Talk about
my vintage store
Apr 19, 2022 / FASHION
私たちを魅了してやまない
ヴィンテージショップとそのオーナー
ヴィンテージシーンが盛り上がりを見せている今、星の数ほどある店のなかでも繰り返し足を運びたいのは、時代のムードを感じられて店主のセンスや気分が垣間見られるショップ。そんなPERKが気になっているヴィンテージショップと、店を営む女性オーナーに話を聞きに行った。
PHOTO_Shion Sawada
MOVIE_Kei Doguchi, Kenta Ogo
EDIT&TEXT_Yoshio Horikawa(PERK)
「OZ VINTAGE」Satomi Suzuki
PROFILE
お客さんから聞いたことが
私の中に残り、変更されて
買い付けに生かされることも。
オープンから今年の夏で丸4年。お店を出してよかったとあらためて感じています。店舗を持たず移動形式で販売をしていた頃は、楽しさややりがい、手応えを感じていた一方で、お客さんと刹那的なコミュニケーションが多くなっていて。どんな方が何を買ってくださったとか、この方はどういう人なのかというのを途中から把握しきれなくなったんです。せっかく一人でやっているのに、これは違うなと。やっぱり人と深く関われた方が絶対に楽しいし、もともと働いていた古着屋でもお客さんにどんな提案をしたら楽しんでもらえるかをモチベーションにしていました。
「オズ」には本当にいろんなお客さんが来てくださるので毎日発見があって、なるべくそれぞれの方が求めてくださることを読み解くように心がけています。もちろん、お店に来てもらってもその方の好みに触れない場合もあると思うんですけど、それでも一つひとつのヴィンテージに対してその方ご自身の感覚でピックアップしてもらえるよう手助けできればいいなっていうのは常に考えていますね。お話してくださる方、何度か通ってくださる方にはプライベートやライフスタイルについて聞いたりして、それが私の中に残り、変換されて買い付けに生かされることもあります。そういう日々の繰り返しで、自分も相手にとっても居心地よく発見のあるお店でありたいと思ってます。
この先“古着をわかる”ということはないし、
自分の中に楽しむ力があれば見飽きることもない。
ラインナップに関しては、あらゆるジャンルのトップクラスを集めたいと思っています。それはクオリティだけのことでは決してなくて、服一着一着によってポイントは違うんですけど、自分の中で直感的に何かしらひらめいたものだけを扱うようにしていると自然と店が強くなっていくので、うちにしかないものを買い付けしたいと考えていますね。ものを見て選んでもらう時間を、大げさに言わせていただければ短編小説を読んだり映画を観たり、そういうことと似たような充実感を感じてもらうのが目標です。
好きな服は、春夏で言えばバティックを中心とした民族衣装。古着の世界に魅力されたきっかけであり、常に掘り続けているジャンルでもあります。民族衣装に限らず、古着は「どうしてこうなった!?」と作り手のイマジネーションに驚かされるものが永遠に出てくるんですよ(笑)。だからこの先“古着をわかる”ということはないし、自分の中に楽しむ力があれば見飽きることもないと思うんです。そして集めたすべてが簡単に見つかるものではなくて、買い付けではどんなにクルマを走らせても何も見つからない日もあります。気が遠くなるような時間と作業を繰り返し、ものや人との思いがけない出会いからもらう充実感をバイヤー自身が感じ、またお客さんに味わってもらうために、日本、アメリカでのすべてのプロセスが欠かせなくて。どうしたらお客さんに喜んでもらえるかなとか、どんなものを見たいかなとか、そこはエンターテインメントみたいな感じで提供できたらと思っています。
満足できたという日がないからこそ、
続けられるのかもしれない。
古着屋をしていて最高の瞬間は買い付けたもので店を作って、イメージが空間で再現できた時ですね。それをお客さんが見つけてくれて喜んでくれたら、さらに最高です。そういう時はお店が暇でも、売れてなくても全然平気(笑)。バイイングも陳列も服の魅力を伝えるために同じくらい重要で、楽しむべき作業だと思っている反面、一人だと入荷の後はスチームが間に合わなかったり、Instagramの撮影やお問い合わせの対応だったりの日々の業務で、ディスプレイをはじめいろんなことが後手になることもあって。満足できず、課題が多いんです。その一方で、今日は上手に服を見せることができたとか、お客さんと何かを共有できたとか、全部がよし‼︎ っていう瞬間がいちばん嬉しいです。
今後もお店を続けていくうえで、ずっと完成はしないものと考えています。ラインナップが変わるたびコンセプトが薄まったり、あれがあったから表現できていたという状況が毎日で、でも見せ方を変えることで新しい提案が生まれたりするんです。一点ものを扱っているくせにわがままで贅沢な悩みかもしれないですけど、さっき言ったように満足できたという日は本当になくて。でも、だからこそ続けられているのかもしれないですね。満足できないから楽しいです、毎日。
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