構えからして決定的な何かを感じる「Cyōdo」。ここは間違いなく最高の時間を過ごせそうと思えたのは、ヨーロッパの街角なのかと錯覚してしまう外観と、半円の小窓から小花柄のワンピースをまとったオーナーの山口萌菜さんの姿が目に留まり、瞬時にビビッときたから。異国感とその空間にマッチする彼女に惹かれ、緊張しつつも重い扉を開けていざ入店。
今回は“日頃の自分へのご褒美ディナー”と題し、少し奮発したメニューをオーダー。アペタイザーに「ホタルイカとクスクスのサラダ」と、それに合う白ワインを選んでもらいました。ホタルイカって自分で調理するのは難しいと思っているので、私は見つけたら問答無用で即決! 酸味のきいた味付けにクスクスのプチプチした食感が追いかけてきてクセになる! 山口さんチョイスの白ワインとも相性バッチリで、いきなり心を鷲掴みされました。
本日のお目当てはこちら!
不思議とペロリなステックフリット
冒頭のアローン呑みPOINTでもお伝えした、今宵のお目当てのメニューとはまさにこの「都萬牛のステックフリット」のこと! この日 、ステーキは数名でシェアするものという固定概念が軽々と覆されました。サラダを堪能している最中から香ばしい香りが店内に充満していて、このプレートをひとり占めできると思うと、胸が高まり欲求が全開に! 少し厚めにカットされたステーキは、ひとまず半分にカットし何もつけずにそのままひと口。余計な味付けはなくお肉の旨みそのものが際立ち、脂身も少ないので食べやすくちょうどいい! ちょこんと添えられたマスタードをつけても、これまた美味。続けて程よい脂でコーティングされた胃に、ホクホクのポテトを迎え入れる。どちらかと言えば、こってり寄りのメニューのはずなのにライトに感じるのはなぜなんだろう……。
女性でも一人で完食できるひと皿、普段お酒を飲む時はそれほど食事を欲しない私でも、「ステックフリット」はペロリでした。「Cyōdo」に訪れたからにはこちらを食べて、この伝えきれない贅沢感や優越感をぜひ味わってほしいです。
フランスの蚕の市で買い付けられたテーブルウェア。ただかわいいと思うものをセレクトしているのではなく、洗練されたエッセンスを意識し、バランスのいい空間作りを心がけているそう。
店内のところどころにあるお花も週に一度のペースでチェンジ。卵の置き方一つとっても、山口さんのセンスが感じられます。
カウンターの端にひっそりと立てかけられている本は、呑みながら手に取れるフリースタイル。ワインを片手にじっくり読みたい。
締めにふさわしい
これぞ大人のデザートタイム
締めを飾るのは「クラシックプリン」。ほかにも魅力的なデザートが多く甘党な私は迷いに迷いましたが、カウンター越しに登場したプリンを目にした瞬間、口にする前から頼んで大正解だったと確信! 一般的なそれより何倍も濃い色をしたカラメルはほろ苦く、プリン自体も固めで卵感が感じられる大人のデザート。一緒に「ヴェルモット」という白ワインをベースにリンゴの根やオレンジの果皮、ヴァニラビーンズなどスパイスを浸して香り付けしたワインもいただきました。アルコール度数高めのワインで、喉を通り胃に到達する頃には、体の奥からカッとなるような力強い味わい。活力がみなぎるような感覚でした。
「あるお寿司屋さんの大将に教えてもらった“満足以上は不満足”という言葉を大切にしていて、十二分であることが幸せであるとは限らない、お客様それぞれの“ちょうどよい”に寄り添い、これからも極めていきたい」と山口さん。食事だけではなく接客スタイルにおいても、お客さんに合わせてその都度変化を加えているとのこと。「私自身、陽の部分と隠な部分の性格を持ち合わせているので、その日の気分によって呑みのスタイルを変えたい気持ちがよくわかります」。老若男女を問わず人が途絶えない理由は、お客さんのニーズを熟知し、一人ひとりとしっかり心から向き合われているところにあるのだ、と思いました。「喜んでくださった方が、その方の大事な人を連れてまた来てくれる。その幸せの連鎖を見られるのがいちばん嬉しい」と真っ直ぐな想いを打ち明けてくれて、こっちまでなんだか嬉しい気持ちに。
お腹も心も満たされ、お店を出たあとまた必ず来ようと呑み友達に即報告。山口さんが言う「幸せの連鎖」とは、あぁ、こういうことなのか! と身をもって体験できた、記憶に残る素敵なご褒美の日となりました。
東京都渋谷区本町6-37-10
8:30〜16:00、18:00〜23:00
@cyodo_official
※予約方法や店休日はInstagramの投稿を確認してください。
※メニュー内容は都度更新されるため、
今回紹介したメニューは現在終了しているものもあります。