Jan 20, 2025 / CULTURE

西洋占星術師の淡の間による
PERK的12星座コラム

古代ローマの詩人・マニリウスは、著作著作『アストロノミカ』の中で、人間の事象や地上の出来事を占星術的世界観と結びつけました。彼が解いた星の世界のように、この世のさまざまな出来事や生活、文化(Culture)を占星術的世界観と結びつけてみること。日常に溢れる占星術的象徴を示すカケラを拾ってみたり、単独化された一つのピースとしての「星座占い」ではなく、「星の影響はすべて自分の中にある」と体験してみること。そんな風に、たまには占いだけではない「星」の入口があってもいいのでは?「私は〇〇座だから」という一方向だけの狭いキャラ付けにとどまるだけではもったいない。「私の中にもこの星座の世界が存在しているのかな?」という広い視点で感じてもらえたら嬉しいです。この連載が一周する頃には、「ASTRONOMICULTURE」を通して内なる多面的な星座の世界のグラデーションやレイヤーを感じることができますように。今月は、みずがめ座のおはなし。

TEXT_Aynoma
ILLUSTRATION&TITLE DESIGN_YUUKI
EDIT_Yoshio Horikawa, Maria Ito(PERK)

みずがめ座の季節
みずがめ座の精神性
みずがめ座の生き方
みずがめ座の信念
みずがめ座の時期に生まれた人たち
次なる旅への誘い

みずがめ座の季節
 小寒、大寒と寒さが極まるなか、いつしか暦の上では季節は流れ立春を迎えます。みずがめ座の季節は寒さがもっとも厳しい時。自然の厳しさのなかでも淘汰されないような芯を持つ、際立った個性を持つ人たちが多く生まれる季節です。これまで続いてきた12星座の旅路は、“ここ”に向かっていたと言っても過言ではありません。やぎ座、みずがめ座、うお座と続くこの3星座の順には、宇宙的神秘の世界観が秘められていると言われています。やぎ座は前世と今世を結んでいく業の世界、そしてみずがめ座は宇宙意識の共鳴を表す領域です。

みずがめ座の精神性
 みずがめ座のマークはギザギザの波が2つ連なるシンボルで構成されています。このギザギザは「命の振動、もとい周波数の共鳴や宇宙意識そのものを表す」と言われ、これには「この世界のすべての物事は振動しながら響き合い、惹かれ合い、相互関係の中に引力が生じている」というメッセージが込められています。
 科学や量子力学のことは正直よくわからない私ですが、昔の人が残した「類は友を呼ぶ」ということわざがニュアンスとしては近いのではないでしょうか。今、ここに生きているということ。身体の中で心臓が動き続けているということ。生きているということは絶えず動き続けている、その動きこそが命の振動であること。この世の命あるもの、姿形あるものはすべてが振動しており、その同質の振動の波を持っているもの同士が引き合うようになっている。その世界観を表現しているのが、みずがめ座のギザギザマークなのです。

みずがめ座の生き方
 「ナチュラルに生きている人が多い」という印象です。なぜかと言うと、自然に自分にとって必要なものを嗅ぎ分ける能力を持っているから。人間は動物の中でもっとも嗅覚が劣っていると言われているのですが、人間の嗅覚は脳に直結しています。脳は錯覚を起こす臓器で、思い込みを起こすことからついつい環境に対して麻痺してしまいやすい弱点を持つのですが、みずがめ座生まれの人たちの嗅覚は、雑然とした情報がはびこる人間界にいても決して麻痺することなく冴え渡る本能を守るからです。これが嗅ぎ分ける力、もとい未来の流れをキャッチする先見性とも言われています。
 人は誰でも霊感(シックスセンス)と呼ばれる見えない感覚を持ち合わせていると言われますが、その見えない“気”の動きを無意識に受信する才能を持っているのも、みずがめ座の共鳴作用と言えます。例えばこれは、幽霊が見えるとか、前世がわかるとかそういうものではなく「なんかここ好きだな、ここはイヤだな」「なんとなくここが気になるな」など、そのくらいの日常的な感覚も立派なシックスセンスなのですが、この見えない感覚こそが「嗅ぎ分ける力」なのです。
 「型破り」という辞書を引いた時に「みずがめ座生まれの人生」と加えたい。常識や慣例にとらわれない豊かなバリエーションを持った生き方や発想力を持っている人たちです。
 例えば、みずがめ座の季節生まれで一般的なセオリーから外れたことをしている人がいるとします。傍から見るとあまりにも自然にやってのけるものだから、その人の真似をしたら上手くいくように見えるのですが、手をつけてみたら意外にも難航したり、実際に手をつけることすらできなかったりというケースがあります。天才というのはそういうもので、一見オリジナルに見えて基本をしっかり作っているからこそ自分のスタイルで崩すことができるのです。忘れてならないのは、そのスタイルの裏側には人には見えない努力の積み重ねがあります。みずがめ座もまた、時間を管轄する土星の影響のもとにある性質です(前月のやぎ座参照)。
 本当の型破りとは、あくまで基本の「型」を押さえたうえで、いかようにも崩すことができるバランス感覚や実力のことであり、ただ単に空気の読めないことをしているわけではないと思うのですが、みずがめ座的な気質を持っている人というのは一連の型破り的アクションをいとも簡単にやってしまうから、「一見誰にでもできそう」と思われやすいかもしれません。実際はものすごく高難易度の技をしているのに、です。それもまた天才の苦悩。先を読みすぎてしまうので、数年遅れで自分のひらめきがメインムーブメントになったりするという悩みを持っている人もいるでしょう。現実世界の動きと、ご自分のアンテナの精度をあえて合わせていくという“逆張り的処世術”を育てる必要があります。
 自分と同じ質を持ったものを引き寄せやすいということは、なかなか同質のものに出合いにくい孤独のことでもあります。同じ言語で話せる、同じ振動(バイブス)の仲間をずっと待っているのです。「ここでは自分の言葉が通じないな」と感じると、無意識に口をつぐみ、周囲に擬態して無個性になる人もいます。「共鳴する」ということは波を荒げない、不協和音を起こさないようにすることも生き方の一つだからです。この部分は個人差が強く、あまりにもいろいろなことを考えやすく先を読みすぎてしまうか、あえて空気を読まずに突進するか、極端に現れやすいかもしれません。
 いずれにせよ、それゆえに一度通じ合えた仲間や環境を大切にします。みずがめ座は非常に人情深い性質です。風のエレメントだから一見びゅうびゅうと吹き荒れるような風を連想させるようなドライな印象がありますが、実は「風」の気質は他者との共有を求めるウェット(湿)なタイプ。これはSNSにおける情報の連帯感やつながり、リポストやシェアの作用にも結びつけられるのですが、みずがめ座の性質に話を戻すと一度生まれたつながりを大切にします。みずがめ座生まれの人と一度心を通わせてわかり合えたなら。同じ時間や感覚を共有できたなら。その出会いは、時空を越える一生の友情と信頼関係になるでしょう。

みずがめ座の信念
 「私は私」「あなたはあなた」という自然な自己肯定と他者尊重。それが本当の多様性ではないでしょうか。みずがめ座の生き方とは、そのまんま。自分が設定してきた運命の設計のままに生きることです。そのような自然体な生き方を全うしている人に出会うと、まるで見えないチューニングがされるように肩の力が抜けていく。「私もこんなふうに生きてみたい」「こんな風に生きられたら」と。あるいは「こんな未来があるならみてみたい」とも。
 占星術の仕事をしていると、「みずがめ座=天才肌とか、宇宙人とか変わっている人ですよね?」みたいな前提の話を聞くことがあります。あるいは「みずがめ座なのに全然天才肌じゃないんです」という不思議な相談をされることもあります。それはそうなんだけどさ、と言いたくなるのは私の中のみずがめ座的部分が現れているのでしょうか。「そもそもみんな変わっているし、同じもの、普通などないんだよ」と声高に言いたくなるのです。
 時に、みずがめ座=変わっている人という文化が作り上げた見えないハードルが、この世のみずがめ座生まれの人たちを縛り付ける呪いになっているのかもしれません。そもそも、みずがめ座生まれの人たちの性格を「あなたはこういう人です」とカテゴライズすることすら本質からずれているのかも。「私は私」「あなたはあなた」という認識を自然と持ち合わせていて、普通なんてあってないようなもの。みんな違って当たり前という感覚が身に付いているので、結果的に人の目を気にせず信じた道を進む。自分の頭の辞書にない概念に出合うと、「どうして?」と言いたくなる。その「はてなマーク」こそが次の未来の発想や未知の可能性につながっていく。だから、その見えない真っ直ぐな心の軸を埋もれずに持っていてほしいと思います。
 これからの時代の主題的テーマと言われる「みずがめ座的な世界」の中では、生き様の本質がごまかせない時代になっていくと言われています。作りものではない、肩書きだけではフォローできない、決して表層的に現れるものではない、ごまかしが効かないもの。
 どこにいても、何をしていても必要な人やものとは必ず出会えるとしたら、こんなにロマンチックなことはありません。そのためには何より自分をごまかさないで生きること。痛みや犠牲に対して自分の感覚を麻痺させないことです。時に荒波や不協和音が現れたとしても、それがあなたの生き方ならそれでいい。その感覚を貫くことで、必ず共鳴する仲間に出会えるから。そのような価値観を教えてくれるのが、みずがめ座の世界観なのです。

みずがめ座の時期に生まれた人たち
 eri、川瀬智子、星野源、目黒蓮(Snow Man)、有村架純、川口春奈、きゃりーぱみゅぱみゅ、橋本環奈、平野紫耀(Number_i)、小泉今日子、新海誠。

次なる旅への誘い
 魂の乗りものとも言える肉体に内包された私たちの魂は、成長を求めてあらゆる経験を重ねます。旅は終盤、最終回はうお座の世界です。

※引用  
佐治晴夫著 『からだは星からできている』、マルクス・マニリウス著『占星術または天の聖なる学(Astronomica )』

PROFILE

淡の間(あわいのま)
西洋占星術や西洋神秘学、タロットカード、ヨーロッパ発祥の自然療法などを学び、オリジナルのカウンセリングや講座などを展開しながら地球を修行中。占いのほか、コンセプト監修や文章も執筆。「GINZA」のWEBサイト、「kufura」などに連載を持つ。2025年版のオリジナルダイアリーが公式サイト、または全国の取り扱い店舗にて絶賛発売中。
@aynoma.jp

PROFILE

YUUKI
“セルフラブ”をテーマにイラスト、作詞、クリエイティブディレクション、壁画アートなど幅広く手がけるアートクリエイター。自身が主催するアート×カルチャーイベント「Art Culture Street.」のVol.6が、2月14日(金)から16日(日)まで、国立代々木競技場第一体育館にて開催される。
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