Jul 23, 2024 / CULTURE
西洋占星術師の淡の間による
PERK的12星座コラム
古代ローマの詩人·マニリウスは、著作『占星術または天の聖なる学(Astronomica )』の中で、人間の事象や地上の出来事を占星術的世界観と結びつけました。彼が解いた星の世界のように、この世のさまざまな出来事や生活、文化(Culture)を占星術的世界観と結びつけてみること。日常に溢れる占星術的象徴を示すカケラを拾ってみたり、単独化された一つのピースとしての「星座占い」ではなく、「星の影響はすべて自分の中にある」と体験してみること。そんな風に、たまには占いだけではない「星」の入口があってもいいのでは? 「私は〇〇座だから」という一方向だけの狭いキャラ付けにとどまるだけではもったいない。「私の中にもこの星座の世界が存在しているのかな?」という広い視点で感じてもらえたら嬉しいです。この連載が一周する頃には、「ASTRONOMICULTURE」を通して内なる多面的な星座の世界のグラデーションやレイヤーを感じることができますように。今月は獅子座のおはなし。
TEXT_Aynoma
ILLUSTRATION&TITLE DESIGN_YUUKI
EDIT_Yoshio Horikawa, Maria Ito(PERK)
獅子座の季節
獅子座の精神性
獅子座の生き方
獅子座の信念
獅子座の時期に生まれた人たち
次なる旅への誘い
獅子座の季節
夏至を迎えてから約ひと月後、夏はいよいよ本番を迎えます。体感的な温度もさることながら「夏」というだけで心が熱くなり、開放的な気持ちになる人も多いのではないでしょうか。心も体も熱を帯びていく7月後半からの約ひと月は、西洋占星術の暦の上では獅子座の季節です。太陽系という宇宙構造の中、唯一の恒星であり絶対中心軸である太陽。そして全12星座のなかで、太陽を支配星に持つのは獅子座だけ。ゆえに太陽の熱に比例するように身も心も熱く高まる夏は、獅子座のための季節と言っても過言ではないのかもしれません。
獅子座の精神性
前記の通り、獅子座と太陽は性質のいわれやあり方を含め、深く結びつきがあります。太陽はこの太陽系の中心の軸であり、私たちの生き方の軸を示す影響を持った唯一無二の天体です。地球に生きる生命体にとっては、太陽がなければ生命維持活動をすることができません。精神的にも太陽が示す目的、もとい「自分が生まれてきた目的」を見つけることができなければ、生きているのに死んでいるような空虚な状態になってしまうのです。
私を含む占い師に寄せられる質問の中に「自分がやりたいことがなかなかわからない」、「なんのために生まれてきたのかを知りたい」というものがあります。この問いかけに対する答えを西洋占星術的に読み解こうとすると、クライアントのチャートの中に現れている出生の太陽の目的を読み解く必要があるのですが、「太陽」がなければ私たちは物理的にも精神的にも生きていくことが難しいとされる、非常に重要なパーツです。肉体で言えば、太陽は生命のポンプこと心臓に値します。
獅子座の生き方
7月から8月にかけて生まれた太陽星座·獅子座生まれの人たちのみならず、万人すべてに獅子座の影響があるのだとしたら、それは一体どのようなものでしょう?
獅子座の示す領域は、私たちの持つ内なる「熱」と関わりがあります。熱とは、触れることができる温度のみならずあらゆることに対して直感的に感じる熱量や心の高なりのことでもあり、生命力でもあり、ものの形を変えるほどの「力」のことを示します。例えば、それは人を惹きつけるほどの熱=存在感、注目を集める求心力、誰にも真似することのできない表現力や創造性、生きる能力のこと。
獅子座はアーティストです。「ART」とはもともとラテン語でars(ないしはギリシャ語でテクニー)と言って、人の手で作られる技術という意味があります。言うなれば、見えない熱を加える技術を持つ人です。ただそこにいるだけで絵になるような、生き様そのものがドラマ(劇的)であり、ドラマティックなことが好きです。人生に熱を加えてくれるものが好きです。そして、自分もこの世界を鮮やかに彩ってみたい、誰かの人生に「熱」を加えてみたいという願望があります。つまり獅子座の生き方とは、自分だけの「ART」を模索し、心を燃やしながら唯一無二の価値を作り上げていくことなのかもしれません。
獅子座の信念
獅子座的な性質を強く持った人たちは、自己表現力という生きる力や技術に富んだ才能を持っています。その才能を持って周囲を、そしてこの世を熱く眩しく照らすことができる存在です。その活動や生き様は高い求心力や影響力、社会へ生きる希望を与える熱量に溢れた存在となりますが、内側の熱の高さゆえに自尊心も高くなり、自分以外の強い存在に対する嫉妬や支配的な態度を無意識に示すこともあります。頭ではわかっていても、「ほかの誰でもなく自分が一番輝いていたい」という思いから他者を尊重できないことがあります。あるいは表面的にどれだけ涼しい顔をしていても腹の中では「まぁ、私の方ができるけどね」、「すごいことやれますけどね」と思っています。表面的にどんなに静かにしていても「すごい、かっこいい、さすが」と言われたい。自分が素晴らしい存在だといつも信じていたいし、認められたいのです。そんなあなたが「自分なんて」と落ち込む時や他者と比較して自己卑下してしまう時があるなら、それは心の炎を燃やす燃料が足りなくなっているにほかなりません。すぐに心が熱く燃えるような楽しいことをしたり、何よりも思い切り自分を褒めてあげたりしてください。
獅子座の時期に生まれた人たち
パッと名前を見ただけで「わかる!」と言いたくなるような、絶対的存在感を持つ面々。見る人の心を燃やすようなエネルギーに満ちていて、どこにいても眩い輝きを放つ存在。タモリ、ローランド、中居正広、吉川晃司、那須川天心、米倉涼子、大竹しのぶ、蒼井優、北川景子、ジェニファー·ロペス、マドンナ。
次なる旅への誘い
魂の乗りものとも言える肉体に内包された私たちの魂は、成長を求めてあらゆる経験を重ねます。牡羊座から始まった魂の旅は蟹座の世界で安心できる場所を作り、成長の段階がひと区切り。そこから次に展開していく獅子座の世界は、内から生命力が溢れ出ていくような新しいフェーズへと移って行きます。そのフェーズとは、自分の中で生まれた物語を他者と共有していこうとする動き。次なる旅は乙女座。熱を下げながら調整していく季節。
PROFILE
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