SUMMER TYPHOONchap.BE FES!!

「BE FES!!」東京公演に足を運び、
今注目の4人のアップカマーを
インタビュー

話題のアート展や映画、山に川もいいけれど、
夏と言えばやっぱりフェス。
ようやく通常運転が戻ってきた今夏、
音楽を愛する「ビームス」が初となる都市型フェス、
その名も「BE FES!!」を全国の主要エリアで開催。
名だたるアーティストのライブのほか、
それぞれ趣向の異なるエンタメコンテンツが用意され、
会場を沸かせていた。
PERKは8月10日に「Zepp Haneda」で行われた
東京公演にお邪魔し、
「ビームス」がピックアップした次世代アーティストの
インタビュアーを実施。
4人のパーソナルを切り取った。

PHOTO_Yoko Tagawa
FILM_Kouki Hirano
FILM EDIT_Kenta Ogo
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)

CLOSE UP of ARTISTS_01

UCARY & THE VALENTINE

ライブが好きで今までやっていたんだなと
今日あらためて実感しました

── 今回、「ビームス」からInstagram経由でオファーがあったとのことですが、まずはライブを終えたばかりの今の感想を聞かせてください。
「めちゃくちゃ楽しかった。こんな風が強いライブは初めてで、歌っている私の後ろを飛行機が行ったり来たりして、あ〜、乗りたいなとか、海外で作った曲を今ここで歌ってるんだな〜とか思っていました。そもそも外で歌うって、地元の河川敷や山の中くらいでしかなかったので。声が出せる場所で風や川の流れのリズムに合わせて歌っているんですけど、外が好きなのでとにかく気持ちよかったです」
── 通常運転に戻ってきてライブも増えているそうですね。
「今日もそうなんですが、歌っている最中にお客さんの顔を見た時に、さっき言った楽しい、気持ちいいという感情を持って感動を与えられる場所をもっと早く自分でも作れていたらとちょっと後悔しました。というのも、コロナだからライブはやめておくかと家で制作に没頭していたんです。周りから誘われたら出るけど、それでも配信ライブとか友達の記念イベントとかで、無理に動かなかったというか。もっと積極的に出ていたらよかったと思ったのが、今日ライブをしている瞬間でした。景色がキラキラして見えたり、今何人かのお客さんと繋がったみたいな感覚があったり。音楽の素晴らしさを思い出せてくれるのがライブだし、それが好きで今までやっていたんだなとあらためて実感しました」
── 後悔されただけに、なおさら今後は数を増やしていきたいというわけですね。ファッションについてもお聞きできればと思うのですが、ライブ時におけるマイスタイルを教えてください。
「その時々によって変わるんですけど、“上品なパンクス”というのがずっとテーマとしてあります。ちょっとエッジのきいたメイクをしている時もあれば、今日みたいにほぼすっぴんという日もあって、ライブのシチュエーションに対して上品なパンクスをどう表現するか。今は金髪ということもあって、涼しげで落ち着いたイメージで歌いたいなと思ってワンピースを選びました。風に吹かれてどう見えていたかはわからないですけど(笑)」
PROFILE
ユカリ・アンド・ザ・ヴァレンタイン / 17歳の頃に地元関西でバンドを始める。解散を機に2011年より東京に活動のベースを移すと共に、ソロ名義“UCARY”として始動。〈アナーキーテクノ〉の名でグッズデザインや他アーティストのアートワークなども手がける。
https://ucary.theshop.jp/
@ucary_valentine

CLOSE UP of ARTISTS_02

TAICHI WATANABE

ゆっくりとしてあったかい作風なので、
そこは大事にしていきたいですね

── 以前に「ビームスT」で個展をされていたご縁があって、今回の「BE FES!!」もオファーがあったそうですね。
「はい、嬉しかったですね。今日のような屋外でプリントするという経験は片手で数えるくらいしかないので。自分を含めたメンバーをどのポジションに配置するのがいちばん効率がいいかを考えるのが、毎回頭を悩ませるところではありますけど。
── 直接ファンの方とコミュニケーションを取れる機会だったと思います。
「いや、僕が描いたことをみんな知らないというか……。『PAJA STUDIO』のことも僕の名前も、多分知らないんじゃないですかね。自分の中でそういう認識というか、知ってくれているという意識はなくて。まだまだ全然です」
── 「BE FES!!」用にグラフィックを用意されていましたが、デザインについてお聞きしたいです。
「まず『ビームス』のディレクターの方から、『東京をモチーフにしたグラフィックを作ってほしい』と相談を受けて。ファッションやカルチャーの中心であり、やっぱり『ビームス』と言えばということで原宿の街をイメージしました。“ONE MORE LiGHT”はお題としていただいて、そこからどう東京の街、『ビームス』、それにメッセージをリンクさせていくかという作業は純粋に楽しかったですね。普通の原宿のTシャツだと面白みがないので、もうちょい抽象的というかポップな感じにしました」
── 一人のアーティストとして、世の中を少しでも元気にしたいという想いはありますか?
「温かさみたいなイメージを持って作品に向き合っていて、多分自然とほっこりした気持ちになってくれると思います。激しさではなくゆっくりとしてあったかい作風なので、自分がそういう人間だからなのかはわからないですけど、そこは大事にしていきたいですね。結局、自分の手から描き出されているのでそこは切り離せないところですし、マネをしたらそういった作風にはならないと思うので」
PROFILE
渡邉太地/1997年東京都生まれ。東京藝術大学大学院在籍。シルクスクリーンを用いた版画作品や油画作品を制作。2019年に仲間と共にシルクスクリーンスタジオ「PAJA STUDIO」を設立。自身の作品を手がける傍ら、ショップやブランドなどへアートワークの提供も行う。
https://www.taichiwatanabe.com/
@1899_tw

CLOSE UP of ARTISTS_03

みらん

自分が持っている感覚を研ぎ澄ませて、
そこを強く表現できればなと思っています

── 今回の「BE FES!!」は屋外ステージでしたが、いかがでしたか?
「普段はライブハウスが多くて今日は外、しかも強風の中の強風というくらいのステージだったので、なにも飛ばされないよう注意しながら歌っていました。いつもは譜面台を置いてやるんですけど、絶対に飛ばされちゃうから最低限必要なセトリを財布で押さえて、マイクスタンドを足で踏んで(笑)。病み上がりで声が出るか不安もあったんですが、負けないように声を出したら意外と歌えたので、風が運んでくれたおかげかなと思っています」
── 強風がみらんさんの声を運んでくれたと(笑)。フェスに限らずイベントの中止や延期が当たり前だったなか、ファンの前で歌えるというのはアーティスト冥利に尽きますよね。
「ライブに行くことを躊躇したり、いろいろ考えたりするお客さんが多かったと思うんですけど、それでも足を運んでくれるというのが本当に嬉しくて。たとえ一人であっても、これからも来てくれた方への感謝を忘れずに歌おうという気持ちが募りました」
── 音楽の力をあらためて感じられたというか。
「そうですね。音楽ってライブだけじゃないと思うし、外でイヤホンで聴くとか家の中でレコードを聴くとかいろいろありますけど、それぞれのスタイルで今後も音楽を楽しんでほしいという気持ちでやっていきたいですね。特に最近は、自分が持っている感覚を研ぎ澄ませて、そこを強く表現できればなと思っています」
── 今も自宅のある関西からライブなどがあるたびに東京に来られているということですが、都内で自由に過ごせる時間がある時はどうされているんですか?
「東京だと比較的スケジュールが詰まっていることが多くて、自由な時間=休みたいのでサウナに行っています。新大久保の『ルビーパレス』という韓国式サウナをマネージャーから教えてもらって、そこは女性専用でサウナだけじゃなくて休めるスペースも充実していて。どこで過ごそうか困ったら、とりあえずそこに行って整えています(笑)」
PROFILE
1999年兵庫県生まれ。中学時代から好きだったK-POPのほか、竹原ピストルや藤原さくらに憧れて高校卒業後にシンガーソングライターとして活動。今年3月に映画『愛なのに』の主題歌「低い飛行機」を含むデビューアルバム『Ducky』をリリース。大の犬好き。
@mirams11

CLOSE UP of ARTISTS_04

TOUYA TABUCHI

楽しいという純粋な気持ちを大切にして
半径5mの輪を広げていけたらいいですね

── もともと「ビームス」のスタッフにお知り合いがいたそうですね。
「スタッフの沼川さんから直接誘ってもらって、出たいですって。普段はライブハウスが多くて、今日のような開放的な感じで弾き語りするのは初めての経験でした。気持ちよかったですね。楽器を片手に外で歌うというのは普段からしているので、その延長線上じゃないですけど、リラックスして楽しめました」
── 今日は高円寺の飲み仲間も駆けつけてくれたとか。
「ありがたみをひしひしと感じます。たくさんの方たちが来てくれるというのは、もうそれだけで十分なモチベーションになりますし、やっぱり“人”だなって。音楽活動をしているのは、音楽が好きということ以外に目立ちたい、女性に限らず人からモテたいという気持ちが多分あるんですよね。だからこそ人前で歌えることが嬉しくて。僕が音楽活動をスタートしたのがコロナが蔓延し始めた頃と同じタイミングで、いろいろと配慮しながらイベントを打つということをやっていたんですけど、それが当たり前の状況でした。今こうして点と点が線になって、一歩ずつ前が見えていく感じがするので純粋に楽しいですし、この気持ちを大切にしながら半径5mの輪を広げていけたらいいですね」
── 5mが50m、500mになって。今後の展望についてはいかがでしょうか?
「紛らわしい言葉ではなく、ストレートに売れたいです。大きい会場でライブをやりたいし、いっぱいの人の前で歌いたいですね。あとはツアーにも憧れています。男3人で車にに乗って、ライブだけじゃなく各地のいろんなところをフラフラと自由気ままに回りながら。そういう汗くさいことをやりたいんですよね。というか、それがないとバンドをやっている意味がないと思っちゃいます(笑)」
PROFILE
田渕冬也 / 1998年福岡県生まれ。二十歳の頃に上京し、2019年から高円寺発のバンド「やおや」のフロントマンとして音楽活動を開始。バンド解散後、弾き語りをしつつ今年の春に3ピースバンド「Bambi club」を結成。ボーカルを務めるほか、作詞作曲も担当。
@1toy8